※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

水・空気・エネルギー分野において給排水設備や住宅関連設備などを開発・販売する橋本産業株式会社。1947年の創業から現在に至るまで、多様なニーズに応える丁寧な提案で、顧客からの根強い信頼を獲得している。

そんな同社を牽引するのが、代表取締役社長の橋本浩一氏だ。自ら進んで難しい道を選択し、突き進んできたという同氏に、経営者としての価値観や同社の強さの理由を聞いた。

商社・メーカー・エンジニアリングの3つの機能によるシナジー効果が強み

ーー橋本産業の事業内容について説明をお願いします。

橋本浩一:
弊社は、商社機能・メーカー機能・エンジニアリング機能の3つの機能を持っています。商社機能としては、お客様からのヒアリング内容に基づき、独自のノウハウや専門知識を活かして給排水・衛生設備や空調設備などのサービスを提供しています。

メーカー機能としては、お客様のニーズに応じて自社製品の設計・開発・販売を行っています。そしてエンジニアリング機能としては、販売した機器の取り付けや配管まわりなどのメンテナンス、不具合が生じる前に対策をとる予防保全などを引き受けています。この3つの機能を持っている弊社のような会社は、業界内でも非常に珍しい存在かと思います。

ーー貴社の強みはどのような点にありますか。

橋本浩一:
弊社では各部署が垣根を越えて積極的にコミュニケーションをとっています。商社・メーカー・エンジニアそれぞれが合わさることでシナジー効果が生まれるというのは、他社にはない強みだと言えます。

また、人間関係を大切にしている会社なので、社内の交流イベントも活発です。社内だけでなくお客様との関係構築を非常に大切にしていることも、弊社の強さの理由の一つだと考えています。

ミドルアップ型組織で社員の自立性や当事者意識を育てる

ーー営業部門の体制強化や営業マンの教育制度について教えてください。

橋本浩一:
地域別や商品別の縦割り組織だけでなく、テーマごとのプロジェクトチームや委員会などの横割り組織も設けています。例えば、営業活動が属人的にならないように、若手社員を中心に自らマニュアルを作成し、営業活動を標準化しています。

「マニュアルを作成したい」というのは実は社員から挙げられた案でした。弊社では部下や現場の意見を積極的に吸い上げるミドルアップ型経営を心がけています。

ーー他にもミドルアップで採用された案はありますか。

橋本浩一:
「ペーパーレス化を進めたい」という声が挙がったため、ファックスを使わず、紙の利用を減らすといった取り組みを進めています。また、ミドルアップではありませんが、健康経営への取り組みやSNSでの発信も力を入れているところです。

マニュアル作成やペーパーレス化の取り組みなどは、社内の若手チームが話し合いを通じて見つけた課題です。弊社では、話し合いを通して課題を見つけ、解決に向けた道筋を自分たちで考えることができる環境を整えています。

IT技術を活用しながらも最後に重要なのはやはり「人」

ーー貴社の採用活動と活躍している方の特徴について教えてください。

橋本浩一:
新卒採用のプロジェクトを立ち上げ、ウェブの採用ページもリニューアルしました。

橋本産業株式会社採用ページ

新卒で入ってきた方々は、弊社の採用サイトやSNSを見て興味を持ってくれたケースが多かったため、採用サイトを新しくしてより魅力や社風を伝えたいといった狙いがあります。

また、弊社は年齢や年次、役職などに関係なく活発に議論できる環境が特徴です。熱意や向上心、誠実さがある人が特に活躍しているので、この3つの要素を兼ね備える人材を育てていけたらと思っています。

ーー5年後や10年後の展望、100年目に向けた意気込みなどをお願いします。

橋本浩一:
今後力を入れたいことの一つは、DX(デジタル技術を活用した業務プロセスの改善)です。生産性が上がれば社員たちのモチベーションも上がるので、それが結果として業績アップにつながればと考えています。今後5年ほどは、DXと人材教育に力を入れていきたいですね。

また、今後は生成AIや量子コンピューターの分野が発展していくかと思います。ただ、弊社のような建設業は最後に人が手を加えなければ回らない業界なので、どうしても人の力が必要になります。

そのため、DXやAIなどの技術を活用しながらも、「最後はやはり人が大切」というコンセプトを掲げながら国内外で事業を展開していきたいです。

編集後記

「楽な道と難しい道がある場合、私は難しい道を選ぶように気をつけています。楽な道は後からでも選べるため、今まで難しい道を選択してきました」と語る橋本社長。

また、会社では社員たちに「まずは行動してみよう」と伝えており、考えるよりまずはチャレンジすることが大切とのこと。人間関係を重視したアットホームな環境でありながら、挑戦できるチャンスを社員たちに積極的に提供している点が、橋本産業の魅力であり強さの理由なのだと感じた。

橋本浩一/1964年、東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業。日商岩井株式会社(現:双日株式会社)に入社し、5年間の修業期間を経て1992年に橋本産業株式会社へ入社。2007年に代表取締役社長に就任。