※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

健康的な食事へのこだわりを軸に事業を展開する株式会社サニーブランチカンパニー。同社は大阪市内に飲食店4店舗、食物販店2店舗を展開するほか、給食事業も手がけ、野菜と玄米を中心とした体に優しいメニューを提供している。忙しいビジネスパーソンから子どもまで、幅広い層に健康的な食事を届け続ける同社の代表取締役、高根三枝氏に話をうかがった。

病気がきっかけで見つけた食と健康の関係性

ーー社長のこれまでの経歴をお聞かせください。

高根三枝:
大学卒業後、「好きなことを仕事にしたい」という思いからベンチャーの旅行会社に入社しました。
旅行業界についてはまったく知識がありませんでしたが、好きという気持ちに突き動かされて飛び込んだのです。入社後は営業本部に配属され、航空券の手配やツアー企画など手配業務を中心に担当しましたね。

ーー飲食業を始めようと思ったきっかけをお聞かせください。

高根三枝:
きっかけは3つあります。1つ目は19歳のときに発症したバセドウ病でした。主治医から栄養指導を受け、マクロビオティックなどの食事療法を実践したことで、食と健康の関係を強く意識するようになったのです。しかし、会社員として忙しい生活を送る中では健康的な食事を手に入れることが難しく、そのギャップに悩んでいました。

2つ目は、私自身のキャリアです。当時働いていたベンチャー企業が成長し、規模を拡大していく中で、将来的に私が役員になるのは難しいだろうと感じていました。そして、自分のこれからを真剣に見つめ直す中で、長く続けられる仕事として、自分の「好き」を活かせる道を選びたいと考えるようになったのです。

3つ目は、起業塾での学びです。そこでは、仕事を選ぶ上で大切な3つの軸「好きなこと・できること・社会の役に立つこと」があることを教えられました。そして、この3つが重なる部分は何かを考えた上で、将来を決めるようにアドバイスされたのです。私にとってその重なる部分こそが、「料理をつくる職業」だと気づいたのです。

会社を辞めるときは周囲から反対されましたが、「健康的な食事を多くの人に提供したい」という思いを貫き、玄三庵を開業しました。

素材にこだわった食事をさまざまな角度から届ける事業展開

ーー創業期はどのような苦労がありましたか?

高根三枝:
想像以上に厳しい創業期で、体力的、経済的、精神的に大きな負担を感じる日々でした。
当時の私は「健康的な食事を提供したい」という思いが強すぎて、お客様が何を求めているのかという視点が欠けていたのです。その結果、心を込めてつくった料理がほとんど売れず、経済的にも厳しい状況が続いていました。

加えて、それまでのデスクワークとは異なり、早朝から夜遅くまで立ち仕事を続ける生活は、体力的にも大きな負担となっていました。そのような中で、最も辛かったのは、努力してもなかなか成果が見えず、将来の見通しが立たなかったことです。それでも、「この仕事は必ず社会の役に立つはずだ」と信じ続けました。

そうして1年半ほどが経過した頃、思いがけず転機が訪れました。当時のお店の裏には出版社があったのですが、そこの方が、私たちのお店のことをメディアで取り上げてくれたのです。それがきっかけでお客様の数が増え、大阪をはじめ、他の地域からも足を運んでいただけるようになりました。その後は事業も徐々に軌道に乗り、2店舗目をオープンするなど、少しずつ事業を拡大していくことができたのです。

ーー改めて、貴社の事業内容について教えてください。

高根三枝:
健康的な食事を多くの方に届けることを目指し、現在は3つの柱で事業を展開しています。

まず基幹となるのが飲食店事業です。「玄米&やさい食堂 玄三庵」を大阪市内で4店舗運営しています。有機野菜や昔ながらの製法でつくられた調味料など、素材にこだわった食事を楽しめるのが特徴です。

また、健康への意識が高まる中、ご自宅でも弊社の料理を楽しんでいただけるよう、食物販事業も行っています。こちらでは「kitchen玄三庵」を2店舗運営し、惣菜やお弁当を提供することで、忙しい方でも手軽に健康的な食事をとれるようサポートしています。

インタースクールさまに向けた給食事業や、会社さまへむけてのお弁当の宅配事業、また自社のECサイトで自社ブランドの商品の販売を行っております。

大阪への恩返しと健康的な食文化の継承を両立していく

ーー今後の展望についてお聞かせください。

高根三枝:
大阪に育てていただいたという思いが強いので、まずは大阪にしっかりと根を張り、恩返しをしていきたいと考えています。出店依頼は東京や愛知など他の地域からもいただきますが、大阪で十分に貢献してからでも遅くないと考えているところです。

また、長期的には、世代を超えて続く会社を目指しています。社員が結婚し、子どもが生まれ、その子どもたちもいずれ弊社で働く。そんな風につながっていける組織をつくりたいと思っています。「自分の子どもにも食べさせたいと思える食事を提供する」ことを大切にし、安心して働ける環境を整えながら、これからも健康的な食事の大切さを伝えていきます。

編集後記

取材を通じて、高根社長の「健康的な食事」への揺るぎない思いが伝わってきた。早朝から長時間にわたる立ち仕事で、ほとんどの業務を1人でこなした日々。そうした困難に直面しながらも、長きにわたって自らの信念を貫き通してきた高根社長の姿勢は「好きを仕事にする」という生き方の模範といえるだろう。

高根三枝/1974年、大阪府生まれ。大学卒業後、株式会社HISに入社。2006年、健康をコンセプトにした「玄米&やさい食堂 玄三庵」を大阪市内で創業。2010年に法人化。現在は飲食店4店舗のほか、食物販店2店舗、インターナショナルスクールへの給食事業も行っている。