※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

海外からの物流がストップし、多くの企業が事業運営に苦戦を強いられたコロナ禍。そんな中でも、顧客に寄り添う営業を徹底し、取引先からの信頼を着実に高めていたのが山一産業株式会社だ。

同社は航空機関連の商品を中心に取り扱う商社で、航空機以外にも幅広い商材を取り扱っていることで知られている。今回、代表取締役の岸田秀章氏に、同社の強みでもある高い営業力についてや、求める人材像、同社の魅力・やりがいなどを聞いた。

プロゴルファーの夢を諦めて就職、そして父から会社を引き継ぎ代表に

ーー経歴について教えてください。

岸田秀章:
学生時代はゴルフに打ち込み、プロゴルファーを夢みていました。しかし、なかなか成果をあげることができず、夢を諦めて就職活動をすることを決意。最終的に、日本エヤーブレーキ株式会社(現:ナブテスコオートモーティブ株式会社)から内定をもらいました。

将来的に家業の山一産業を継ぎたいという思いはありましたが、会社を継ぐことを意識して日本エヤーブレーキへの入社を決めたわけではありません。ほかの学生と同じように普通に就職活動して、希望する会社から内定をいただきました。

日本エヤーブレーキには2年ほど勤め、祖父が手がけていた航空機関連の事業を学ぶために弊社へ戻りました。それから間もなくして祖父が亡くなり父が代表に就任し、2008年に父から会社を継ぐ形で私が代表に就任しました。

顧客に寄り添う営業で「山一産業から買いたい」と言われるまでに

ーー事業内容についてお聞かせください。

岸田秀章:
弊社は航空機関連の商品を中心に取り扱う商社で、機体メーカーやエンジンに関わる部品のメーカー、航空会社などに商品を提案しています。また、航空機関連だけでなく、食品関係などさまざまな業界の商品を手がけています。

ーー貴社の強みはどういった点にありますか。

岸田秀章:
弊社の最大の強みは、顧客に寄り添った営業です。たとえば弊社では、営業マンが客先に商品を自ら配達することも多いです。コロナ禍で商品の製造量が減った中でも、営業マンが客先に足を運ぶ頻度は落ちていません。

また、コロナ禍では輸入品が日本へ届かず、納期が遅れてしまうトラブルが続いていました。海外メーカーからも連絡が得られず、苦しい状況が続きましたが、それでも弊社は数少ない情報をお客様に伝えられるように真摯に取り組んできました。

このような苦しい状況下でも、お客様の依頼にきっちりと応え続けた結果、お客様が弊社に信頼を寄せてくれるようになったという背景があります。実際に、他社から買う商品をあえて弊社から買ってくれるようになったお客様もいます。

また、お客様からの問い合わせが増えたことで、仕入れ先のメーカーからも「山一産業を通して販売したい」と言われるようになり、依頼がどんどん増えていきました。弊社の営業スタッフが「お客様に寄り添う意識」を持っていたから、お客様も弊社に寄り添ってくれるようになったのだと思います。

ーーお客様との関わりの中で、ほかに取り組んでいることはありますか。

岸田秀章:
一般的な商社の仕事といえば、メーカーから直送で商品を、そのままお客様に届けるだけというイメージがあるかもしれません。しかし弊社の場合は、メーカーから自社倉庫に商品を一度受け入れて、自分たちで検品をしています。お客様の手間を省くため「多少金額が高くても、山一産業から買いたい」と言ってもらえることが増えています。

子どもに誇れることが、山一産業で働く最大の魅力

ーー一緒に働きたい、採用したい人材について教えてください。

岸田秀章:
私は「個性も大切だけれど協調性が大切、そして能力よりも努力や考え方が大切」と考えています。努力を続ければ、能力は後から伸びますから。能力よりも、努力できるかどうかなど、人間としての部分を見て採用したいですね。

あとは、弊社の理念や目的を理解したうえで、同じ方向へ進める仲間と一緒に働きたいとも思っています。そして、一緒に努力しながら成長していけたらいいですね。弊社の理念や目的については入社前に伝え、入社後にギャップがないようにしています。

また、入社日には新入社員に私が理念に関する話をしたり、1か月の研修を通して社内の他部署について学んでもらったり、朝礼の際にみんなで理念を唱和したりなど、会社の理念や目的を共有する機会を増やす取り組みも行っています。

ーー最後に、貴社で働く魅力ややりがいについて教えてください。

岸田秀章:
一番の魅力は、子どもに誇れる仕事であるという点です。たとえば弊社の社員が空港へ行って飛行機を見たり、実際に飛行機に乗る際には、自分たちが仕事で調達してきた商品が目に入るはずです。飛行機への荷物の搭載に使われているポリシートなど、弊社が取り扱っている商品は非常に多くあります。

そういった商品を見たときに「あれは、お父さん(お母さん)の働いている会社で販売している商品なんだよ」と自分の仕事について子どもに話せるのは、非常に誇らしいことだと思います。

編集後記

航空機関連の商品は人々の安全に大きく関わるため、社員たちには責任感を持って仕事に取り組むことが求められる。ただ、責任が大きいからこそ、誇りややりがいも強く感じられるのだろう。岸田社長の言葉からは、人々の空の安全を守っているという自負が感じられた。これからも同社は顧客に寄り添う営業で、日本の航空業界を支えてくれるに違いない。

岸田秀章/1968年生まれ、兵庫県出身。1990年、姫路獨協大学卒業。日本エヤーブレーキ株式会社(現:ナブテスコオートモーティブ株式会社)に入社。東京支店に配属され自動車事業部での営業を経験。1992年、神油産業株式会社(現:山一産業株式会社)に入社。2008年、代表取締役に就任。