※本ページ内の情報は2026年2月時点のものです。

法人向けにAIによる実務変革を支援する株式会社AX。同社の強みは、単なる知識の提供に留まらず、顧客の業務成果に徹底的にコミットする実践的な支援体制にある。代表取締役の石綿文太氏は、かつて広告代理店事業を運営していたが、自ら「AIエージェント」を開発し、属人化していた膨大な業務を次々とAIへ代替させた。この生産性向上の体験を基に、現在は実践的なAI活用を広めるべく事業を牽引している。広告業界時代から一貫して持ち続ける「成果の追求」と、同社が描く未来の組織像について話を聞いた。

顧客の成果を第一に追求した経営の原点

ーーこれまでのキャリアの歩みについてお聞かせください。

石綿文太:
少し珍しい経歴かもしれませんが、高校卒業を目前に起業しました。もともと2歳の頃から子役として活動しており、成果に応じて自分で稼ぐという文化の中で育った背景があります。そのため、起業することへの抵抗はさほど感じませんでした。

16歳で芸能界を引退し、進路を考えたとき、進学や就職をする未来があまりイメージできませんでした。それよりも、自分で商材を見つけて販売する方が、自身の性分には合っていました。高校2年生の頃には起業を決意し、すでに営業活動へ着手していたほどです。

ーー創業時に取り組んでいた事業の内容は何ですか。

石綿文太:
最初はイベント・ケータリング事業で創業しました。その後、広告代理業をスタートしています。当時の広告業界には、とにかく顧客を獲得できれば良い、売れれば良いという風潮が根強くありました。しかし、私は当時から「本当に顧客の成果につながるのか」という点を最も重視していました。あえて難しい契約形態を選んででも、質の高いユーザーを獲得することにこだわっていたのです。

そうした「いかに現場の成果と結びつけるか」という徹底した視点は、現在のAI事業にもそのまま生かされています。単にAIを導入して終わりではなく、業務が改善されなければ意味がないと考えています。

圧倒的な生産性向上から始まった事業化

ーー広告事業からAI事業へ転換したきっかけを教えてください。

石綿文太:
転機は2024年6月でした。AI技術に精通した方との出会いにより、業務の大部分をAIで代替できる可能性を強く感じました。その方は技術そのものに詳しかった一方、私は実務への落とし込みという視点で、大きな商機を見いだしたのです。

この出会いを機に、まずは自社業務を自動化する仕組みを構築しました。結果として、26人分の仕事を私1人で完結できる体制が整ったのです。システムの完成時、ある先輩経営者から価値を認めていただいたことで、事業化を意識し始めました。5社ほどに提案した際も非常に強い関心をいただき、手応えを感じて開発と研修事業を本格的に始動させました。

改善サイクルを回し続ける徹底的な伴走

ーー現在展開されている事業について、具体的な内容をお聞かせいただけますか。

石綿文太:
弊社はAIプロ人材を育成する研修事業「AX CAMP」と、AI顧問としての伴走支援を展開しています。最大の特徴は、単にツールの使い方を学ぶのではなく、自分の分身として業務を遂行する「AIエージェント」を作成できるレベルまで受講者を引き上げる点にあります。

AI顧問では、知識の習得をゴールとはせず、実務で成果が出るまで徹底的に伴走します。具体的には、Eラーニングだけでなく、勉強会や個別相談室、チャットなど、6つの手法で多角的にサポートする体制を整えています。さらに、弊社が独自に学習させたAIエージェントの配布も行っており、研修後も長期的な関わりを通じて企業のAI活用を最大化させます。

ーー顧客の成果を出すために、特に工夫されている点はありますか。

石綿文太:
「成果が出ていないのであれば、手法に不備がある」という考えのもと、顧客と徹底的に向き合っています。成果を追求する姿勢は広告代理店時代から変わりません。たとえば、各フェーズで合計8回から10回のアンケートを実施し、常に改善点を探り続けています。

もし成果が芳しくない場合は、個人の失敗と捉えるのではなく、やり方そのものに問題があると判断します。社内では部署ごとに月1回、3時間ほどかけて抜本的な改善会議を行い、ときには既存のサービスを廃止するほどの大きな転換もためらいません。現場の違和感をすぐに報告できる文化を形成し、プロダクトを常に進化させています。

企業の業務フローを再構築する実践的なAXへの挑戦

ーー将来描いている目標についてお聞かせください。

石綿文太:
今後2年から3年で「実践的なAX(※)なら弊社」という確固たるポジションを築き、売上規模50億円を目指します。これまではデジタルマーケティングを主軸としてきましたが、現在は私自身がフロントに立ち、オフラインでのセミナーやカンファレンスへの登壇も積極的に増やしているところです。現場でユーザーの生の声を聞くことで、新たなサービス開発へのヒントを得たいと考えています。

※AX(エーエックス):AI Transformation(AIトランスフォーメーション)の略で、AI技術を導入するだけでなく、ビジネスモデル、業務プロセス、組織文化、企業そのものの在り方を根本から変革することを目指す取り組み。

現在、月間で約200件ものお問い合わせをいただいておりますが、対応する人材が全く足りていません。そのため、現在は特に「AIコンサルタント」の採用に注力しています。法人営業やカスタマーサクセスの経験があり、新しい技術に楽しさを見いだせる方を求めています。

私たちが理想とするのは、単に解決策を提示するだけの人材ではありません。業務フローを根本から考え直し、「ここにAIを導入すれば売上高が上がる」といった、経営に直結する提案ができる人材です。将来的には、彼らのようなプロ人材を企業へ送り込む、SES事業のような展開も構想しています。

編集後記

高校在学中に起業し、広告代理店業を経てAI事業へ。石綿氏の歩んできたユニークな経歴の根底には「本当に成果につながるのか」という、顧客に対する一貫した誠実な問いがあった。最新技術であるAIを扱いながらも、同氏が最も重視するのは、現場の実務といかに結びつけ、具体的な成果を生み出すかという極めて実践的な視点だ。テクノロジーの進化が加速する現代において、同社が示す「実践的なAX」という道筋は、多くの企業にとって変革の確かな一歩となるだろう。

石綿文太/1994年生まれ。高校卒業を7日後に控えたタイミングで中退し、起業。イベント事業やWeb制作を経て、10年以上の広告代理業に従事する。自社開発のAIエージェントにより、本来26名を要する実務を1名で完結させる体制を構築。2025年4月、これらの実績を元に社名を「株式会社AX」と改め、現在は法人向けAI研修「AX CAMP」やAIエージェント開発をメイン事業として注力。企業の変革を牽引している。