※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

BBSS株式会社は、SB C&S株式会社の子会社として設立されたソフトウェア開発会社だ。携帯電話やインターネットのセキュリティソフトを中心に、消費者向けのソフトウェアの販売や、IoTサービスの企画・開発・提供、法人向けライセンス販売を行っている。

近年、SNSを通じた“いじめ”や犯罪が多発する中で、同社はどのような将来展望を抱いているのだろうか。代表取締役社長兼CEOを務める本多晋弥氏に話をうかがった。

50歳を迎えて心機一転、経営の世界へ踏み出す

ーー社長の経歴をお聞かせください。

本多晋弥:
新卒で精密機械メーカーに入社し、8年ほど印刷業界向けのセールス業務に従事しました。1990年代後半に印刷業界は急速なデジタル化により大きく再編され、自身も変化することの必要性を痛感しました。

変化を恐れず、柔軟に対応する姿勢の大切さを実感した私は、IT営業職となり、2000年にソフトバンク株式会社に転職したのです。ネットワークセキュリティの営業や事業企画、法人向け営業本部の補佐役などを務めたのち、サーバなどのHW製品や、Microsoftなどの法人向けSW製品の企画・仕入れ部門の責任者を経験しました。

ーーその後、どのような経緯で社長に就任したのですか?

本多晋弥:
50歳を迎え、より経営に近いポジションにチャレンジしてみたいと考えるようになりました。そんなときに、外資系のソフトウェアメーカーから偶然お声掛けをいただき、2度目の転職を決意しました。

その間ジョイントベンチャーへの出向や日本ブランチの立ち上げに携わったのち、弊社の親会社であり、ソフトバンクのグループ企業としてIT流通ビジネスを担うSB C&S株式会社の草川社長に声を掛けていただき、2023年に弊社に入社したのです。そして翌2024年、代表取締役社長兼CEOに就任しました。

草川社長からは、「これからは第2創業期として、新しい事業なども積極的に立ち上げてほしい」という期待の言葉をいただき、着任後は経営資源の最適化や新サービスの企画に取り組みました。

主力製品のリブランドによって躍進を期待

ーー現在はどのような事業を展開していますか?

本多晋弥:
弊社は過去20年間にわたり、インターネット回線や携帯電話向けを対象としたセキュリティサービスを提供してきました。中でも「詐欺ウォール」は、フィッシングなどの詐欺・危険サイトを検知するソフトウェアとして多くのユーザーに支持された、弊社の主力製品です。

この「詐欺ウォール」は、2025年6月26日に新名称「みやブル」へと変更し、公開しました。長年親しまれた名前を変えるには大胆な決断が必要でしたが、更なる販売機会獲得のため、今こそブレイクスルーの好機と捉え、挑戦を選びました。

「みやブル」という新たな名前には、“家族をみまもる存在”として、親しみやすく、いざという時に頼れる番犬のような存在でありたいという想いを込め、BBSS社員の総意を反映し決定しました。

ーー今後は、どのようなサービス展開を考えていますか?

本多晋弥:
今後は、個人ユーザー向けに、詐欺対策やSNS上の誹謗中傷対策といった、現代的な脅威への対応を強化したサービスを展開していきます。「人とテクノロジーの力で、あんしんな社会の実現に貢献します」という弊社のミッションに基づき、ITとAIの力を活用した見守りサービスを提供する方針です。

具体的には、保護者が子どものスマートフォンやタブレットの使用を管理する進化した「ペアレンタルコントロール」アプリの「まもウォッチ」を先日リリースしました。「まもウォッチ」は、LINEのチャットにいじめにつながるワードが投稿されたときに、保護者に通知するというものです。

既にリリースしているGPSによる見守りサービス「まもサーチ」と併用して、お子さんのライフスタイルに合わせたサービスをご活用いただければと考えています。

AIを活用したコンテクスト解析で総合的な安心を提供したい

ーー最後に、貴社の今後の展望をお聞かせください。

本多晋弥:
前述の通り、今後はAIを活用したSNSセキュリティに注力したいと考えています。これまでのインターネットセキュリティに求められてきたのは、不正なプログラムや、主に高齢者をターゲットにした詐欺メールの検知でした。しかし、最近では正規のSNSツールを利用して、コミュニケーションをとる中で相手をだます手口が増えています。

このような行為は、普通にチャットで話しているだけでは違法とは言えず、従来型のセキュリティで対策することができません。そこで、インターネットセキュリティにおける次の課題として、「コンテクスト解析」というコンテンツを解析する機能が必要になってくるのです。

現在、生成AIを活用することで、コンテクスト解析の実現の可能性が高まってきています。まだ発展途上の技術ですが、将来的には、手頃な価格でお客様のニーズに対応できるサービスとして実現したいですね。そして、単なるセキュリティカンパニーの枠を超え、(インター)ネットを安心して利用できるサービスを総合的に提供する存在として、ソフトバンクグループ内での弊社のバリューを一層高めていきたいと思います。

編集後記

本多社長が語る未来のセキュリティサービス展開には、技術革新と人々の安全を守る強い意志が感じられた。SNSを通じた新たな脅威への対応とAI技術を駆使した「みまもりサービス」の進化が、より安全で安心な社会を築く上で、不可欠な要素となるに違いない。

本多晋弥/1968年千葉県生まれ。精密機械メーカー勤務後、2000年にソフトバンク株式会社へ転職し、セキュリティ製品営業や仕入れ部門責任者を務める。50歳で外資系IT企業へ転職し、JV設立やカントリーマネージャーを経験。2023年BBSS株式会社に入社し、2024年4月に代表取締役社長兼CEOに就任。