
Cloudbase株式会社は、クラウドセキュリティ分野で新たな地平を切り拓き、日本のIT産業を牽引する革新企業だ。同社が開発した独自のセキュリティプラットフォーム「Cloudbase」は、企業がクラウドを安全かつ効率的に活用するための強力な武器として注目を集めており、その取り組みは日本企業の競争力を世界基準へと引き上げている。
急速に進化するデジタル社会の中で、セキュリティと効率性を両立する同社の挑戦は、国内外の多くの企業にとって指針となるだろう。取材を通じて、代表取締役社長である岩佐晃也氏に、事業の強み、企業理念、そして未来を見据えたビジョンについて詳しくお話をうかがった。
クラウドセキュリティで日本企業を支える
ーー貴社独自の「Cloudbase」のサービスの核となる技術について教えてください。
岩佐晃也:
「Cloudbase」は、クラウド環境におけるセキュリティリスクを可視化し、迅速に対応するための仕組みを提供するサービスです。企業がクラウドを活用する際には、設定ミスや権限の過剰付与といったセキュリティリスクが常に付きまとうものですが、私たちのサービスはAIを駆使してこれらのリスクを的確に検出し、最適な修正を提案することで、エンジニアの負担を大幅に軽減できます。
さらに、セキュリティチェックにかかる期間を短縮し、クラウド導入までのスピードを加速できる点も大きな特徴であり、この仕組みを通じて、企業はより効率的にクラウド活用を実現できるのです。
ーー国内外の競合が多い中で、御社ならではの強みはどこにありますか?
岩佐晃也:
私たちのサービスの真髄は、日本企業の実情に深く根ざしている点です。多くの海外製品が、高度な専門知識を持つセキュリティエンジニアの存在を前提としているのに対し、そうした人材リソースが限られている日本企業の現実を踏まえ、「Cloudbase」では非専門家でも直感的に扱えるユーザーフレンドリーな設計を徹底しています。
さらに、運用効率を向上させるため、リスクの検出から解決策の提示までを一元化したサービスとして提供している点も大きな強みになっています。このように、日本企業が直面するクラウドセキュリティの課題に対して、具体的かつ実用的な解決策を提供する「日本市場への特化と柔軟性」こそが、私たちの最大の差別化ポイントだと考えています。
信頼を築き成功事例を広げる秘訣
ーー大企業との取引をどのように獲得してきたのですか?
岩佐晃也:
最初の取引先を得るまでは、試行錯誤の連続でした。創業当初は実績が乏しいため、信頼を築くことが最優先課題でしたが、顧客のニーズに合わせたカスタマイズ対応を徹底し、一社ごとに誠実に向き合い、シンプルで直感的に使えるユーザー体験を重視したことで、顧客から高い評価を得られるようになりました。
大手自動車メーカーをはじめとする大企業への導入実績が、新たなビジネス展開の基盤となっており、それらの成功事例がさらなる取引拡大の原動力でもあるのです。
ーー貴社のバリューである「Unlock」と「With」は、社員やサービスにどのように反映されていますか?
岩佐晃也:
「Unlock」と「With」は、弊社をあらわす大切なバリューです。「Unlock」は、既成概念にとらわれず、自由な発想で課題に挑む姿勢を示し、社員一人ひとりが新しいアイデアや技術にチャレンジし、自身の可能性を最大限に引き出せる環境づくりを重視するものです。この理念により、主体的に考え行動できる企業文化が根付いているのです。
一方、「With」は、お客様とのパートナーシップを大切にする姿勢を表しています。私たちは、お客様の成功が私たちの成功だという信念を持ち、継続的なコミュニケーションを通じてニーズを深く理解し、真に価値のあるプロダクトの開発に取り組んでいます。
このように、「Unlock」と「With」というふたつのバリューは、社員の働き方からお客様との関係、そしてサービス開発に至るまで、弊社の事業と文化を支える柱となっているのです。
次世代を見据えたセキュリティの未来戦略

ーークラウドセキュリティの未来をどのようにお考えですか?
岩佐晃也:
クラウドセキュリティの次なるステージは、AIや機械学習を活用した高度な自動化にあると考えています。具体的には、セキュリティリスクの検出と対応をリアルタイムで行い、さらに未然に防ぐための仕組みの進化が鍵を握るでしょう。
私たちは、従来の「守り」に徹するセキュリティの概念を超え、クラウドをビジネス成長の原動力として位置づける文化を創造していきたいと考えています。このような取り組みを通じて、日本企業が世界で競争力を発揮できる基盤を構築していくことが目標です。
ーー今後のビジョンを教えてください。
岩佐晃也:
世界市場における日本企業の競争力を支える基盤を提供することです。クラウドセキュリティを起点に、さらに幅広い領域で企業のデジタル変革を後押ししたいと考えています。そのためには、セキュリティだけでなく、クラウドを通じて新たなビジネスチャンスを創出するためのエコシステムを構築することが重要だと確信しています。
また、国内市場だけでなく海外市場も視野に入れ、日本発の技術やサービスが世界で認められる時代を切り開くべく挑戦を続けていきます。私たちは、クラウドを「守る」ためのツールから「活用」するためのパートナーへと進化させ、より多くの企業の成長を支える存在を目指します。
編集後記
岩佐社長の揺るぎない信念と、未来を見据えた先進的なビジョンに強い感銘を受けた。クラウドセキュリティという最先端の領域で、日本企業が直面する課題に真摯に向き合い、革新的な解決策を提示し続ける姿勢は、IT業界におけるリーダーとしての理想像といえるだろう。
Cloudbase株式会社が描く未来は、日本企業の競争力を大きく高め、世界に新しい価値を届ける礎となるはずだ。この挑戦が、日本を再び技術大国へと導く力となることを期待してやまない。

岩佐晃也/1996年生まれ。10歳からプログラミングを始め、セキュリティ領域に強い関心を持つ。京都大学工学部情報学科在籍中に起業し、クラウドセキュリティ分野で6回の事業転換を経て現在のCloudbase株式会社を立ち上げる。スズキ株式会社など大企業へのサービス導入を進め、累計14億円の資金調達を実現。「Forbes 30 Under 30 Asia」「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出されるなど、注目を集める若手起業家。