
単なる営業代行ではなく、クライアントが自走できる「売れる仕組み」を構築し、最終的に支援から「卒業」させることを目指すセールスギルド株式会社。強みの源泉は、代表取締役の古瀬貴大氏が経験した、気合と根性の新規開拓と、メガベンチャーで学んだロジカルな仕組み化という両極の経験にある。年2倍以上の成長を目指す中で、属人化したフェーズを終え、現在は組織で勝つための変革に挑んでいる。営業を一生モノの武器に変え、業界全体の価値向上を目指す同氏に、独自の事業理念と今後の展望について話を聞いた。
「泥臭さ」と「論理」の融合 両極端な経験が導いた起業の道
ーー社長のキャリアの原点についてお聞かせください。
古瀬貴大:
学生時代から「自分の人生の主人公でありたい」という思いが強く、20歳のときに社長になることを決意しました。そのために何でも売れる営業になろうと考え、新卒で入社したのがマザーズに上場したばかりのスターティアラボ株式会社(現・クラウドサーカス株式会社)です。「1年以内にトップになる」と宣言し、必死に働き、配属から11カ月で全社1位の成績を達成しました。
しかし、入社から2年後、マネージャーに昇格すると、自分が成果を出せてもメンバーには出させることができませんでした。結果として2度の降格を経験し、マネジメントの難しさに直面します。
ーーその後のキャリアと、創業に至るまでの経緯を教えてください。
古瀬貴大:
スターティアラボで7年間勤務した後、ラクスル株式会社に転職しました。起業には営業以外の視点が必要だと考えたためです。ラクスルでは、あえて未経験の生産管理部で、購買側を経験しました。その後の営業部門では、データに基づき仕組みで売る合理的な手法を体感することになります。
スターティアでは、地を這うような営業を経験し、ゼロから市場をつくる力と、圧倒的な行動量を学びました。一方のラクスルでは、データに基づき仕組みで売る。この両極端な営業スタイルを経験したことで、改めて営業という仕事の可能性を再認識することができました。
そして、2019年に営業フリーランスとして独立、翌年には法人化に至りました。泥臭い営業と論理的な手法。その双方を熟知しているからこそ、お客様のフェーズを問わず課題を的確に捉えることができます。最適な支援ができる点こそが、弊社の最大の強みです。
顧客に「売れる仕組み」を 権限委譲で挑む組織の変革

ーー同業他社との違いはどのような点にありますか。
古瀬貴大:
多くの営業代行会社はアポイント獲得件数などを指標とすることが一般的ですが、私たちはクライアントが自走できる「売れる仕組み」を社内に構築することをゴールに掲げています。単に業務を代行するのではなく、お客様と伴走しながら仮説検証を繰り返し、一緒に答えを見つけていくスタイルを貫いてきました。特に、正解のない新規事業の立ち上げや、プッシュ型の営業体制をゼロから構築する支援には豊富な実績があります。
また、ただアポイントをとるだけではなく、その後の商談結果まで追い、受注につながる質の高いアポイントをどう生み出すかを徹底的に追求する点も特徴です。時には、お客様の商談の進め方に対して「そのやり方では受注できない」と踏み込んだ助言をすることも珍しくありません。コンサルタントのように深く入り込むからこそ、本質的な課題解決が可能になると確信しています。
ーー組織づくりにおいて意識されている点をお聞かせください。
古瀬貴大:
創業から5期目までは、売上高の大半を私一人が担っていました。この「属人化」が最大の課題であり、能動的に動ける組織をつくる必要があると感じていました。そこで直近の1、2年は組織化へ大きく舵を切り、部長級の幹部を複数名採用しました。彼らに権限を委譲し、私が介在せずともプロジェクトが回る体制を整えています。その結果、マネージャー陣が自ら案件を獲得するなど、確かな変化も生まれています。
変革の中で私が最も心がけているのは、メンバーに任せることです。つい口を出したくなりますが、それでは人は育ちません。失敗や遅れがあってもぐっとこらえ、「どうすべきか」を自ら考えてもらう。これまでは毎年1.5-2倍位の成長を続けてきましたが、来期は3倍の成長を目指します。この忍耐強く見守り任せていくスタンスが、さらなる飛躍に向けた強固な土台になると確信しています。
主体性が拓く年2倍成長のキャリア
ーー優秀な営業マンを増やすためにどのような取り組みをされているのでしょうか。
古瀬貴大:
現状、世の中には自己都合で売りたいだけの営業がまだ多いと感じていますが、相手の役に立つ「よい営業」が増えれば、経済はより良くなるはずです。
そこで、「S1グランプリ」の開催や営業コミュニティ「セールスギルド」の運営を通じ、「よい営業」のノウハウを広める活動に注力しています。目指すのは、キーエンスやリクルートのように、「営業といえばセールスギルド」と名前が挙がる業界の代名詞的な存在です。その先には、営業職に従事する全ての人が登録し、学びや出会いを得られるプラットフォームの構築を目指しています。営業を通じて自己実現と他者貢献を両立できる人を増やし、よりよい社会を築いていきたいですね。
ーー最後に、貴社が求める人物像はどのような方ですか。
古瀬貴大:
指示を待つのではなく、課題を自分ごととして捉え、自ら考え行動できる方とともに未来をつくりたいと考えています。もちろん過去の営業実績も評価しますが、それ以上に「営業を通じて成長したい」という意欲を重視します。
弊社には、日本最大級の営業大会「S1グランプリ」の運営や、1000名以上が参加する営業コミュニティの活動など、業界をより良くするための土壌があります。既存の営業支援だけでなく、新規事業の立ち上げや組織の仕組みづくりなど、挑戦できる場は無数にあります。大きな裁量を持って会社を成長させる面白さを、ぜひ味わってほしいですね。
編集後記
「自分の人生の主人公でありたい」。その純粋な欲求を原動力に、トップセールスから経営者へと駆け上がってきた古瀬氏。個の力で道を切り拓いてきた同氏が今、あえて「任せる」という経営者としての新たな壁に挑んでいる。その挑戦は自社の成長に留まらない。営業コミュニティの運営を通じ、業界全体の価値を高めるという、大きなビジョンへとつながっていた。自己実現と他者貢献の両立を目指す同社の飛躍が楽しみだ。

古瀬貴大/1986年北海道生まれ。スターティア株式会社に入社し、法人向けソフトウェア営業として修業を積む。ラクスル株式会社を経て、2019年に営業フリーランスとして独立。2020年にセールスギルド株式会社を設立し、代表取締役に就任。営業で自己実現を掲げ、営業コミュニティ運営と日本最大級の営業大会「S1グランプリ」の代表としての活動にも注力している。自己実現と他者貢献の両立ができる社会を目指している。X(旧Twitter)はこちら。