※本ページ内の情報は2026年11月時点のものです。

株式会社スズキ技研は、製造現場のFA(ファクトリー・オートメーション)を後押しする機械装置を設計・製作する企業だ。自動車メーカーや半導体関連など幅広い業種に向け、オーダーメイドの産業用機械を提供している。創業者であり代表取締役社長の鈴木伸夫氏は、機械いじりのおもしろさに魅せられた幼少期から、ずっとこの道を歩み続けてきた。

同社は「人重視」という企業理念のもと、社員教育にも力を入れている。「社員の幸せが1番」と語る鈴木氏に、会社への思いや今後の展望をうかがった。

顧客に育てられ、ものづくり企業として成長

ーー貴社の事業内容と強みを教えてください。

鈴木伸夫:
私たちは、製造ラインの自動化・FAに関する機械をつくっています。具体的には、産業用の機械装置の設計・製作ですね。機械の企画構想から設計・製造、組み立て、現地導入とアフターサポートまで、ワンストップで対応しています。

もともと個人で創業した時は、製造業ではなかったんです。ゼロから何かをつくるという経験が乏しかったため、大手のお客様と仕事をしながら、ものづくりのさまざまなノウハウを教えていただきました。今の弊社があるのは、取引企業様に育てていただいたからといっても過言ではありません。

そうした良い経験は、今の弊社の強みへとつながっています。弊社の強みは、どんな状況になっても絶対に仕事から逃げないこと。必ずやりきるという姿勢です。

たとえば中小企業では、お客様と付き合いを続けていく中で赤字になりそうだと、「これ以上一緒に仕事はできない」と撤退するケースが少なくありません。ですが、弊社は仮に赤字になったとしても、逃げません。一度仕事を引き受けたのですから、最後まで我々の責任の範囲でやり遂げます。

企業は人なり、です。誠意を持って結果を出せば、お客様は何十年と付き合ってくれます。新規開拓の営業を行わなくても、現在も黒字経営を続けていられるのは、こうしたお客様とのお付き合いがあるからだと考えています。

ーー現在は金属加工品の製造販売も行い、収益化に注力しているとうかがいました。

鈴木伸夫:
たとえば電気屋さんが何か機械をつくろうとすると、いろんな形の機械部品を外注して製造してもらわないといけません。材料費は安いのに、加工費用が非常に高くなるんです。

いかに機械をコストダウンしてつくるか考えた時、1番良い方法は、外部に依頼していたものを内製化することです。そこで弊社ではマシニングセンターを導入し、金属加工品をすべて内製化しました。

自社の中だけで利用するのはもったいないので、お客様にも提供していこうと考えたのがきっかけですね。

仕事の進め方から人間性まで幅広く育てる「出し惜しみしない」社員教育

ーー社員教育にも力を注いでいるそうですね。

鈴木伸夫:
先ほども触れましたが、私は「企業は人なり」という思いを創業時から持っています。

仕事上の教育でもっとも大切なのは、社員を他社でも即戦力として活躍する人間に育てることだと考えています。仮に弊社が倒産しても、他の会社できちんと仕事がもらえたら、社員の幸せにつながりますし、出し惜しみせず、仕事に必要なことはすべて教えます。

「そこまですべて教えたら、社員がノウハウを盗んで辞めていくのではないか?」と言われることもあります。ですが、社員が辞めていくのは、会社に魅力がないからです。辞められないようにするために、どれだけ魅力ある会社にするか、という点に注力すべきだと考えています。

ーー社員教育のために、具体的にどのような方法をとっていますか?

鈴木伸夫:
大企業のOBや外部のベテラン技術者にアドバイザーとして弊社の社員教育に携わってもらい、社員にさまざまなことを教えていただいています。私自身、大企業で働いた経験がないので、大手で活躍されてきた方の視点を教育に取り入れたいという考えもあります。

過去にあった例ですが、非常に優秀だけど周囲とうまく関係が築けないという社員が中途で入ってきたことがありました。せっかく能力があるのに、もったいないですよね。その社員の幸せを考えると、仕事の技術ももちろんですが、人間としても成長できるよう教育するのも会社の役目だと考えています。その社員はアドバイザーの方にマンツーマンで教えてもらい、1年で仕事ができる立派な人間に成長しました。外部の方の力をお借りしたからこそ、多角的な視点で社員を育てることができたのだと思います。

今あるポストに社員を当てはめるのではなく、社員一人ひとりのキャリアパスを考えて育成すれば、社員の人生もまったく変わってくると考えています。

若い力と共に挑戦を続けていく

ーー採用活動についてはどのような考えをお持ちでしょうか。

鈴木伸夫:
これまでは中途採用がメインでしたが、今後は新卒採用にも積極的に取り組む予定です。

企業が生き残るためには、現状維持ではなく常に新しいものへ挑戦する姿勢が大切だと思います。今後はAIを導入したロボット技術やカメラ技術を開発・活用できたらと考えています。

最先端技術を取り入れるには、やはり若い力が必要です。新しいことにチャレンジしたいという熱い気持ちを持つ若い方たちに入ってもらえたら嬉しいですね。

2025年春先に新しい本社兼工場に移転予定です。。一緒にものづくりをできる体制は整っています。

ーー今後の事業の展望や会社への思いをお聞かせください。

鈴木伸夫:
事業面では、先ほど述べたAIの活用をはじめ、最先端の分野にも積極的に関わっていきたいですね。産業用機械とAIを組み合わせ、製造業における生産性の改善に寄与できるものをつくっていけたらと考えています。

そして、これからも従業員の幸せを第一に考える会社でありたいと思っています。私は創業者ですが、会社は私物ではなく、社員皆が生活する場だととらえています。その場を守り、社員の夢を実現するにはどうしたら良いか、柔軟に考えて行動していきたいですね。

会社が船であるなら、私はただ舵を取っているだけで、漕いでいるのは社員の皆です。いくら私が必死に舵を取っても、皆が漕いでくれなければ前には進みません。皆が前へ、前へと漕いでくれるからこそ会社として存在できるのだと思います。皆が同じ方向を向いて動くことが会社の信頼にもつながります。

ですから、良い社員を会社に残す上で、社員を手厚く保護することはとても大切です。福利厚生に注力するのももちろんですが、いくら売上が上がるとしても、社員が疲弊する相手であれば取引はしません。

私たちもお客様も、一生懸命仕事をする。それが生きるということではないでしょうか。楽しく働く毎日を紡ぎ、笑顔で生きていく。それが幸せだと考えています。

編集後記

「企業は人なり」と語る鈴木社長からは、人間の豊かさやあたたかさ、社員への大きな愛情を感じた。仕事を通じて社員の幸せを実現することに注力する同社には、これからも良い社員が集まってくることだろう。挑戦を続ける同社の今後に注目したい。

鈴木伸夫/1953年、埼玉県生まれ。22歳でスズキ技研(個人営業)を開業し、1985年に株式会社スズキ技研を設立、代表取締役社長に就任。自動車や半導体関連の産業用機械の設計・製造のほか、2022年からは金属加工品の製造販売も行っている。