
受託開発と教育研修事業を両輪で展開する、株式会社グッドワークス。同社はプロジェクトマネジメントという上流工程に特化した開発力と、未経験者を一流に育てる独自の教育システムを強みとする。その根底にあるのは、代表取締役社長である須合憂氏自身の壮絶な労働体験だ。「若者が夢を諦めずに成長できる、働きやすい『いい会社』を作りたい」という強い思いが、同社を動かしている。その使命感を胸に、2030年の上場と売上100億円企業を目指す同氏に、創業の経緯から事業の強み、そして未来への展望について話を聞いた。
社員を使い捨てにする社会への憤りが起業の原動力に
ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか。
須合憂:
社会人としての第一歩は、親が経営する通信販売の会社でした。そこで5年間、商品の在庫管理や発送業務といった倉庫作業から経験を積みました。
その後、社内システムエンジニア(SE)としてプログラミングを学ぶ機会を得たことが、現在の事業のルーツです。当時、会社で利用していた市販のパッケージシステムが高価だったため、「自分たちで作り直そう」という話が持ち上がったのがきっかけでした。
ーーその後のキャリアで大きな転機となったご経験はありますか。
須合憂:
24歳のときに転職した、人材派遣会社での経験です。当時はコンプライアンスという概念が希薄で、月に500時間働くような環境でした。家に帰らず、会社に寝袋を持ち込んで泊まり込むこともありました。もともと負けず嫌いな性格だったこともあり、仕事がゲームのように面白く感じました。未経験で入社したにもかかわらず、いつしか支店の責任者としてトップクラスの業績を上げるまでになりました。
ーーなぜご自身の会社を設立しようと思われたのでしょうか。
須合憂:
当時の東証一部上場企業での実体験が原点です。上場企業でしたが、業績拡大を重視するあまり、人材の育成や定着まで十分に目が向いていない状況がありました。夢を持って入社してきた若い仲間たちが次々と辞めていく姿を見て、この世界は悲しいと強く感じました。
この経験から、若者がきちんと成長でき、働きやすい「いい会社」を作りたいという思いが強くなりました。それが弊社の設立理由であり、使命となっています。
上流工程への特化と独自の教育事業で他社との差別化を図る
ーー貴社の主力事業についてと、他社との違いを教えてください。
須合憂:
ITソリューション事業の強みは、プロジェクトマネジメントに特化している点です。システム開発において、お客様が最終的に目指すのはプロジェクトの成功です。私たちはその根幹となるプロジェクトマネジメントという上流工程に焦点を当てています。
プロジェクトマネジメントが機能しないと、手戻りや修正が多発し、コストや期間が膨らんでしまいます。私たちは上流から設計、開発、テストまでを一貫して担い、お客様の課題を解決できる点が強みです。
ーーITソリューション事業のほかに、展開されている事業はありますか。
須合憂:
もう一つの柱として、「東京DXカレッジ」というブランドで教育研修事業にも力を入れています。法人と学校向けに事業を展開しており、法人向けにはお客様の要望に応じてカスタマイズした実践的な研修を提供し、未経験者を即戦力に育成します。
学校向けには、高校で必修化された「情報」の授業やキャリア教育を、先生方に代わって実施しています。
ーー学校向けのサービスで特に注力されている点はありますか。
須合憂:
教材はプロも使うツールを用いた、より実践的な内容で他社との差別化を図っています。また、人が直接教えている授業をeラーニング化するアプリケーションを開発しました。これにより、専門外の先生が「情報」の授業を担当せざるを得ない状況を解消します。教育現場の負担軽減という社会課題の解決にもつなげたいと考えています。
確かな技術力を育む教育体制 サービス品質を支える成長サイクル
ーー人材育成において特に大切にされていることは何でしょうか。
須合憂:
採用にも限界があるため、人材は育てるしかないと考えています。未経験者を採用し、3年ほどで一人前のSEに育て、さらにリーダーへとステップアップさせていきます。この成長サイクルを組織として回していくことが、何よりも重要です。
そのため、弊社は未経験からでも成長できる環境を整えています。社内には教育部という独立した研修部隊があり、社員の自己成長をサポートする体制が万全です。業務は基本的にチームで進めるため、ベテランの指導のもとOJTを通じて着実に成長できます。他社と比較しても、かなり手厚いサポート体制だと自負しています。
働きづらさをなくす社会へ 100億円企業が目指すその先の未来
ーー今後の具体的な目標についてお聞かせください。
須合憂:
まず2030年までに上場を実現し、その時点で従業員500名規模の組織を目指します。そして、そこから数年かけて売上100億円を達成することが目標です。売上100億円の達成には800名から1000名の人員が必要です。そのため、上場後に採用をさらに加速させていく計画を立てています。
ーー目標達成に向けた現在の取り組みについて教えていただけますか。
須合憂:
IT業界には、建設業界のように元請けから二次請け、三次請けへと仕事が流れていく多重下請け構造が存在します。下層の工程を担うほど、企業の利益は少なくなる傾向にあります。
そこで私たちは、お客様と直接契約を結ぶ「プライム案件」の獲得に注力しています。お客様に近い立場で仕事ができるため、より高い収益性を確保できるからです。こうして得た利益を、さらなる事業拡大や社員の待遇改善に投資していきたいと考えています。
また、タレントの三浦翔平さんを起用したプロモーションや、Jリーグ・東京ヴェルディ1969のスポンサー活動を通じて、企業のブランディングと採用力強化にも注力。現在は月に10名ほどの採用が実現しています。
ーー会社が成長した先で、社会に何をもたらしたいですか。
須合憂:
現代社会において、働きづらさを感じている方や成長の機会をなかなか得られない方がいます。そうした人たちが、いきいきと活躍できる社会や会社組織を築きたいと考えています。
働きづらさの原因は、人間関係や成長できない環境、そして低賃金による自己投資の機会損失にあります。そういった方々が弊社に関わることで前向きに成長できる。そのような環境を提供することが私たちの社会的な役割だと考えています。
自身の体験から語る、困難な壁を乗り越えるやりきる力

ーー最後に、これから活躍を目指す若手の方々へメッセージをお願いします。
須合憂:
自分の実体験から、特に若い方々には伝えたいことがあります。それは、何事も「やりきる」ことの重要性です。最近、多くの若者を見ていてもったいないと感じることがあります。それは、あと一歩というところで「もうダメだ」と諦めてしまうケースです。本人に「頑張っている」という自覚はあるのですが、本当に困難な壁を乗り越える前に、歩みを止めてしまっている。それでは結果が出ないのは当然です。
しかし、本当の成長はその壁を乗り越えた先にしかありません。「やりきる」ことで初めて人は成長し、自信がつき、次のステージに進めるのです。ですから、まずは失敗を恐れずにチャレンジしてみてください。そして、困難に直面したときこそ、そこからもう一歩踏ん張って「やりきる」。そうすれば、皆さんが思い描く未来は必ず実現できるはずです。
編集後記
グッドワークスは、人の可能性に投資する会社だ。「若者にこそ、成功体験を通じて揺るぎない自信を」。須合氏の言葉には、人を信じ、その成長を待つという温かい覚悟が宿る。だからこそ、困難な壁を自力で乗り越える「やりきる力」を何より重んじるのだろう。労働力ではなく未来の資産として自分を見てくれている。そんな信頼感がここにはある。

須合憂/1980年東京都生まれ。親が経営する通信販売の会社で5年間勤務した後、株式会社ワークスに転職。7年の修業期間を経て株式会社グッドワークスを設立。同社代表取締役社長に就任。東京ヴェルディ1969のオフィシャルスポンサー活動にも注力している。