※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

AI技術の急速な進化により、コンサルティング業界は大きな転換期を迎えている。株式会社renueは、AIや先端領域への深い知見と徹底した教育を武器に、日本企業の生産性向上を支援する気鋭のコンサルティングファームだ。自社開発の教育システムでAIを使いこなすジェネラリストを育成し、既存の大手ファームとは一線を画すスピード感でサービスを提供している。2030年に売上高120億円を目指す同社が、予測不能な未来をいかに制していくのか。代表取締役社長の山本悠介氏に、その独自の経営方針と思いを聞いた。

自身の可能性を追求して歩んだ独自のキャリア

ーー社会人としてのキャリアの原点についてお聞かせください。

山本悠介:
私のキャリアの原点は、大学時代にあります。高校卒業後は京都大学工学部に入学しましたが、実際に通ってみると驚くほど車や機械に対して興味が持てませんでした。そこで、3年進級時に専攻を自由に選べる東大の制度に惹かれ、再受験を決意したのです。

最終的には、周囲から「就職先がない」と危惧されたドイツ文学へ進みました。大学生のうちに、やりたいことをやり切ろうと考えた結果です。この、既定路線に縛られず本質を追求した経験が、現在の柔軟な思考の土台となっています。

ーーその後はどのようなキャリアを歩まれましたか。

山本悠介:
大学卒業後は外資系コンサルティングファームのアクセンチュア株式会社に入社しました。当初はメーカーなどを中心に50社ほど受けたのですが、一度大学を中退した経緯が障壁となり、一社も内定をもらえませんでした。そんな折に、東大の先輩から勧められたのがアクセンチュアでした。

当時はまだ労働環境が過酷な時代で、肉体的に辛い時もありましたが、プロフェッショナルとしての基礎を徹底的に叩き込まれた3年間の修行は、今の私にとって大きな財産となっています。また、次々と新しい課題が舞い込んでくるコンサルティングの環境は、飽き性な私にとって「これこそが天職だ」と感じさせてくれるものでした。

個人の限界を超え人を育てる組織を作る意義

ーーその後、起業された経緯を教えてください。

山本悠介:
アクセンチュアで3年間の修行を積んだ後、ベンチャー企業の経営参画やフリーランスを経験しました。フリーランスとしては時給3万円ほどを稼ぎ、年収4000万円近い水準に達したこともありました。しかし、自分の時間を切り売りする生活に、人生の意義を見出せなくなりました。そこで、一人の限界を超え、組織として価値を創造するために、株式会社renueを創業したのです。

また、20代後半でベンチャー企業の経営に携わるなかで、人を育てることに興味を持ち始めたことも大きなきっかけです。一人で稼ぐよりも組織を作り、メンバーのスキルを引き上げていくことに、やりがいがあると考えるようになりました。人の成長を支援し、能力を最大化させる仕組みを作ること。それこそがベンチャー企業の存在意義であると確信しています

ーー現在の事業へ舵を切った背景についておうかがいできますか。

山本悠介:
創業当初はさまざまな事業を試行錯誤していました。転機は2022年の「ChatGPT」登場です。この技術が世界を、そしてコンサル業界を根底から変えると確信しました。大手企業がリスクを恐れて踏み込めない先端領域に、私たちが先んじて挑み、活路を切り開く。この波に乗って一気に勝負をかけるため、AI・先端領域への完全シフトを決断したのです。

現場主義とスピードで実現する価値提供

ーー貴社の事業内容や強みについてお聞かせください。

山本悠介:
AIやWeb3、海外進出といった、企業が自社ではリスクが高すぎて踏み出せない、未知の領域におけるコンサルティングが、弊社の事業の核になっています。大手ファームのように、顧客が日々行う決まった作業を代わりに引き受ける、人材派遣のような形態はとりません。私たちは、前例のない挑戦や、行き詰まった事業の立て直しといった、難易度の高い局面の支援に特化しています。

最大の強みとしては圧倒的なスピード感です。弊社の社員は全員がコードを書き、営業からエンジニアリングまで一人でこなす少人数のチーム体制を構築しています。社内調整にかかるコストを極限まで排除することで、他社には真似できない迅速な意思決定を可能にしました。お客様と苦楽を共にし、これまでにない新しい価値を共に生み出していく存在であり続けたいと考えています。

