※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

かつては料理人として腕を振るい、その後はプロボクサーとしてリングに上がった経歴を持つ経営者がいる。株式会社REXCIA JAPANで代表取締役を務める古家充氏だ。怪我による挫折を経て不動産業界へ飛び込んだ同氏が、激しい競争の中で見出した勝利の方程式は、意外にも「徹底した丁寧さ」だった。「売って終わり、買って終わりではない」と語る古家氏。そのストイックな姿勢と、顧客や社員に対する温かい眼差しの裏側にある、独自の経営哲学に迫った。

リングでの挫折が教えてくれた「自分との闘い」

ーーまずは、キャリアのスタートについて教えてください。

古家充:
料理人として社会人キャリアをスタートしましたが、15歳でボクシングに出会い、当初は仕事と並行してジムへ通うほどのめり込みました。本格的にプロを目指すためボクシング中心の生活へ切り替えたのは、この競技の「自分との闘い」という性質が自分に合っていたからです。誰かに指示されるのではなく、自らを律して練習しなければ結果が出ないストイックな世界に身を置いたことで、性格が変わるほどの影響を受けました。あの頃に培った継続力や精神力は、現在の経営の礎となっています。

ーーボクシングの世界から新たな道へ進むことになったきっかけは何だったのでしょうか。

古家充:
24歳の時に負った怪我が原因でした。日本ランキングに名を連ね、さらなる高みを目指していた矢先に身体を壊し、現役続行が不可能になったのです。夢半ばでの断念は大きな挫折でしたが、いつまでも立ち止まってはいられないと気持ちを切り替えました。「まずは経済的な基盤を築こう」と決意し、生まれ育った東京で、実力主義の世界である不動産業界へ飛び込むことを決めました。

受話器の置き方ひとつで信頼は変わる

ーー不動産業界でのキャリアは、順調な滑り出しだったのでしょうか。

古家充:
当初は幾多の困難に直面しました。最初に門を叩いたのは電話営業が主体の会社でしたが、私は元来、弁が立つタイプではありません。お断りを受ける日々が続き、精神的にも厳しい局面に立たされました。周囲が次々と離職していく過酷な環境下で、いかにして活路を見出すべきか、自問自答を繰り返す毎日でした。

ーーその苦境を、どのようにして乗り越えられたのですか。

古家充:
転機となったのは、ある上司との出会いでした。その方は卓越した成績を収めているだけでなく、何より仕事に対する「丁寧さ」が群を抜いていました。たとえお電話口でお断りをされた際も、決して乱暴に受話器を置くようなことはせず、最後まで敬意を込めて丁寧に置く。その徹底した細部へのこだわりを目の当たりにし、衝撃を受けたのです。

不動産営業の世界ではスピードや力強い交渉力が重視されがちですが、真の武器となるのは「徹底した丁寧さ」ではないか。そう確信しました。お客様の歩調に寄り添い、誠実な対話を積み重ねる。一見当たり前のように思えることの徹底こそが、強固な信頼関係を築き、成果へと繋がる唯一の道だと気づいたのです。この時得た「丁寧であれ」という教えは、今も私の経営の根幹を成しています。

「売買の先にある信頼」 生涯のパートナーとして歩む不動産経営

ーー貴社の事業の特徴や強みについて教えてください。

古家充:
現在は、中古の戸建てやマンションの売買仲介を主軸に、個人のお客様の実需用から投資用物件まで幅広く手掛けています。取り扱う価格帯は3000万円から20億円規模に及びますが、私たちが最も重んじているのは、物件の規模以上に「お客様との関係性」です。

不動産取引は非常に高額な一生に一度ともいえる機会であるため、業界全体として取引成立がゴールになりがちな側面があります。しかし、私たちは「売買の成立」を関係の終着点とは考えていません。その後のライフステージの変化や資産運用のご相談など、お客様の人生に長く寄り添い続けるパートナーでありたい。その信念を具現化するために、先ほど申し上げた「徹底した丁寧さ」を、あらゆる業務の最優先事項としています。

ーー社内の雰囲気と、組織として大切にしている姿勢を教えてください。

古家充:
私自身を含め、穏やかで誠実な資質を持つメンバーが集まっていると感じています。もちろん、プロフェッショナルとしてお客様の利益を最大化するための交渉には粘り強く臨みますが、そこに威圧的な態度は一切不要です。お客様が心から安心して大切な資産を託せるよう、常に品格と誠実さを兼ね備えた組織でありたいと考えています。

スキルよりも「人間性」 共に未来を創る仲間を求めて

ーー今後、組織を拡大していくにあたって、どのような人材を求めていますか。

古家充:
経験の有無や営業スキル以上に、「人間性」を最重視しています。不動産の知識や実務は後からでも習得できますが、素直さや誠実さといったその人が持つ根幹の部分は、一朝一夕で変えられるものではありません。会社の理念に共感し、同じ目標に向かって切磋琢磨できる方と働きたいと考えています。

実際、昨年も3名の新しいメンバーが加わりましたが、非常に前向きで良い活気をもたらしてくれています。30代から40代が中心の組織ですが、互いに高め合いながら成長できる環境が整っています。

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

古家充:
まずは営業体制の強化と、採用ブランディングに力を入れていきたいと考えています。規模の拡大も一つの指標ですが、それ以上に「この組織で働きたい」「古家と一緒に仕事がしたい」と心から思ってもらえるような魅力ある体制を築いていきます。

将来的には、不動産領域に留まらず、食やライフスタイルに関わる事業など、多角的な展開も視野に入れています。私自身、食へのこだわりが強く、将来的には日本が誇る本物の食文化を国内外へ発信できるようなビジネスにも挑戦したいと考えています。扱うジャンルは変わっても、「関わるすべての人を幸せにする」という信念は揺らぎません。これからも一つひとつの仕事を丁寧に積み重ね、信頼する仲間と共に、まだ見ぬ新しい景色を形にしていきます。

編集後記

「ボクシングは自分との闘い」。そう語る古家氏の言葉には、厳しい勝負の世界で培われた芯の強さが宿っている。しかし、その語り口は常に穏やかであり、物腰はどこまでも柔らかい。不動産業界という激しい競争下で、同氏が選んだ武器が「強引さ」ではなく「徹底した丁寧さ」であったことは、同社の品格を象徴している。料理人としての感性、ボクサーとしての胆力、そして営業マンとしての誠実さ。それらが融合した古家氏の経営学は、これからも多くの顧客と社員を惹きつけ、新たな価値を創造し続けるに違いない。

古家充/1987年、東京都出身。専門学校卒業後、料理人としてキャリアをスタート。2012年に不動産業界へ転身し、売買仲介を中心に経験を積む。2017年10月、株式会社REXCIA JAPANを設立し代表取締役に就任。不動産売買仲介、コンサルティング、戸建住宅事業、買取再販事業を展開している。