※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

総合デベロッパー会社に入社後7年で取締役に就任。その後、創業者として互恵デベロップアーク株式会社を立ち上げた松村恭宏氏。同社の2023年度の売上は、前期比で約230%の成長を記録している。既存事業に加えて、新規事業の古民家再生も計画している松村社長に、事業開発の背景や今後の採用方針についてうかがった。

前職の会社から後押しされ起業

ーー互恵デベロップアークの社長に就任した経緯を教えてください。

松村恭宏:
学生時代は不動産業界を中心に就職活動を行っていました。自分たちで戸建て住宅を建ててデザインもできるデベロッパーの仕事に興味を持ち、前職の会社に入社しました。

20人規模の総合デベロッパー会社でしたが、裁量の範囲が広く、早く成長できそうだと感じました。「実績を上げたい」という思いで仕事に励んでいましたが、私が33歳のとき、当時の社長に「起業したほうが君の人生がより輝くのではないか」と勧められたのです。そこで、互恵デベロップアーク株式会社を立ち上げるに至りました。独立後も社外取締役として昨年まで、前職の会社には関わらせていただきました。

ーー独立後は、どのような事業を行いましたか。

松村恭宏:
前職と同様にデベロッパーとして、不動産の購入や新築などを手がけました。デベロッパーは、不動産業界の中でもやや特殊な位置づけです。仲介業や管理業のようなサービス業ではなく、事業主となって不動産を購入するところから始まります。

新築物件を建てる以外に、中古の戸建てや空きビル、工場、倉庫などを購入することもあります。居住用から事業用まで、幅広い物件に対応する事業スタイルです。その他、京都の古民家にお風呂やサウナを設置してデザイナーズ(デザイン性に優れた物件)に改装した旅館の運営といった新規事業にも取り組んでいます。今年は上野にRC造のファミリー向けホテルも着工予定です。

権利関係の整理や測量にも対応できる機動力が強み

ーー中小デベロッパーならではの強みは、どのようなところにあるとお考えですか。

松村恭宏:
大手デベロッパーでは、財閥系のマンション建築を中心に扱ったり、郊外の戸建て住宅を中心に扱ってまちづくりをしたりすることが多いと思います。弊社は、中小としての機動力とデベロッパーとして20年蓄積してきたキャリアや知識を活かしながら、小回りの利く仕事に対応できます。

たとえば、一棟現場(その土地に周囲と関係なく一棟だけ建っている新しい建築物)から仕入れることもできますし、500万円以下の小さな物件でも購入することができます。また、大手では測量ができないケースや、「私道通行掘削承諾書」がそろっていないと物件を購入できないケースも多いのですが、弊社は権利関係の整理や測量が難しい物件も購入しています。自社で権利や調整が必要な仕事もお引き受けできるところが、弊社の強みです。

ーー他にも貴社ならではの強みや特色はありますか。

松村恭宏:
私は建築士の免許を持っているため、リノベーションにも柔軟に対応できます。弊社で年間約3億円以上をかけてリノベーション代金を拠出し、スケールメリット(規模拡大による優位性)を発揮しています。

個人の方が行うリノベーション費用より、弊社ではスケールメリットを活かし約20%〜30%費用を抑えて対応することが可能です。築年数30年以上の古いビルを売却する際には、場合によっては1億円ほどの費用をかけて1棟丸ごとリフォームする事もあります。弊社ではリフォーム対応から可能であるため、リフォーム前の物件をそのまま買い取ることも可能なのです。不動産に関する悩みを抱える企業や個人の方に対して、多種多様な解決策を提案できる窓口のような存在になっているのではないかと自負しています。

経験よりも成長性・自主性・積極性を重視

ーー最後に、求める人材像についてお聞かせください。

松村恭宏:
デベロッパーの営業は特殊なので、経験者の絶対数が少ないのです。また、経験があれば有利というわけでもありません。弊社では過去3年間、未経験の方を採用してきました。1から仕事の基礎を伝えていくほうが伸びやすいと考えています。新卒の受け入れ体制も整い、2025年度からは随時入社予定です。

少人数の会社なので、広い範囲の業務を1から10まで自分の裁量で担うことができます。自主性と積極性を持ち、「自分が主役になって成長する」という意識で責任を持って仕事に臨んでくれる方にぴったりの会社だと思います。

編集後記

「仕事を全力で楽しむ」というモットーを掲げ、バランスシート経営にも注力している互恵デベロップアーク株式会社。2023年度の売上は、前期の9億円から21億円にまで伸びる成長をみせた。「年商50億円を超えるところまで会社を成長させたい」と松村社長は語っている。古民家再生の新規事業も含めて、今後さらなる活躍が期待される企業として注目したい。

松村恭宏/1982年、京都府生まれ。新卒で総合デベロッパー会社に入社後、7年で取締役に就任。2017年に互恵デベロップアーク株式会社を設立し、代表取締役に就任。2023年まで前職の会社の社外取締役も兼任。