住宅用太陽光発電はここ数年、再生可能エネルギーの底堅い需要が追い風となり、導入数を維持し安定した推移を見せている。一方で新設住宅の着工件数の伸び悩みを受けて、付加価値を追求した商品や企画など、応用力を駆使した経営手腕が求められるとの見方もある。
2011年に設立したブルーコンシャスグループ株式会社(大阪市)は、住宅用太陽光発電や蓄電池をメインとしたエネルギー関連商材の販売を手がける企業だ。オリジナルブランド製品の開発とともに、「最長22年の保証制度」をはじめアフターサービスの拡充にいち早く着手。同業他社とは一線を画し、企画から販売、アフターサービスまでワンストップで展開しているのが大きな特徴だ。
近年はエネルギー関連にとどまらず、住宅のリフォームや業務用エアコン、WEB関連事業、福祉事業に至るまで、多角経営に乗り出している。仕掛人であり創業者の代表取締役社長兼会長・髙松豪氏に、経歴や経営方針について話を聞いた。
人と話すのが好きな特技を営業に生かして起業に至った
ーーまずは、ご経歴をお聞かせください。
髙松豪:
前職では飛び込み営業を当たり前のようにしていました。私は個人のお客様を対象とした営業が得意でしたので、運よく成績を上げることができ、入社後3年ほどで営業部長に昇格しました。
最年少ということもあり、その直後にこの昇格を面白く思わない先輩たちが全員辞めました。裏を返せば当時の社長もそれだけの覚悟を決めて私を抜てきしたのではないかと思います。
ーー独立開業した動機は何でしたか?
髙松豪:
もともとどこかの会社に属することへの苦手意識があり、自分で事業を興したいという気持ちがスタート時点からありました。
前職の会社の社長になろうとは思っていなかったので、ステップアップの1つとして修業させていただき、準備が整ったところで起業しました。
ーー高い営業成績を収めたコツを教えてください。
髙松豪:
私は生来人と話をするのが好きなタイプです。法人営業はともかく、個人営業は人好きであれば突破口が開きます。相手に対しフレンドリーに接して仲良くなることを大前提として、何よりも営業力にこだわっています。コツかどうかは分かりませんが、私の場合は親身になって相手の話を聞くことを心がけてアプローチしていました。
あとは夢中になることがなにより大事です。取り組む仕事に対して夢中になれば、自分の願いはきっとかなうと信じています。
攻めの営業と守りのアフターをうまく組み合わせた戦略が強み
ーー貴社の注力テーマや強みをお聞かせください。
髙松豪:
大前提としてなによりも営業力にこだわっています。買っていただかないと利益は生まれないので、妥協せずに営業に力を入れて取り組んでいます。
商品やサービスを売りっぱなしではビジネスは成り立ちません。そのため、次に大事なのは買っていただいたお客様に満足していただくことです。満足していただけないと、契約をとってもキャンセルされてしまいますので、プラスアルファの付加価値を付けたアフターサービスが必要になります。
具体的にはメンテナンススタッフを増強したり、カスタマーサービスの充実といったフォロー体制を構築してきました。バックヤードも抜かりなくケアしてきたことで「攻めと守り」のバランスにつながっていると思います。
ーー成長を築いた秘訣はほかに何があるのでしょうか?
髙松豪:
強さを保つために企業価値を上げようと、設立から3年ほど経った頃からブランディングの構築に取り組んできました。
訪問販売の営業会社、特にエネルギー関連は山ほど同業他社がいますので、同じようにやっていたのでは埋もれてしまいます。独自路線を歩むためにも、他社との差別化を図るべく自社ブランドを開発し、会社の価値を上げる努力を怠らないようにしています。
社内の持株制度で功績を還元して結束力を高める
ーー新しく始めた社内方針があるとお聞きしました。
髙松豪:
今年から始めた自社株の持株制度の導入です。会社の株は社外の人に保有してもらうのが一般的ですが、弊社は外には出さずに社内で保有する方針に切り替えています。
当社の役員や子会社の社長になった場合、頑張った人たちに会社の株を持ってもらうことで、会社の価値を一緒に高めていきたいという趣旨で、今期からスタートしています。
働く自分たち自身が幸せになれるように、そして企業活動をともにするために自社株を持ち合うべきだと思うからです。
ーー今後のテーマや目標をお聞かせください。
髙松豪:
エネルギー事業1本だけで全国展開することは考えず、今後はもっと多様性を持たせた事業を展開していく方針です。
個人販売にこだわらない方針であることから、エアコンの法人営業にも取りかかっています。そのほか障害者の就労支援やグループホームに関連する事業や不動産にも事業を拡大しています。今後は海外進出も視野に入れ、より多角的にビジネスを展開していきたいと思います。
ーーどのような人材を採用したいとお考えでしょうか?
髙松豪:
営業はなによりも人柄が肝心なので、以前の肩書や経歴は関係ないと思っています。話してて楽しい人、元気で謙虚さがあってポジティブなエナジーを持っている人、そんなキャラクターに魅力を感じます。
最近の若い人はおとなしい人が多い印象です。たとえば私の携帯電話の番号を教えれば、本当にかけてくるくらい気概のある人が望ましいですね。
編集後記
23歳で営業部長に抜てきされるなど、非凡な営業センスとアグレッシブさを兼ね備えた髙松社長。行動派で前のめりなスタンスに目がいくが、実は細かい部分にケアを施し、豊富な経営オプションを取りそろえるなど用意周到な側面もある。新しい企画やサービスを次々に出しているのはそのせいだろう。今度はどんな戦略を繰り出していくのか、楽しみがつきることはない。
髙松豪/福岡県出身。オール電化システムを扱うエネルギー会社で15年間勤務。トップセールスとして活躍し、23歳で営業本部長に就任。25歳で常務取締役に就任後、35歳で独立起業。2011年、ブルーコンシャス株式会社を設立する。代表取締役を10年間勤め、2021年8月より社名変更とともに、ブルーコンシャスグループ株式会社の代表取締役社長兼会長となる。