※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

横山石油株式会社は、エネルギー事業・ライフ事業・車両販売買取事業・車検整備事業の4つの事業を展開している岡山県の会社だ。2022年にはコインランドリーとドッグトリミング、洗車ができる複合型施設を岡山県で初めてオープンし、話題を呼んだ。

今回は代表取締役社長の横山圭介氏に、これまでのキャリアや苦労したエピソード、事業の強み、今後の展望などについてうかがった。

経営者になる前の修業として入社したコスモ石油

ーー大学卒業後にコスモ石油へ入社したきっかけを教えてください。

横山圭介:
私は3人兄妹の中で1人だけ男だったので、いずれは家業を継がなければいけないだろうと意識していました。家業は大正2年(1913年)からの歴史があるので絶やすわけにはいきません。

まずは、当時のコスモ石油株式会社(現・コスモエネルギーホールディングス株式会社)には後継者育成プログラムがあったので、会社を継ぐ前の修業として入社することを決めました。

コスモ石油での2年間は現場であるガソリンスタンドで仕事をしていました。もともと2年後には地元の岡山に帰り会社を継ぐ予定だったのですが、まだ経験が足りないと感じたため、子会社である東京コスモ石販株式会社(現・コスモ石油販売株式会社)に1年半在籍しました。

そこでは経理として伝票処理や決算などを担当していました。仕訳や決算の基礎的な知識を身につけることができ、その後の仕事に活かすことができました。

社内の問題解決や組織づくりに向き合った、入社後の約10年間

ーー横山石油株式会社に入社して苦労したエピソードを教えてください。

横山圭介:
当時は石油業界が儲かっていたので、一生懸命に働かなくても会社の収益は保たれるという状況でした。

安定した収益が確保されているのはいいことかもしれませんが、その弊害として社内に一生懸命に働く社員が少なく、ビジネスパーソンとしての素養を持った人材がほとんどいないという事態になっていました。

それが原因で引き起こされるトラブルも多かったので、入社してから10年近くはその問題解決や組織づくりにひたすら取り組んできました。

ーーそのような苦難に立ち向かえたのはなぜですか?

横山圭介:
「これは経営者の宿命だから逃げるわけにはいかない」といった気持ちを持っていたからだと思います。ずっと前向きだったわけではないのですが、少なくとも「逃げる」という意識は最初からありませんでした。

当時は長く暗いトンネルを進んでいるような感覚でとても大変でしたが、あのときの苦しみがあったからこそ、今の弊社があると実感しています。

必要とされる企業への変革!岡山から広がる事業展開

ーー多角的に事業を展開しているのはなぜですか?

横山圭介:
私が入社した当時からガソリンスタンド・産業用燃料・LPガスの3つの事業を営んでいました。これらを成長させていくつもりだったのですが、「世の中から、より必要とされる会社になろう」と考えたとき、今の3つの事業だけでは足りないのではないかと思うようになりました。

そして今まで弊社が取り組んできたことの延長線上にある事業にも取り組み、広く世の中に展開していこうと思い、住まいや車、エネルギーといった分野にも注力するようになりました。

ーー新しく取り組んでいることを教えてください。

横山圭介:
コインランドリーの事業に取り組んでいます。ただのコインランドリーではなく、ドッグトリミングと洗車も同時にできる複合施設です。売上が好調だったので、2店舗目もつくる予定です。

このように、うまくいっているものを組み合わせて新たなことにも挑戦し、それを少しずつ成長させていきたいと思っています。

ーー貴社の強みを教えてください。

横山圭介:
1つ目は、岡山のみならず、近県において一番といえる強固な基地を持っていることです。たとえば災害が起きたときでも自家発電でエネルギーを安定的に供給することができ、衛星電話も使えるので、地域で最も頼りになる基地だと思っています。

2つ目は、社内活性化につながるイベントを行っていることです。忘年会や新年会といった節目でのイベントや、35年以上続けている社員旅行など、社内活性化につながる交流の場を増やしています。

ーー文化芸術の鑑賞機会を提供するNPO法人や、労働委員会の使用者委員も務めていますが、これらに携わるきっかけは何でしたか?

横山圭介:
関係者の方々から声をかけていただき、携わることになりました。労働委員会では他の会社の労務トラブルに関わることで、「自社では同じような問題が起きないようにしよう」という意識を持つことにもつながっているので、弊社の経営にも役立っています。

未来ある若手に向けて「まずは迷わず挑戦を」

ーー今後、成し遂げたい目標があれば教えてください。

横山圭介:
私はもうすぐ60歳になるので、社長の座を次の人に渡さなければなりません。そのとき渡された人に嬉しいと思ってもらえるような会社にしたいと思っています。

持っている資産をリフレッシュして価値のあるものに変えていき、それが将来、弊社の収益の一助になるような流れをつくっていきたいですね。

ーー最後に学生や若手人材に向けてメッセージをお願いします。

横山圭介:
やりたいと思う仕事には迷わず挑戦してほしいと思います。やらされる仕事で良い仕事をすることは絶対にできないので、「この仕事をやりたい」という気持ちを強く持つことが大切です。

その結果、失敗したとしても、貴重な経験値となってその後の自分を助けてくれるので、積極的に挑戦する姿勢で仕事に向き合ってほしいと思います。

編集後記

「やりたいと思う仕事には迷わず挑戦してほしい」というメッセージを伝える横山社長。そのように伝える背景には、うまくいった事業を組み合わせてさらに新しい事業に挑戦し、価値を生み出してきた経験がある。

コインランドリーの事業をはじめ、横山石油株式会社は今後も新たな挑戦を続けていくだろう。

横山圭介/1965年岡山県生まれ、日本大学卒業。コスモ石油株式会社(現・コスモエネルギーホールディングス株式会社)に2年間、東京コスモ石販株式会社(現・コスモ石油販売株式会社)に1年半在籍したのち、1991年横山石油株式会社に入社。2006年横山石油株式会社の代表取締役社長に就任。本業のほかNPO法人バンクオブアーツ岡山で理事長、岡山県労働委員会で使用者委員を務める。