※本ページ内の情報は2025年2月時点のものです。

トヨタ車の代表的なディーラーとして、地域密着型の自動車販売とサービスを提供するトヨタカローラ長崎株式会社。同社の代表取締役社長である藤岡良規氏は、ソニーマーケティング株式会社でのキャリアを経て、自動車業界に転身した経歴を持つ。

藤岡社長が掲げるのは、お客様とのつながりを基盤とする地域に根差した成長戦略と、社員一人ひとりが「ここで働けて良かった」と思える職場の実現だ。社員と顧客、地域の三方よしを目指すその経営哲学に迫る。

叔父の思いを守るため、マーケティングの道から自動車業界へ

ーー藤岡社長の経歴をお聞かせください。

藤岡良規:
大学卒業後は音楽が好きという理由から、ソニーマーケティング株式会社に就職しました。営業職として家電量販店やデパートを相手に、売り場の調整や販促企画を行っていました。

そこから、トヨタカローラ長崎へ転職したのは、叔父と父の健康問題がきっかけです。弊社はもともと叔父が経営していた会社で、父はガソリンスタンドを経営していました。ところが、2人がほぼ同時に体調を悪くしてしまい、兄がガソリンスタンドを、私が弊社を引き継ぐことになったのです。

当時私はペーパードライバーで車に詳しくありませんでしたが、それでも叔父が育てた事業を守ろうと、この大役を引き受けることにしました。今日まで社長を続けてこられたのは、経験豊富な社員たちの助力のおかげです。

そして、彼らの恩に報いるために、せめて私は社員がやりがいを持って働ける環境をつくろうと、今日まで会社の成長に努めてきました。

ーー社長就任後、組織を成長させるために、どのような取り組みを行いましたか?

藤岡良規:
大きなことではありませんが、常に社内全般の改善に取り組み続けてきました。社長就任当時は38歳と若かったこともあり、今振り返れば至らない点も多かったと思います。それでも、社員の皆がついてきてくれたおかげで、少しずつ会社を成長させることができました。

特に私が大切にしてきたのは、社員が自発的に動きたくなる施策づくりです。毎年コツコツ続けてきた甲斐あって、最近ようやく社風や文化に根付きはじめ、組織全体が着実に前進している実感を得られるようになりました。

車の販売を通じて、お客様の生活を豊かにすることが真の役割

ーー貴社の事業内容や独自の強みを教えてください。

藤岡良規:
弊社の強みは、車の販売を通じて、お客様の生活を豊かにする多角的なサービスを提供していることです。中でも、点検・修理の高い技術力や手厚いアフターサービス、接客の丁寧さは、お客様から高く評価されています。また、地域貢献活動や公式LINEを活用したお客様との密なコミュニケーションなど、時代に即した取り組みも展開しています。

「トヨタカローラ店」という、品質と歴史のある看板を背負っているという点も強みの一つですね。トヨタならではの、多くの人が使いやすい車種を軸に、高級車も取り扱うことで、幅広いニーズに応えられる体制を整えています。

お客様や社員の「心」を大切に、社会的に意義のある組織へと成長したい

ーー将来的に、貴社をどのような組織へ成長させたいとお考えですか?

藤岡良規:
私が目指しているのは、人と人とのつながりを大切にして成長を続けられる組織です。売上だけに執着せず、ビジネスの基礎にある人間関係を何よりも大切にしたいと思っています。

この考えを実践してきた成果が出たのか、最近はお客様から「社員が優しい」「店舗に入りやすい」と言われることが増えました。こういった声の一つひとつこそが、社風が醸成されてきた証なのでしょう。

今後もお客様に心から喜んでいただけるサービスを目指し、社員全員が自然とお客様のことを考えて動ける組織へと成長させていきたいです。

ーー今後、特に注力したいことを教えてください。

藤岡良規:
今、特に力を注いでいるのは、社員一人ひとりが心から「ここで働けて良かった」と思える職場を実現することです。会社という長い時間を費やす場を、人生における大切な時間を共有する場へと進化させたいと考えています。

この目標へと到達するには、報酬や待遇はもちろん、人間としての成長を後押しする仕組みが欠かせません。「自分はどう生きるべきか」という根源的なテーマを考える機会を提供し、内面的な成長に導くことで、仕事へのモチベーションアップや、ひいては人生全体の充実感を高めて欲しいのです。

その実現のために、デジタル技術を活用して業務の効率化を図ることも重要です。DXを推進することで、社員がより価値ある仕事や新たな挑戦に専念できる環境を整え、社員が主体的に成長を感じられる職場を築いていきます。「社員が輝けば会社も輝く。」私たちは、その信念を胸に、社員とともに成長し続ける企業を目指しています。

編集後記

「トヨタカローラ店」というブランドの責任を果たし、さらに独自の付加価値を成長させているトヨタカローラ長崎株式会社。車を接点の一つととらえ、お客様の生活を豊かにしようという事業戦略は、長期的な成長を見据えた未来志向を感じさせる。同社がこれから、地域社会の一員としてどのように進化していくのか。その行く末に注目したい。

藤岡良規/1968年長崎県生まれ、専修大学卒業。1992年ソニーマーケティング株式会社入社、営業として働くが、健康を崩した叔父の跡を継ぐために、1998年にトヨタカローラ長崎株式会社に入社。2005年、代表取締役社長に就任。