グレートアンドグランド株式会社は、医薬品や日用品、化粧品などの開発・製造から物流、販売までワンストップで行う企業だ。さまざまなカテゴリーの消費財を扱う160社以上の製造メーカーと連携し、小ロット多品種製造を可能にするなど、時代のニーズに合わせて進化を続けている。
今回は代表取締役の平野格氏に、代表に就任するまでの経緯や苦労したエピソード、会社の強み、今後の展望などについて話を聞いた。
ドラッグストア向けの商品を扱う会社に転職するまで
ーーシオノギヘルスケアから貴社の代表取締役に就任するまでの経緯を教えてください。
平野格:
シオノギヘルスケアで働いていた時に、同じOTC医薬品を扱うグレートアンドグランドに商品を提供したことがあり、幹部や社員と知り合いになっていました。
そして、シオノギヘルスケアを退職する時に、当時の代表取締役から「来ないか」と誘われ、シオノギヘルスケアで培った業界の知見などを活かせること、働いている人も知っている人が多かったことから入社することを決めました。
「リアル店舗+EC」を新たな武器に売上を伸ばしていく
ーー代表取締役に就任してから苦労したエピソードがあれば教えてください。
平野格:
弊社が設立された30年ほど前はドラッグストアの数は多くなく、1つの地域に10店舗ほどある状態でしたが、今は1000店舗以上もあるほど拡大しました。それによって、ドラッグストアが自社で商品をつくれるようになり、弊社が介在する余地が少なくなってきた時期に、私は代表取締役として入社しました。今まで売れていた中小企業メーカーの商品や、プライベートブランドなどの売上が減少しており、とても苦しい状況でした。
ーーその苦しい状況にどのように立ち向かっていきましたか?
平野格:
弊社の新しい強みをつくり、その強みを発揮して売上を伸ばしていける状況に変えていこうと考えて、今も動いています。今までのように商品を供給するだけの企業だと限界がくるので、「何か付加価値を付けた商品の開発や販売ができないか」と考えています。
たとえば、現代では店舗での販売だけでなくEC販売が伸び、各ドラッグストアからの参入も活発です。そこで、「リアル店舗+EC」を1つの武器にして弊社の販売の拡大を目指しており、少しずつ手応えを感じ始めているところです。
本質を見極めるための見える化を進める
ーー仕事を行う上で意識していることはありますか?
平野格:
ビジネスの仕組みを理解して、見える化していくことを意識しています。変化の激しい現代において、通用しなくなった今までのやり方を変えていくことは必要不可欠であり、改善すべき本質を見極めるための見える化が重要です。この見える化ができていれば、何か問題に直面しても、根拠をもって適切な解決策を選ぶことができると考えています。
動画を活用した業務効率化や販売促進
ーー改めて貴社の強みを教えてください。
平野格:
業務効率化を活発に進めているところが強みです。たとえば、業務のマニュアルを動画で作成しています。好きな時にいつでも確認ができ、細かい手順も伝わりやすいので、社員からとても喜ばれています。
また、弊社の営業マンが取引先の各メーカーの販売促進のために、商品のプロモーション動画を一緒につくることにも取り組んでいます。
社内でも動画を活用しており、今までPDF資料として配布していたコンテンツの情報やメルマガなどを動画につくりかえました。
すると売上が急速に上がったため、現代での販促活動において動画がどれだけ効果的で大事であるかを実感しました。
今後も、DXによる業務効率化や販売促進に力を入れていきたいと思っています。
失敗を恐れず前向きに挑戦していく気持ちを大切に
ーー日頃から社員に伝えていることはありますか?
平野格:
いろいろなことに前向きに挑戦していくことの大切さを伝えていますね。時には、やりたくないことをやらなければいけない場面もありますし、挑戦したことが必ずしも成功するとは限りません。
しかし、前向きに取り組んで失敗したのであれば、そこから得られる経験や知識もあり、全く問題ないと思っています。何も挑戦せずにじっとしていることが最も損失であると考えているので、いろいろなことに挑戦して前向きに仕事に取り組んでほしいと思っています。
クライアントと一緒に長く存続できる会社を目指す
ーー貴社の今後の展望を教えてください。
平野格:
クライアントと弊社の共同で、お互いが利益をつくっていける基盤をしっかり固めていきたいです。よりクライアントの売上を伸ばせる会社になり、それによって弊社の売上も伸び、社員の給料を上げ、クライアントも社員も満足できる会社をつくっていきたいと考えています。
そして長く存続できる会社でいられるように、クライアントと皆で今後も協力していきたいと思っています。
編集後記
商品が売れにくくなった厳しい時期に代表取締役に就任したにも関わらず、EC事業など新たな販路を開拓し、売上をつくってきた平野社長。
動画も活用し、社内の業務改善だけでなくクライアントの販売促進などにも力を入れている。さらなる挑戦と成長を続けるグレートアンドグランド株式会社から、今後も目が離せない。
平野格(ひらの・いたる)/1956年富山県生まれ、京都薬科大学卒業、1978年塩野義製薬株式会社に入社、2016年シオノギヘルスケア株式会社の代表取締役社長、2021年グレートアンドグランド株式会社の代表取締役に就任。