※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

2008年から株式会社タカマコンペティションプロダクトの代表取締役を務める高間智子氏は、役者業やMC業の経験を経て経営の世界に足を踏み入れた異色の経歴を持つ。祖父が立ち上げた会社を継ぎ、全国展開している自動車パーツの専門商社を営む高間社長に、経営者としての信念や、商品の特徴、採用戦略などについて詳しく聞いた。

自由な社風を大切に!他業種で培った客観的な視点が経営の強みに

ーー経営者として大切にしていることはなんですか?

高間智子:
経営者としての考えがぶれないようにすることです。弊社の社員はいろいろな場所で営業をして、さまざまな案件を持ってきてくれます。判断は現場の社員に任せていますが、何かあったときに最後に責任をとるのは経営者である私です。だからこそ、責任をとれないことに対しては「NO」とハッキリと言うようにしています。

もうひとつはあまり口出しをしないことです。自動車のパーツを扱う会社を経営していると、「車が好きなんですか?」と聞かれることも多いのですが、正直なところ、私は「車は乗れればいい」と思っていたタイプです。商材に関しては絶対的に現場の従業員の方が詳しいのですよね。

ーーだからこそ従業員を信頼して自由な社風を大切にしているのですね。

高間智子:
その通りです。従業員の多くは、車が好きでこの仕事に就いています。好きなことを仕事にできることは、とても素晴らしいことであり、幸せなことです。ですから私はどうやってこの環境を維持することができるかを考えるようにしています。私が車にあまり詳しくないということがプラスに作用することもありますね。経営者として客観的な視点を持ち続けられるからこそ、見えてくる世界もあります。

2008年の社長就任から業績は右肩上がり!走りを重視する顧客に向けた商品を

ーー貴社の事業内容についてお聞かせください。

高間智子:
弊社は1912年創業の会社です。112年の歴史があり、祖父が工場として自動車部品を製造したことがはじまりです。モータースポーツの機能部品を広めたパイオニア的企業でもあります。卸売に業態を変えたのは、1953年でした。国産車が増えてパーツを製造する会社が増えたこともあり、次第に海外製パーツの輸入代理店など商社事業をメインにする流れになって今に至ります。

ーー取り扱う商品にはどのような特徴がありますか。

高間智子:
車をカスタムする方の中でも、特に走りを重視したい方向けの商品を多く取り扱っています。既存の車にプラスアルファの付加価値をつけるための商品として、たとえば、車高を低くして車を安定させたうえで重心がブレないように走行するためのパーツをイメージしていただければ、わかりやすいかもしれません。

チューニングやカスタマイズに用いるアフターパーツはどちらかといえばマニア向けですが、製品一つひとつに誇りを持っており、勉強会を行うなど、お客様のニーズに的確な対応ができるように心がけています。

ーー業績を伸ばしてきた背景について聞かせてください。

高間智子:
社長に就任したのは、ちょうどリーマン・ショックから回復してきた時期です。時期的な要因にも後押しされつつ、商材と販路が顧客のニーズに合っていたという点が大きいでしょうね。ETCやドライブレコーダー、地デジなどが普及するタイミングで特需の恩恵を受けたことも追い風になりました。おかげさまで業績はずっと右肩上がりです。

個性ある人こそ活躍できるのがタカマコンペティションプロダクト!

ーー人材戦略についてはどのような考えをお持ちでしょうか。

高間智子:
若手の採用や教育にも力を入れています。弊社の事業は業界の中でも特にニッチな分野であるため、弊社のスタイルに合わせたオーダーメイド型の研修やセミナーを実施しています。

また、お金に関する知識は業務にも生きてくるため、業務に直接関係はありませんが、NISAに関するセミナーなども開催しています。仕事をするうえで情報を持っていることも一つの強みになります。知識の幅を広げて、一人ひとりが経営者のつもりで仕事をしてほしいという思いからですね。

ーー人材採用で重視していることは何ですか?

高間智子:
従業員の平均年齢は少しずつ若くなっています。今後も、若手を積極的に採用していきたいと考えています。また、営業部門で活躍してくれる人材も増やしていきたいですね。もちろん、営業にこだわらず、採用時には「一番あなたにとってやりやすい環境の仕事をしてほしい」と伝えています。

ーー貴社では実際にどんな方が活躍していますか?

高間智子:
個性がある人、そして芯がある人が活躍しています。みんな前向きに、自分の個性を発揮していますね。お客さまも個性豊かですから、対等に「車が好き」という世界を共有して話をすることができるような人であれば、きっと力を発揮できるはずです。さまざまな個性の人とうまくやっていけるコミュニケーション能力も大切な要素だと思います。

ーー今後の事業展望についてお聞かせください。

高間智子:
おかげさまで社長に就任してから、業績も順調に伸びています。“走り”に特化したパーツを中心に取り扱い商材も増えています。

車のパーツは車種や年式によっても変わってくるので、商品点数も多く、煩雑です。ですから、車種が異なっても使える汎用パーツの取り扱いが自然と増えています。弊社の販路は、タイヤメーカー専門店や大型量販店、新車ディーラーなどさまざまです。基本的にはお客さまが必要としてくださる限り、私たちから制限するのではなく全てのニーズにお応えしていくつもりです。また、個人的には自然や動物が好きなのでSDGsの視点から社会に貢献できる取り組みにも挑戦していきたいですね。

編集後記

創業から100年以上の歴史を持つ株式会社タカマコンペティションプロダクト。車の知識や経営の知識もないところからスタートし、企業の業績を右肩上がりに成長させてきた高間社長は、“従業員を信じる”経営を自然体で行なっているようにも見えた。他業界の経験があるからこその広い視野で、従業員が能力を発揮できる環境の整備にも配慮する。プロフェッショナルサービスのスペシャリスト集団を育てたいという強い思いが伝わってきた。

高間智子/MC業や役者活動をしたのち、祖父が立ち上げた株式会社タカマコンペティションプロダクトに2005年に入社。2008年に代表取締役に就任。