ーー現在のコンサルティング業界に対してどのような課題を感じていますか。

山本悠介:
既存のコンサル業界は、優秀な人材を確保し、実質的にクライアントの企業活動の基盤となるルーティンワークを代替するだけの人員になっているケースが少なくありません。しかし弊社は、未経験に近い人材でもAIを駆使して付加価値を高め、現場へ送り出す教育体制に自信を持っています。単なる人材派遣ではなく、クライアントと共にリスクを背負い、本質的な変革に挑むのが私たちのスタイルです。

ーー社内のシステム活用や現場対応についてはどのようなこだわりがありますか。

山本悠介:
自社で開発した教育プログラムによって、独自の「教育DX」を仕組み化しています。具体的には、客先へ出る前にAIを相手にした実戦形式の100本ノックを行い、AI以上の精度で回答ができるまで徹底的にトレーニングを積ませる仕組みです。

自社で開発した教育システムによる徹底的な効率化を追求しています。一方で、実際に地方の現場へ足を運び、直接対話することを大切にする「アナログな現場主義」も忘れません。このデジタルとアナログの両立に、私たちのこだわりがあります。

予測不能な未来をスピードと変化で制する

ーー人材育成において、大切にされていることはありますか。

山本悠介:
あらゆる分野の知識を統合して最適解を導く、ジェネラリストの育成を何より大切にしています。特定の分野に特化した知識は、今後AIによって容易に代替されてしまうでしょう。そのため、人間にはAIを使いこなし、多角的な視点から指示を出せる能力が求められます。

しかし、知識や技術だけであれば、いずれAIに追いつかれます。そこで重要になるのが、AIが持ち得ない身体性や熱意です。広範な知識を備えた上で、人間ならではのエネルギーを磨き、お客様に向き合うプロを育てたいと考えています。

具体的には、ジムの費用補助による健康管理や、会議前の発声練習まで行っています。これらは、お客様のビジネスに対して誰よりも熱意を持ち、その想いを声や表情で届けるための訓練です。

ーー福利厚生については、どのような取り組みをされていますか。

山本悠介:
「自分を幸せにできない人間は、他人を幸せにできない」という考えのもと、家族も大切にできる仕組みを整えています。仕事はハードな面もありますが、本人が自信を持って輝き、幸せであってこそ、クライアントに最高のサービスを提供できるはずです。そのため弊社では、ライフステージの変化に応じて利用できる福利厚生や支援制度を整えております。社員の成長と幸せが、最終的には会社の成長に直結すると確信しています。

ーー最後に今後の展望についてお聞かせください。

山本悠介:
2030年に売上高120億円、450名体制という目標を掲げていますが、固定化された長期計画にはあまり意味がないと考えています。AIの進化により数年先の未来さえ予測不可能な現代において、唯一の勝機は「今、この瞬間に最もAIを使いこなしていること」に尽きるからです。

AIが自律的に進化する今、数年がかりの計画を立てることに意味はありません。大切なのは、昨日までの常識を捨て、今この瞬間に最も効率的な解を出し続けることです。この圧倒的なスピード感で変化に適応し続け、いずれは日本の産業を支える軸となるような企業へと、進化を加速させていきます。

編集後記

山本氏の言葉からは、現状に安住せず、常に自らをアップデートし続ける圧倒的な当事者意識が感じられた。AIが人間の仕事を奪うという悲観論が漂う昨今だが、同社が掲げる心・技・体を備えた人材育成は、人間ならではの価値を再定義する希望の光に見える。変化を恐れず、その変化を楽しもうとするスピード感。大手ファームの論理とは一線を画す、クライアントと同じ目線で汗をかく姿勢こそが、日本の生産性を真の意味で加速させるのではないだろうか。2030年の目標に向け、同社の挑戦はこれからも続くことだろう。

山本悠介/1989年京都府生まれ。京都大学中退、東京大学卒業。アクセンチュアに入社し、ベンチャー企業の経営層やフリーランスを経て2021年に独立。現在は株式会社renueの代表としてコンサルティングファームの経営を行っている。