※本ページ内の情報は2026年2月時点のものです。

2025年10月、持株会社体制への移行と共に新たなスタートを切ったCommerceXホールディングス株式会社。小売・リユース業界向けクラウド基幹システム「RECORE(リコア)」の開発・提供をはじめ、ECコンサルティングやブランド運営など、多角的に事業を展開している。同社の強みは、システム開発会社でありながら自らも小売事業を営む現場主義だ。便利さだけを売るのではなく、現場に根ざした実直な課題に寄り添う姿勢は、多くの顧客から厚い信頼を得ている。「小売業はまだまだ面白くなる余地がある」と語る同社代表取締役CEOの佐藤秀平氏に、その独自の経営理論と人材への思いを聞いた。

「人が育つ場」を作りたい 教員志望から目覚めた本気の経営

ーーキャリアの原点についてお聞かせください。

佐藤秀平:
実はもともと、教員になろうと考えていました。大阪教育大学出身で、教員免許も持っています。学生時代から「人が育つ場を作りたい」「誰かの成長に関わりたい」という思いが強くありました。その軸は今も変わっていません。経営とは、事業を通じてメンバーが成長する機会を作ることだと思っています。

大学卒業後は、株式会社船井総合研究所に入社しました。そこで社会人としての基礎を徹底的に叩き込まれました。「素直・プラス発想・勉強好き」という教えは、今も私の経営の土台です。コンサルタントとして、「現場主義」という考え方のもと評論家ではなく、多くの経営者の成功と失敗を間近で見られたことも大きな財産となっています。

ーー現在の会社を設立された際、経営に対する意識に変化はありましたか。

佐藤秀平:
実は、学生時代にも一度起業していたことがあります。ただ、その頃の起業は、正直に言えば「遊び」の延長のような感覚もありました。しかし、船井総合研究所を経て今の会社を立ち上げた時は、全く違う感覚でした。

一番の変化は、責任の重さです。社員の生活を守り、人生を預かるという覚悟。そして、事業で社会や業界をより良く変えていくという高い視座を持つようになりました。単にお金を稼ぐためではなく、ビジョンを実現するために組織を動かす。その「本気の経営」への覚悟が決まったことが、最大の転換点だったと思います。

現場の痛みを知る「小売のプロ」実体験が生む圧倒的な説得力

ーー貴社の最大の強みと、競合他社にはない独自の価値について教えてください。

佐藤秀平:
弊社の一番の強みは、私たち自身が小売事業者でもあることです。実際に店舗を持ち、ECを運営し、商品を仕入れて販売しているシステム・コンサルティング企業はほとんどありません。私たちは単なるシステム会社ではなく、小売・EC・リユースのプロとして、自社で実践して成功したノウハウだけをお客様に提供しています。現場では、商品登録や、広告運用、ささげ(※)、物流といった手間のかかる現場実務が必ず発生します。多くの企業は効率の良いコンサルティングやシステム部分だけを担おうとしますが、私たちは大変な現場業務も代行し、引き受けます。なぜなら、そこにお客様が一番困っている現実があるからです。同じ苦労をしてきたからこそ、辛さがわかります。この共感力と、実体験に基づくリアルな提案こそが、他社には真似できない圧倒的な説得力になっていると自負しています。

(※)ささげ:「撮影(さつえい)」「採寸(さいすん)」「原稿(げんこう)作成」の3つの業務の頭文字をとった略称。

ーー現場主義は、開発現場でどう実践されているのでしょうか。

佐藤秀平:
現場を知らなければ、本当の意味でお客様の役に立つ解決策はつくれないと考えています。そのため、たとえばシステム開発チームのメンバーも、お客様の倉庫で2週間アルバイトをして、現場の空気やオペレーションを肌で感じる研修を行っています。コンサルタントのメンバーもEC運用の実務の経験をします。机上の空論で作った機能や現場を知らない提案は、現場では使い物にならないことが多い。理論上正しいだけでは不十分なのです。

