※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

犬猫の飼育頭数は子どもの数を上回っており、ペットは今や人々の生活に欠かせない存在となっている。そんな中、飼い主の「愛するペットとできるだけ長く一緒に過ごしたい」という思いの実現に取り組んでいるのが、ペットゴー株式会社だ。

同社はペットの健康寿命を最大化することに貢献し、飼い主もペットも暮らしやすい社会の構築を目指している。今回、代表取締役社長の黒澤弘氏に、創業の経緯やサービスの特徴、同社が目指す社会について聞いた。

高付加価値な機能性フードで事業を拡大

ーー創業のきっかけを教えてください。

黒澤弘:
実家が日用品雑貨の卸売業を営んでおり、ペットフードも取り扱っていたことがきっかけの1つです。ペットは人間にとって大事な存在でありながら、ペットの医薬品分野にしっかりと取り組んでいる会社が当時はありませんでした。

今後、ペットの機能性フードや医薬品は需要が高まると思っていましたし、ECや流通分野にはポテンシャルがあるだろうと考えました。そこで、インターネット技術を活用し、ペットに最適な機能性フードや医薬品を提供したいと起業しました。

ーー創業から現在に至るまで、ターニングポイントはありましたか。

黒澤弘:
2008年、高付加価値である機能性フードの提供を始めたのが1つのターニングポイントです。それまでは付加価値の高くない商材を取り扱っており競合が多く存在していました。そこで、ヘルスケアの分野に進出し、ペットの健康維持に役立つ機能性フードの提供を開始しました。

2つ目のターニングポイントが、自社ブランドを始めたこと。ナショナルブランドの商品が欠品したり、廃盤になったりすると、飼い主は購入していた商品がなくなり困ってしまいます。そこで、飼い主に継続して商品を提供していくために、自社ブランドを立ち上げました。

D2Cブランドの拡充で海外ブランドに対抗していく

ーー貴社の事業を通して、社会にどういった価値を提供したいと考えていますか。

黒澤弘:
ペットは人間のライフスタイルに欠かせないパートナーであり、ペットの重要性は高まっています。私たちは、ペットが健康で幸せに暮らし、飼い主とできるだけ長く一緒にいられるようにお手伝いをしていきたいです。テクノロジーを駆使してペットの健康寿命を最大化することが、私たちの使命だと考えています。

ーー貴社の代表的なサービスや事業について聞かせてください。

黒澤弘:
2020年にD2C(自社ECサイトを通じて顧客に直接製品を販売すること)ブランド「VETSOne(ベッツワン)」を立ち上げました。

これは、ペットデータを徹底的に分析して企画開発したペットヘルスブランドで、2024年5月時点で機能性フードは23SKU(※)、動物用医薬品は17SKU取り扱っています。2020年から、ラインナップを迅速に増やしてきました。

今後はさらにラインナップを増やし、海外ブランドで独占されているこの市場で弊社が確固たるポジションを築いていきたいですね。

また、Amazonやau PAYマーケット、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのマルチチャネルでの販売も非常に重要視しています。

自社サイトでしか商品を販売しないメーカーの直販ECは、今後増えていくことが予想されますが、メーカーの直販ECに対抗するためのチャネル展開として、マルチチャネルでより幅広く販売する戦略をとっています。

(※)SKU:Stock keeping Unitの略。在庫管理上の最小の品目数を数える単位のこと。

健康寿命の最大化を実現して幸せなペットライフへ

ーー今後の展望を教えてください。

黒澤弘:
機能性フードや医薬品など、病気の犬猫を対象としたニッチな商品の市場は、このままでは海外の企業に奪われてしまいます。海外メーカーに何か問題が起きたとき、弊社が代わりになれるようしっかりとしたポジションを今つくっているところです。

また、犬猫と一緒に住んでいる人々の暮らしが、私たちの力で少しでも良くなればと思っています。そこでまずは、ペットの健康寿命の長期化やペットとのより良い暮らしを実現していきたいです。お客様から「ペットゴーがいたから暮らしやすくなった」や「ペットゴーがいたからうちの犬猫がハッピーになった」と言ってもらえたら嬉しいです。

そのほか、時代に合った働き方を許容するなど、従業員にとってもより良い会社になる必要がありますし、社会に貢献できる会社になることも重要です。これからの10年、20年かけて、そういった会社をつくっていけたらと思っています。

編集後記

ペットに長く健康でいてもらいたいと思うのは、飼い主であれば当たり前のこと。同社の商品は、ペットの健康を願う飼い主たちにとって必要不可欠な存在だ。海外ブランドに負けない会社を目指し、日々さまざまな戦略を練っているペットゴー。同社の取り組みが、ペットたちの健康寿命を延ばし、さらなる豊かなペットライフをもたらしてくれるだろう。

黒澤弘/1971年秋田県大館市に生まれ。1994年中央大学経済学部卒業、1994年住友商事株式会社入社、2000年McKinsey&Company入社。2004年ペットゴー株式会社設立代表取締役就任(現任)、2017年ペットゴープロダクツ株式会社代表取締役就任(現任)。