株式会社ブランジスタは、2000年の創業から現在に至るまで、プロモーション支援や販促支援、電子雑誌の創刊、地方創生など、さまざまな取り組みを通して社会に貢献してきた。
今回、株式会社ブランジスタの取締役、そして株式会社ブランジスタメディア兼株式会社ブランジスタエールの代表取締役社長を務める井上秀嗣氏に、ブランジスタグループの強さの理由や、経営者として大切にしている考えなどを聞いた。
予告ホームランで相手の期待を超える
ーー代表取締役社長へ就任後の気持ちや苦労について、聞かせてください。
井上秀嗣:
私は現場のプレイヤーからはじまり、管理職や取締役を経て代表取締役社長になりましたが、最終責任者は初めてでしたので精神的にも大変だったことを思い出します。
それでも有言実行は常に心掛けてきましたね。「もしかしたらできないかもしれない」と思うような困難があっても、あえて「これをやる」ということを口に出すことで自分を追い込んできました。予告ホームランこそが、相手の期待を超えていくのだと思っています。
著名タレントをプロモーションに使うことで、「埋もれないコンテンツ」をつくる
ーー事業内容について、教えてください。
井上秀嗣:
株式会社ブランジスタエールではプロモーション支援事業、株式会社ブランジスタメディアではメディア事業を主に行っています。
プロモーション支援事業では、誰もが知っている著名タレントの写真・動画素材が使えるプロモーションツール『アクセルジャパン』を提供しています。
情報過多な現代においては、自社の事業やサービスがほかの情報に埋もれることなく、いかに人々に見つけてもらうかが課題となっています。著名タレントを使うことで他社と差別化し、ほかの情報に「埋もれないコンテンツ」を生み出しているのが強みの一つです。
また、メディア事業では月間666万人(2024年9月時点)ほどのアクセスがある旅行電子雑誌『旅色』の企画・編集・制作・運営を手がけています。『旅色』には、社員が営業して契約を獲得した飲食店や宿泊施設、レジャー施設など、約7,000の施設が有料で広告を出稿しています。コンテンツづくりから広告の出稿まで、自社で一貫して担っているのが特徴です。どちらの事業も唯一無二という部分を重要視してビジネス設計をしています。
ーーメディア事業はコロナ禍で大きな影響を受けたのではないでしょうか。
井上秀嗣:
ブランジスタメディアでは、サービスの設計・制作・配信から販売までを手がけられるという強みを活かして、コロナ禍でも旅行メディアに出来ることを考え、『旅色』で旅行プランや記事の更新を続けました。こんな時だからこそ情報を止めずに発信し続けることが大切だと考えていましたし、新企画の『旅色お取り寄せグルメ』も立ち上げました。全国の名産品をECサイトで販売することで旅行できない間でも全国の食をご自宅でお楽しみいただけますし、飲食店を応援したいという思いがありました。その結果、コロナ禍でも赤字にならず、また社員を1人も退職させることはなかったです。
ーープロモーション支援事業の強みを教えてください。
井上秀嗣:
通常、タレントを起用するためには数千万円の高額なギャランティや撮影費、制作の手間がかかりますが、当社が全て負担することで、参画企業の皆様は初期費用0円、月々定額でタレントを起用することができるサービスが『アクセルジャパン』です。タレントの写真や動画素材を複数社でシェアリングしていただくため、低額で著名人を広告に利用してもらえるのが強みです。全国の中小企業を中心に、さまざまな企業にご利用いただいています。
また、著名人を広告に使っている会社は「信頼できる」と人々から思われやすい傾向があり、これは企業にとっても消費者にとっても安心材料になります。そのため、一般的な広告だけでなく、採用活動の場でも、『アクセルジャパン』は人気です。
ちなみに、『アクセルジャパン』を使用するためには厳正な企業審査があり、実際にご利用いただくクリエイティブも1つずつ審査をしていますので、どんな広告にもご使用いただけるわけではありません。企業にとってはリピーターを獲得するだけなく、自社のファンにすることが重要であり、そのためにもタレントを使った広告は非常に役立ちます。
「なくてはならない会社」に向けた基盤をつくる
ーー今後の目標や展望を聞かせてください。
井上秀嗣:
当社の商材やサービスを使ったお客様の成功体験が蓄積されていくような状態を、より一層、醸成していきたいですね。例えば、『アクセルジャパン』では、今までの成功事例や失敗事例のほか、業種や業界、予算などの要素をマトリックスデータ解析によって考察・把握した結果を共有しながら、成果を出してもらえるまで、しっかりとお客様に伴走したいと思っています。
また、私は経営者になってから、利他的に動くことが大切だということを知りました。利己ではなく利他の気持ちでお客様と向き合うことを、社員たちにも伝えていきたいですね。
さらに、社員たちが優秀な同僚とともに常に高い目標を掲げ、解決困難な課題に取り組み、仲間と協議し、学びを得る。この循環から生じる、課題解決や学ぶことの喜びによって、高いモチベーションを維持できるような組織づくりを進めていきたいと考えています。
ーー最後に、5年後、10年後に、どういった会社になっていたいと思いますか。
井上秀嗣:
「世の中になくてはならない会社」になりたいですね。「●●といえば『旅色』」「●●といえば『アクセルジャパン』」など、当社のサービスが何かの代名詞になるほど、社会にとって必要なサービスへと育てたいです。
また、これまでできなかったことや難しかったことを可能にし、さらに価値化していくことが当社の事業の原点でもあります。『旅色』では日本の各地にあるまだ知られていない魅力を世の中に発信し、『アクセルジャパン』では成長企業の事業拡大を後押し、地域活性化に貢献していきます。
編集後記
「今までの成功体験と最新の情報・学び、それぞれをバランスよく持ち合わせることが大切」と語る井上氏。これは今までの実績や過去の栄光に縛られず、新たな発想で事業を拡大してきた同氏ならではの言葉だと感じた。
人々がまだ気づいていない企業や地域の魅力を世に届けるブランジスタグループを、応援したい。
井上秀嗣/1976年、兵庫県生まれ。2001年4月に株式会社NEXYZ.Groupに入社。事業開発や大手企業とのジョイントベンチャーの設立を経験。現在はNEXYZ.Groupの子会社として東証グロースへの上場を果たした株式会社ブランジスタの取締役と、2020年に分社化した株式会社ブランジスタメディアの代表取締役、そして2022年に設立した株式会社ブランジスタエールの代表取締役社長を務める。