マナトレーディング株式会社は、インテリアファブリック(生地)や壁紙、カーペット、照明などインテリア商品の企画・製造・輸入・販売を通して、美しい空間づくりを手掛けている。
空間づくりで人々の暮らしを快適かつ美しくすることに取り組んできた代表取締役の齋藤洋平氏に、空間づくりへの思いや今後の展望などを聞いた。
社長になって目指した「お客様にとって1番の会社」であること
ーー社長就任までの経緯について聞かせてください。
齋藤洋平:
大学を中退後、創業者である父から誘われる形でマナトレーディングに入社しました。そのときは業績が悪い時期で、社員の退職も相次いでいたタイミングだったので、会社として生き残れるのだろうかと、不安に感じていたのを覚えています。
入社後はカーテンの取り付け工事や、百貨店内にあった店舗での接客、法人営業などの仕事を経験しました。「会社が存続するには売り上げを作らなければならない」という思いが強く、目の前のことにとにかくがむしゃらに取り組みました。
ーーどのような経緯で社長に就任しましたか。
齋藤洋平:
父が脳梗塞で倒れたことをきっかけに経営にかかわるようになり、営業だけでなく商品企画や仕入れ部門を担当するようになり、その後、代表取締役に就任しました。社長になってからは「当社がお客様にとって1番良い会社でありたい」という思いが強くなりました。
1番良い会社とは、お客様に1番に名前を出してもらえる会社、1番に声をかけてもらえる会社のことだと考えています。社長になってから8年ほど経ちますが、私は今でもこの「1番良い会社」になることを目指しています。
空間の力で人々を笑顔にする「トータルインテリアのサプライヤー」でありたい
ーー社長として大切にしている思いや価値観を教えてください。
齋藤洋平:
お客様や取引先の方々の「素敵な空間にしたい」という思いに応え、一緒に空間をつくるパートナーになりたいと思い続けています。
そして、商品をただたくさん売るのではなく、「トータルコーディネートのプロフェッショナル」「トータルインテリアのサプライヤー」でありたいという価値観を大切にしてきました。そのために弊社では商品の加工や工事も引き受け、誠意を持って現場に向き合うなど、販売だけでなくものづくりの文化を大切にしています。
空間が持つ力を大切にするという点では、ドナルド・マクドナルド・ハウスへの内装材の提供も、弊社の代表的な取り組みの1つです。
これは、自宅から離れた病院に入院するお子様を持つご家族が滞在できる施設で、この取り組みは、ご自身の全てをお子様の看病に費やされるご家族が一息つける場所を提供したいという思いで始めました。私たちが素敵な空間をつくることで、ご家族が少しでも安らげる場所になればと思います。寄付なので利益にはなりませんが、大切な仕事です。
企画から加工まで幅広く手がけて唯一無二のサービスを提供
ーー事業内容や社風についてお聞かせください。
齋藤洋平:
弊社はカーテン、壁紙、カーペットといった内装材を取り扱う会社です。BtoBtoCの形をとっており、インテリアコーディネーターやデザイナー、インテリアのお店を経営するオーナーなどに商材を提案しています。
スマートホーム・ホームオートメーションなどの商品も手がけており、自分たちが取り入れたいと思ったもの、素敵だと思ったものを常に探してきました。
また、弊社には社員自ら手を挙げ、進んでいく人を支援する風土があります。意欲のある人にはいろいろな経験を積んでもらうため、挑戦する人に対して周囲の人がノーを出すことはありません。
ーー会社の強みはどういった点にありますか。
齋藤洋平:
商品の企画から製造、加工、販売まで手掛けていることです。海外から輸入して国内で加工したり、他社の商品と掛け合わせて提案したり、同業でここまで幅広く手掛けている会社はほかにはないと思っています。
自分たちの国や地域に誇りを持てるような空間づくり
ーー5年後、10年後の展望を聞かせてください。
齋藤洋平:
今後も終わることなく「良い会社」を目指し続けたいと思います。売り上げを伸ばすのか、海外に進出するのか、良い会社の定義は難しいですが、数字で見える定量的なものを1番の目的にしようとは思っていません。
また、今後は弊社にどのようなメンバーがいて、どのような力があり、何を提供できるのかを、協力会社や取引先の方にもっと認知してもらいたいと思っています。そのうえで弊社を良いと思ってくださる方々と、一緒に仕事ができるのが理想ですね。
ーー最後に、齋藤社長の夢や思いを語ってください。
齋藤洋平:
自分の住む国や地域に魅力を感じ、誇りを持てるようになるためには、そこが「美しく魅力的」であることは大切なことだと思います。1人1人がご自身の周りの空間から初めて、国や地域を良くすることに興味や関心を持つことで、国や地域はより美しく、楽しめる空間になっていくのではないでしょうか。まさにそれこそが「デザインの力」だと思います。
人の暮らしにおいても、空間の力は大きく影響します。私はより良い空間をつくる一員としてリーダーシップをとり、クリエイターとの協力関係を大切にし、人が幸せになれる空間を形にしたいと思っています。
編集後記
「良い会社でありたい」という言葉を何度も繰り返す齋藤社長。ドナルド・マクドナルド・ハウスへの内装材提供など、自分たちだけでなく、取引先や顧客、そして社会に貢献できるような会社を目指していることが感じられた。「デザインの力」で社会を変え、多くの人に幸せをもたらす同社の取り組みを応援したい。
齋藤洋平/1977年東京生まれ 明治学院大学中退後、マナトレーディング株式会社へ入社。東京本社での営業職を経て、29歳の時に名古屋営業所の設立に従事。東京へ戻った後は企画マーケティング・商品調達の責任者を務める。2016年に同社代表取締役に就任。