少子高齢化による労働力人口の減少や、IT需要の高まりに伴い、日本ではIT人材が不足し、「DXをなかなか進められない」という企業が多いのが現状だ。
そんな中、デジタル技術を活用するサービスを一気通貫で提供しているのが、株式会社プロジェクトホールディングスだ。
同社はデジタル領域における新規事業開発から、サービスサイトにおけるUI・UX改善、さらにSNSマーケティングやコンテンツマーケティングなどのデジタルマーケティング領域まで、あらゆる領域のサポートを行っている。
常に高い目標を掲げ、達成するための努力を惜しまない、土井社長の思いを聞いた。
周囲とのモチベーションのギャップを感じ、自身の会社を起業
ーー学生時代についてお聞かせください。
土井悠之介:
ずば抜けて勉強ができるというわけではなく、目標に対してとにかく頑張るといった、努力型の人間でした。せっかくならトップを目指そうと思い、東京大学を受験し、なんとかギリギリで合格しました。
こうした高い目標を掲げ、やるべきことを徹底的にやった結果成功したことが私の原体験となっています。
ーー努力の末に晴れて東大生になられた心境はいかがでしたか。
土井悠之介:
入学前は「東大には将来日本を背負っていくような人材がそろっている」と思い込んでいたのです。そのため、ギリギリの成績で入った自分は最下層からのスタートだから、とにかく上を目指さなければと思っていました。
しかし、実際は努力して成功を勝ち取ろうとか、今よりも自分を成長させようといった気概を持った人がすごく少なかったのです。この状況を目にして、「切磋琢磨しながらお互いを高められる仲間がいないな」とガッカリしました。
ーー大学院を卒業されてからはコンサルティングファームであるスカイライトコンサルティング株式会社に就職されていますが、入社を決めたポイントは何だったのでしょうか。
土井悠之介:
割と自由な社風だったので、私がやりたいことを表現しやすいと思ったのと、取引先に貢献するために努力を尽くすような方々と出会えるのではないかと思い、入社を決めました。
優秀な方が多く、学ぶことも多くございましたが、新しいことに挑戦したいという思いから、社会人2年目のときに企業の支援をする会社をつくろうと思い立ちました。
ーーそこから実際に起業するまでの経緯についてお教えいただけますか。
土井悠之介:
その頃に営業担当者を介さずに直接オンラインに求人を掲載できるサービスの立ち上げに携わっていました。ローンチしたらそのプロジェクトは終了する予定だったのですが、担当者の方から「サービスが黒字化するまで土井さんに支援してほしい」と言っていただいたのです。
創業当初の苦労と上場までの道のり
ーー創業当初はどのようにサービスを確立されていかれたのですか。
土井悠之介:
創業前から着手していたウェブメディアの記事制作と、大手メディア企業のコンサル案件を収益の柱とし、そこから事業の拡大を進めていきました。
記事制作の案件については一定の仕事を獲得できたのですが、コンサルビジネスを伸ばすのに苦戦しました。それからは前職でお世話になった方にコンサル営業の仕方を教わり、そこで得たノウハウを使って実際に営業をかけてみたりして、とにかく手探り状態で活動していました。
すると人伝いに案件が増えていき、今では弊社全体の売り上げのうちおよそ60%がコンサルティングサービスで占めています。
ーー企業の規模が大きくなってからは、人伝に広がっていったサービスをパッケージ化する際にどう転換されたのですか。
土井悠之介:
ここは難しい部分で、現在も課題ではあります。ただコンサルタントは、もちろんスキルも重要なのですが、個人的にはマインドが大きな違いを生むと思っています。
他のコンサルティングファームは、クライアントから与えられた仕事に対しアウトプットを行うのが基本です。一方で私たちは、プロジェクトのゴールに向かって一緒に伴走するというマインドセットを社員に浸透させることに注力してきました。
ーー創業から5年で上場されていますが、上場に向けどのような取り組みをされたのでしょうか。
土井悠之介:
2045年には売上1兆円を達成したいと考えていたので、創業してから6年目には上場しようと決めていました。そこで今後の方針について考えたときに、コンサルティングとマーケティング事業だけでは何をやっている会社かはっきり説明しにくいと思ったのです。
そのときにスマホアプリのユーザビリティ(使いやすさ)を測定する「UIscope」というサービスに出会い、事業譲渡を受けたのが大きな転機となりました。
それ以降は新規事業の開発から、サービスサイトにおけるUI・UX改善、マーケティング領域まで一気通貫で取り扱えるようになり、事業の拡大につながりました。
プロジェクトホールディングスの理念・今後の方針について
ーー貴社が提唱されている「プロジェクト型社会」について詳しくお聞かせいただけますか。
土井悠之介:
私たちが目標に掲げる「プロジェクト型の社会の創出」は、「日本企業が旧来型の縦割り、上意下達の「タスク型」の組織構造を脱却しなければ日本は元気にならない」という考えを土台としています。
DXを推進しながら顧客1社1社を変革するソリューションを提供しつつ、自分たちで日本を変えていこうとするマインドを持つプロフェッショナル人材を輩出していきたいと考えています。
ーー今後の事業展開についてお聞かせください。
土井悠之介:
コンサル領域では、これまでのように、顧客のニーズをキャッチして、課題を解決するための支援を重点的に行っていきたいと思っています。新規事業の立ち上げや、デジタルを活用したプロジェクトの推進からスタートし、採用に苦戦しているなど企業の困りごとを見つけ、より深く関わっていければと考えています。
また、コンサルビジネスを通じて発掘した顧客のニーズを踏まえ、共通的な課題解決を実現するサービスの立ち上げ、グロースという事業開発を今後強化していく予定です。
ーー会社の規模を拡大するにあたって、組織構築についてはどのようにお考えでしょうか。
土井悠之介:
これまで事業拡大を最優先に進めてきたことで、会社のミッション・ビジョンの浸透や人材育成が後手になっていた部分は正直ありました。そこで、人事評価や社員育成、事業成長と人の成長、顧客満足度のバランスなどの見直しにも着手しました。
これから私たちと一緒に働いてもらう方たちには、会社の制度や育成環境がより整った状態でスタートしてもらえるので、このタイミングで見直しができて結果的に良かったと思っています。
ーーこれから就職活動をする学生さんたちに向けてメッセージをお願いします。
土井悠之介:
自分がやりたいことやなりたい自分を想像し、熱量を持って取り組めることを重視して、キャリアを選択してもらいたいと思います。
そうすればおのずと自分の成長につながりますし、成果も伴ってくるので、この価値観で企業選びをしてもらえるといいのではないでしょうか。
弊社に興味を持って下さった方も選考時にフィーリングを感じ取ってもらい、弊社で熱を持って働けそうか考えた上で、最終的に判断してもらいたいです。
編集後記
大学受験の際はやるならトップを目指したいと思い、できうる限りの対策をすべて実践し、見事東京大学に合格したという土井社長。それ以降も、より高いステージを目標に、常に自分自身を成長させるため努力をし続けてきたという。新規事業の開発から、サービスサイトにおけるUI・UX改善、マーケティング領域まで一気通貫で企業の支援を行う株式会社プロジェクトホールディングスは、日本の成長に欠かせない存在になることだろう。
土井悠之介(どい・ゆうのすけ)/東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。スカイライトコンサルティング株式会社にて、日本最大級メディア企業の新規事業立ち上げプロジェクト等に従事。2016年1月に株式会社プロジェクトカンパニー(現・株式会社プロジェクトホールディングス)を創業し、代表取締役社長として組織開発戦略や事業戦略の立案・推進をリードしてきた。