※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社は、中小企業のM&A仲介や事業承継支援を専門とする会社だ。売買契約の成立だけにとどまらず、経営者の想いに寄り添ったM&Aの実現を強みとする事業の背景には、どのような取り組みがあるのだろうか。同社の創業者であり、代表取締役社長の橋場涼氏に話をうかがった。

後継者不在の経営者との出会いをきっかけにM&A業界に参入

ーー起業に至るまでの経緯をお聞かせください。

橋場涼:
私は2012年に三菱UFJ銀行に入行したのち、後継者不在の社長に出会い、事業承継について相談を受けたことがあります。銀行ではファイアウォールがあるため、私自身はM&Aに関わることができず、銀行のM&A専門部署を紹介することしかできませんでした。その後、私はすぐに転勤となりましたが、社長は私が窓口でなくなったことで事業承継の検討をやめてしまったのです。その社長は3カ月後に病気で急死してしまい、私は心の底から後悔しました。

この出来事を通して、私は後継者問題に対する課題の深刻さを痛感。そして、M&A業界への転職を決意することになります。2017年に大手M&A仲介会社に転職し、その後、2021年にM&Aロイヤルアドバイザリーを立ち上げました。

事業承継は感情や人間関係が複雑に絡み合う問題であり、法務・税務・財務・経営など専門的な知識も必要です。私はM&Aのスペシャリストとして、一人でも多くの経営者を支え、後悔のない決断のために寄り添いたいと考えています。

ーーM&A仲介会社の代表として、どのような価値観や考えを大切にしていますか?

橋場涼:
M&A仲介会社を経営するうえで、最も大切にしている価値観は、「常にオーナーの立場で考えること」です。オーナーの気持ちを理解し寄り添うのは義務として、オーナーのご家族、従業員、関係者全ての想いを考えることを大切にしています。この価値観は、弊社の役職員にも常に共有してきましたので、浸透していると感じています。組織全体が一枚岩となってオーナー視点を徹底することが、社内文化として根づいているのです。

専門人材による分業体制で高いクオリティーを維持

ーー貴社の強み・特徴について教えてください。

橋場涼:
弊社の特徴は、専門人材による徹底した分業体制によって効率的に業務を行っているところです。

まず、経験豊富なコンサルタントがオーナーと交渉して契約を結びます。その後、買手企業へのアドバイザリー業務を専門とする「提携支援部」が、企業データやAI、豊富な知識・経験を駆使しながら、高精度なマッチングを実現します。

企業同士のマッチングが成立した後は、公認会計士や税理士法人で豊富な経験のあるメンバーで構成されているコーポレートアドバイザリー部が買収監査などエグゼキューションフェーズでサポートに入ります。彼らのような専門部署のメンバーがチームに加わり、各プロセスで責任を持って遂行することで、スムーズかつ質の高いサービス提供を実現しています。

また、弊社では社内でのノウハウ共有も大切にしています。成約後には担当コンサルタントが振り返り、成功のポイント、学んだことを投資銀行本部全体に共有できる場を用意するのです。それを動画にして教育用コンテンツとして残すことで、それ以降に入社するメンバーにも伝えることができます。こういった体制を整えているM&A仲介会社というのは私自身も他に聞いたことがありませんので、弊社の強みと感じています。

ーー譲渡を検討している経営者との契約に向けて、どのような取り組みを行っていますか?

橋場涼:
電話やDMといった一般的な営業活動も行っておりますが、弊社の特徴としてはオーナーと中長期的な関係を築いているところが挙げられます。

企業オーナーは、業績や事業環境の変化、後継者問題など、さまざまな理由でM&Aを考えていますが、「いつM&Aをするか」という時期については明確な答えがなく、悩んでいる状態です。弊社は、「お客様のファーストコールの相手(最初に相談を受ける企業)になりたい」という思いから、短期的な営業活動を行うのではなく、長期的な関係性を築くことを重視しています。

M&Aアドバイザーとしての経験をベースに新たなチャレンジができる環境を

ーー最後に、貴社の今後の展望をお聞かせください。

橋場涼:
まずは、M&A仲介事業で日本一を目指したいと考えています。創業3年半となる2025年5月現在で役職員は184名にまで拡大しましたが、日本一になるには同じ志を持つ仲間を1人でも多く増やす必要があります。そう遠くない未来には300名近くになるかもしれませんね。

また、先述の通り、M&Aアドバイザーは業務を通して税務や財務、労務などさまざまなビジネスモデルが理解できる優秀な人材に成長します。彼らにはアドバイザリー業務だけでなく、活躍、チャレンジできる環境を常に提供し続けたいと考えておりますので、新たなビジネス領域への参入も可能性としては十分にあると思います。

編集後記

成約を優先しがちなM&Aコンサルティングの領域において、「オーナーを尊重し、寄り添う姿勢を絶対的に優先させている」と語る橋場社長。人の気持ちをおもんぱかる姿勢に好感を持った。明確なビジョンを持ち、着実に事業を拡大させている同社のこれからの飛躍が楽しみだ。

橋場涼/1989年生まれ。大学卒業後、株式会社三菱東京UFJ銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行。2017年に大手M&A仲介会社であるM&Aキャピタルパートナーズ株式会社に入社。同社トップクラスの成績で数多くの中堅・中小企業のM&Aを成約に導き、入社最短で部長への昇進を果たす。2021年に独立し、日本の事業承継問題を解決するためにM&Aロイヤルアドバイザリー株式会社を設立。