目指しているのは、単にシステムを導入してもらうことではなく、お客様の事業を成長させることです。そのために、私たちが誰よりも現場に詳しくあり続けなければならないと考えています。

「小売業界をもっとおもしろく」テクノロジーで生産性を高め、変革を推進

ーー人材育成の方針について教えてください。

佐藤秀平:
私は「機会が人をつくる」と信じています。責任あるポジションや困難な課題を任されることで、人は劇的に成長します。だからこそ弊社では、年齢や社歴に関係なく、手を挙げる人にはどんどんチャンスを与えるようにしています。実際、新卒入社3年目で執行役員になったメンバーや、入社2年で売上高10億円規模のグループ会社の社長を任された例も出てきました。挑戦した結果の失敗は一切問いません。仕組みの中で育てるというよりは、圧倒的な場数と機会を提供し、その中で自ら学び取ってもらうスタイルをとっています。

また挑戦を支える土壌として、メンバー全員が非常に優しく、ギラギラした営業会社のような雰囲気ではなく、互いを尊重し合う風土が根付いています。ただ、優しいけれど甘くはありません。常に「なぜやるのか」「目的は何か」を問い続ける本質的なコミュニケーションを大切にしているからです。自由度は高いですが、その分、自律して動くことが求められます。指示を待つのではなく、自分で考えて動ける人にとっては、これ以上ないほど面白い環境ではないでしょうか。

ーー今後のさらなる成長に向け、どのような人材を求めていますか。

佐藤秀平:
現時点でのスキルよりも、変化を楽しめるか、熱量を持って取り組めるかというエンゲージメントを重視しています。小売業界は変化が激しいため、今のスキルはすぐに陳腐化します。それよりも、変化に対してポジティブで、未知のことにワクワクできるマインドが大切です。

ありがたいことに、弊社は紹介採用が非常に多い状況です。メンバーが自分の大切な友人や知人を誘いたくなる会社であることは、組織としての誇りです。2025年10月からグループの中核企業の社名を株式会社RECOREに変更し、ホールディングス体制へと移行しました。今はまさに第二創業期としてキャリア採用を強化しています。これからの組織基盤を作っていくバックオフィスや、経営幹部候補の方々には、ぜひ参画してほしいです。

ーー最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。

佐藤秀平:
小売業を憧れの職業にすることが私の夢です。小売やリユース業界は、どうしても地味なイメージを持たれがちです。しかし、テクノロジーと情熱があれば、もっとクリエイティブでかっこいい仕事に変えていけるはずです。

私たちは常に0から1を生み出し続ける集団でありたい。「あの会社、いつも面白いことやってるよね」と言われる存在を目指しています。誰もやっていないことに挑戦し、自分たちにしかできない価値を提供することで、業界全体をアップデートしていきたいです。

編集後記

「現場を知らないと、本当の言葉は届かない」。佐藤氏の言葉からは、徹底した現場主義への自負と、教育者としての温かい眼差しが感じられた。システム開発会社でありながら、最前線の実務業務まで引き受けるその姿勢こそが、同社が急成長を続ける理由なのだろう。「機会が人をつくる」という言葉通り、若手が生き生きと挑戦できる環境は、働く人々にとって大きな魅力だ。同社が仕掛ける攻めの変革が、小売業界にどのような新しい風を吹き込むのか。今後の展開に期待したい。

佐藤秀平/1992年大阪生まれ。大学在学中に起業・事業譲渡を経験後、株式会社船井総合研究所でリユース・EC領域の企業支援に従事。独立後、株式会社NOVASTO(現・株式会社RECORE)を設立し、小売・リユース向けクラウド基幹システム「RECORE」を開発、400社超に導入。著書「リユースビジネスの教科書」はAmazonベストセラー3冠。M&Aによるブランド成長とロールアップ戦略を推進。各種SNSはこちら