※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

株式会社アスマーク(1998年創業、東京都)は大企業をはじめとする広い産業界に顧客を持ち、毎年6600件超の調査を実施するマーケティングリサーチ企業だ。創業から順調に取り扱い数を伸ばし、売上高は直近2020年度の約25億円から2023年度は65%アップの約42億円と、右肩上がりの軌道を描いている。(※)

(※)株式会社アスマーク財務ハイライト

昨年末には東証スタンダード市場に上場し、名実ともに有力企業の仲間入りを果たした。会社のさらなる発展に意欲的な創業者の代表取締役、町田正一氏に、経歴や今後の展望について話を聞いた。

企業ニーズに合わせて選べるリサーチのソリューションが強み

ーー貴社の具体的な事業内容を教えてください。

町田正一:
簡単に言うとマーケティングリサーチ事業です。具体的には全国100万人のモニター会員にご協力いただいて、企業様の商品やサービスについて消費者の意見を集めることを主軸としています。インターネットで完結するリサーチの他に、会場に人を集めて対面でのリサーチも行なっています。

ーー貴社ならではの強みは何でしょうか。

町田正一:
リサーチ会社はオンラインリサーチか、対面で行うオフラインリサーチのどちらかを中心に展開をしているケースがほとんどです。

それに対して私たちはワンストップでどちらも行っています。クライアントはマーケティングの課題内容に合わせて、適切なリサーチ方法を選ぶ必要がありますので、その手助けを幅広い手段で提案できることが他社にない強みです。

また売り上げの3分の1が同業者からのオーダーというのもひとつの特徴です。大手リサーチ会社である同業者との取引に加え、エンドクライアント会社との直取引、この両方を手がける企業も少ないため、その点も独自の差別化ポイントといえます。

インターネット上でコミュニティを立ち上げ起業

ーー町田代表の経歴をお聞かせください。

町田正一:
私は高校時代に「起業して会社をつくるぞ!」と心に決めていました。単純に洋服がとても好きだったのでアパレル企業を作りたいと考えていました。

そうはいってもノウハウがないので、専門学校で勉強したあと1度社会に出て勤めようと思い、アパレル企業に就職しました。

5年ぐらいで独立したかったのですが、入社の翌年のバブル崩壊を機に一気に売り上げが落ち込んだため、アパレル以外の道のほうがいいと考えるようになりました。それから20代はずっと起業のネタを探して転職を繰り返していました。

ーーリサーチ業界に足を踏み入れた経緯を教えてください。

町田正一:
最後に勤めた会社がインターネットに関わる会社でした。インターネット分野の成功事例を探す中で、アメリカの企業が行う興味深いケースを見つけました。その企業は、インターネット上でテーマ別にコミュニティをつくり、会員向けに調査やサービスを行い上場を果たしていました。そこで、「コミュニティを活用して事業ができないか」と思いついたのです。

そこで、東急田園都市線の沿線に地域を限定してインターネット上の会員を組織し、5000人ぐらいまで規模を拡大できた段階で、マネタイズのためにその会員をモニターとしてリサーチ会社に紹介する事業を始めました。

海外への新規開拓を視野に営業組織の強化を進める

ーーどのように現在のマーケットリサーチ事業に行きついたのでしょうか?

町田正一:
最初の5年間はリサーチ会社への会員紹介だけを行っていたのですが、次第にリサーチ会社から、リサーチした結果を納品してくれないかと相談を受けるようになりました。

最初は事業がバッティングするからと断っていたのですが、お客様のご要望にはすべて応えたいと思い、対応するようになりました。その結果、だんだん業務範囲が広がりリサーチ事業を本格化させたという流れです。

ーー今後の注力テーマについてお聞かせください。

町田正一:
国内マーケティングリサーチ市場の数倍規模のマーケットである海外リサーチ事業でのシェア拡大に力を入れていきます。現在49ヵ国の現地リサーチ会社とパートナー関係にあるのでそれを活かしていく方向です。

またリサーチから派生した新規事業をどんどんリリースしていく方針です。リサーチのビジネスで培ったノウハウを活かして仕事の幅を広げていきたいので、たとえばHR領域など、リサーチがベースにある事業に精力的に取り組んでいきます。

ーー営業部門の強化も目標に挙げられていますね。

町田正一:
強い営業組織をウリにして会社が成長してきましたが、営業担当者の人数が増えてきたことでベクトルに若干のズレが出て、組織の力が弱くなってきた気がしています。会社のミッションをしっかり理解して皆が同じ方向を向いて仕事ができるように、今一度基本に立ち返って組織を強化していきたいと思います。

これからも会社を成長させていきたいので、一番重要な営業セクションの人員を積極的に増やしていきたいと考えています。

ーー採用したい人物像はありますか?

町田正一:
自分がこうなりたいという思いがあって、そこに向かって志を高く持って進んでいける人が望ましいですね。つまり成長意欲を持って取り組む人です。常に目標をもって仕事に打ち込み、自分の夢に向かって頑張ることができる人を求めています。

全力で頑張って結果を出せる人や、マネジメント資質がある人には若くてもどんどん上のポジションをお任せしますから、他の会社と比べて成長のチャンスは多いと思いますよ。

編集後記

町田代表によると、現在同社で95%を占めるマーケティングリサーチの売上比率について、「5年以内に新規事業の数字を上げて50%ずつにしたい」とのこと。

毎年30名のうち10名は新卒社員を入れて新規事業に真剣に取り組んでいくという同氏。5年後にどんな成長を描いているかとても楽しみだ。

町田正一/1967年生まれ。アパレルの専門学校にてデザインを勉強後、メーカーへと就職。その後、営業、商品企画など複数の仕事を経験し、試行錯誤の中で「マーケティングリサーチ」産業と出会い、起業。2001年に有限会社マーシュを設立。2018年に株式会社アスマークに社名変更。同社代表取締役として、業界の発展に注力している。