※本ページ内の情報は2025年9月時点のものです。

東京に本社を構える株式会社バーグマンは、サウナヒーターの世界的ブランドであるフィンランドの『HARVIA(ハルビア)』社とジョイントベンチャーを組み、日本におけるサウナ文化の浸透に尽力する企業である。

代表取締役社長の笠間聖司氏は、偶然の出会いから起業家としての道を歩み始め、数々の事業を成功へと導いてきた。人との縁や感謝の心を何よりも大切にする笠間氏の、情熱と行動力に溢れる哲学、そして「サウナのある暮らし」が当たり前になる未来への強い思いに迫る。

偶然の出会いから始まった、異色のキャリアと起業家精神

ーー独立までのキャリアについてお聞かせください。

笠間聖司:
私のキャリアは、大学在学中に始めた工事現場の通訳アルバイトがきっかけです。高校卒業後に英語の勉強を一から始め、大学在学中にフィンランド住宅の輸入に関わる仕事として、工事現場で通訳のアルバイトを始めました。その会社の社長に大変気に入っていただき、「あなたは将来社長になる。アメリカに企業留学させるから」と声をかけていただいたのが始まりです。

その社長は3年間待ってくださり、私は大学卒業後に渡米しました。そこで約2年間、世界最大級の木材会社で工場勤務や販売、流通の仕組みを学び、知識と根性を培ったのです。帰国後は、恩を返すためにその会社に戻り、海外で得た知識と英語を活かして、日本全国の工務店や建材店が海外研修へ行く際のコーディネートやガイドをしていました。そのうちに私自身の顔が売れるようになり、次第に「世界で戦いたい」という思いが募った結果、1997年に独立を決意しました。

人との縁を紡ぎ、新たな文化を創造する事業への挑戦

ーー笠間社長が最も大切にされていることは何でしょうか。

笠間聖司:
最も大切にしているのは“人との関係”です。時代や立場を問わず、人との関係を維持し、同じ目線で話すことを意識しています。また、お世話になった方やありがたいと感じた方には、今でも手書きの葉書でお礼を伝えるようにしています。これは、感謝の気持ちを伝えることで、その方々がまた応援してくださり、新たなご縁をいただけると考えているからです。

ーー新たなご縁が、貴社の転換点になったと伺っていますが、具体的にどのようなことだったのでしょうか。

笠間聖司:
2004年には、ある偶然の取引を通じてアイルランドの企業と出会い、日本でのパートナーを探していた彼らから出資を受けて『ディンプレックスジャパン』を設立しました。さらに、東日本大震災でオール電化事業が被災し、事業縮小を余儀なくされた際には、札幌へ拠点を移す決断をしたのです。その際、アイルランド大使からアイルランド名誉領事の仕事を依頼され、日本で唯一のアイルランド名誉領事となりました。そして2020年、コロナ禍を機に会社を再編し、私がコア事業を買い取って株式会社バーグマンとして再スタートを切ったのです。

ーーサウナ事業への参入も、また新たな縁からだったのでしょうか。

笠間聖司:
はい。2010年にバーグマンとして会社を立ち上げたものの、事業が定まっていなかった中、サウナ事業の着想を得ました。フィンランド大使館にメールで企業紹介をお願いしたところ、サウナ機器において世界シェアナンバーワンを誇るフィンランドの『HARVIA(ハルビア)』社とオンラインで出会い、高く評価していただきました。当時のフィンランド大使からもフィンランド名誉領事の依頼を受け、現在では日本で唯一、アイルランドとフィンランド両国の名誉領事を務めています。

「サウナのある暮らし」を日本の当たり前に

ーー貴社の事業内容と強みについてお聞かせください。

笠間聖司:
弊社は日本発の良いもの、海外発の良いものをそれぞれの国に導入し、文化と共に浸透させることで、人々の生活レベルや価値観を豊かにすることを目指しています。現在の主な事業は「サウナウェルビーイング」です。フィンランドの『HARVIA(ハルビア)』社とジョイントベンチャーを組み、日本人の嗜好性や日本の法律、住環境に合わせたサウナ商品を提供しています。例えば、日本の住宅サイズに合う0.5坪や0.75坪のユニットサウナなどを開発し、より身近に感じてもらえるように工夫を凝らしています。

ーー特にサウナ事業における他社との違いはどこにあるのでしょうか。

笠間聖司:
私たちは、全国に60カ所のディーラーショールームを展開しています。北海道から沖縄まで、地元の皆様が気軽に足を運び、サウナを体験し、熱やロウリュを実感できる場所を提供することで、文化づくりを進めています。また、私たちの会社には多くの技術者が在籍しており、電気的な安心安全はもちろん、日本の全ての法律をクリアした製品を提供しています。この全国ネットワークと技術力が、他社にはない私たちの強みです。

ーー貴社の今後の展望についてお聞かせください。

笠間聖司:
一つは、サウナを単なるブームで終わらせず、日本市場に深く浸透させ、生活の一部に組み込むことです。家庭にお風呂が当たり前にあるように、サウナもそうした存在になることを目指しています。もう一つは、サウナに限らず、優れた良いものを世界中から見つけ出し、日本人の価値観に合わせて導入することで、人々の生活を豊かにする挑戦を続けることです。将来的には、日本から海外へ輸出する可能性もあります。私たちが価値を見出し、そのプロセスを経て、最終的にお客様に喜んでいただけることが、最大のやりがいです。

新たな価値を創造する仲間を求めて

ーー最後に、どのような人材を求めていらっしゃるかお聞かせください。

笠間聖司:
私たちは、「どうすれば上手くいくだろうか」と試行錯誤し、自らが絵を描き、主役となって事業を創り上げていけるような方と共に働きたいと考えています。入社年次や年齢に関わらず、やりたいことに情熱を持って提案してくれる方、会社に新しい風を吹き込んでくれる方を応援します。事業開発ができる営業職や、海外に強く、商品を見つけて市場を創り出せる能力のある方は大歓迎です。

私自身、北海道に住みながら毎週月曜日の朝には東京に出社し、木曜日頃に札幌へ戻るという生活を続けています。基本的にはできる限りお客様や社員と直接顔を合わせるコミュニケーションを重視しており、全国を飛び回っています。私たちは、単に売上や利益を追求するのではなく、お客様に「良かった」と喜んでいただけることを第一に考えています。社員一人ひとりが「自分の仕事の主役は自分である」と誇りを持てるような会社でありたいです。

編集後記

笠間氏の話からは、人との出会いや縁を何よりも大切にし、感謝の心を忘れないという一貫した哲学が強く伝わる。特に、日本市場に合わせたローカライズや全国のパートナー企業との協業を通じ、サウナ文化を根付かせようとする情熱は、まさに「未来を創る」という言葉がふさわしい。常に相手の目線に立ち、従業員一人ひとりが主役として輝ける会社を目指す笠間氏の挑戦は、これからも多くの人々に良い影響を与え続けるだろう。

笠間聖司/1965年北海道生まれ。1997年に株式会社グロバリーを設立、2020年に株式会社バーグマンに社名を変更、2023年にはサウナ&スパの世界No.1ブランド「ハルビア」の日本法人株式会社HARVIA JAPANを設立。欧⽶の住⽣活に精通し、⽇本の住宅設備・家電分野に海外の電気製品を導⼊しており、累計100 万台を販売。フィンランドに倣い、⽇本でも「⼀家に⼀台サウナ」を提唱、PRする⽇々。