※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

関東を中心にクレーンゲーム専門店「エブリデイ」を展開し、多角的な事業を手がける株式会社TOYO EVERYDAY HOLDINGS。自らの事業を単なるアミューズメント業ではなく「笑顔創造業」と明確に定義し、年間最大100日に及ぶ独自の研修を通じて圧倒的な体験価値をお客様に提供している。自身のコンプレックスを原動力として「人がやらない小さなことを地道に積み重ねてきた」という代表取締役社長の中村秀夫氏に、同社ならではの経営信念と未来への展望を詳しくうかがった。

コンプレックスを原点に人がやらないことを積み重ねる

ーー起業や現在の会社をつくるに至った原点はなんですか。

中村秀夫:
私は祖父、父と続く事業家の家系に生まれました。4人兄弟の末っ子として育ちましたが、幼少期は優秀な兄や姉に対して強いコンプレックスを抱えていました。「どうすれば彼らに追いつけるのか」。葛藤の末に辿り着いたのが、「彼らができないこと、やりたがらないことをやろう」という決意です。目立つことや格好いいことは、できる人がやればいい。私には二宮金次郎の「積小為大」という言葉の通り、小さな努力を積み上げるしか道はありませんでした。

ーーでは実際、何から着手されたのですか。

中村秀夫:
掃除や片付けなど、地味な仕事を全力で引き受けることから始めました。親から頼まれたことを快諾し、隅々まで完璧にやり遂げると褒められる。この小さな成功体験の積み重ねが原点です。当たり前のことを馬鹿にせず全力でやり続ける姿勢は現在の経営にも反映されており、それが今の会社の規模へとつながっています。

年間80~100日の研修を通じて「価値観」を共有する人材こそが最大の強み

ーー小売業から現在の事業へと転換された背景には何があったのでしょうか。

中村秀夫:
学校卒業後は新宿の商業施設に就職し、眼鏡や宝飾の販売に携わりました。その後、父や兄と同じ経営者の土俵に立ちたいという思いから独立し、家電のディスカウントストアを開業したのです。しかし、インターネットの普及により、家電のような「モノ」はいずれネットで手軽に買えるようになり、価格競争に陥ると予測しました。そこで「モノ」の販売から退き、非小売業へのシフトを決断したのです。弊社ではビジョンとして「笑顔創造業」を掲げています。弊社の主力であるクレーンゲームは、単なるアミューズメントではありません。クレーンゲームという手段を通じて、お客様に笑顔と感動を生み出す体験を提供することが私たちの本質です。

ーー独自の体験や感動を生み出すために、どのようなことに注力されているのでしょうか。

中村秀夫:
対面でお客様に感動していただくには、人材教育が不可欠です。そのため、弊社では年に80日から100日もの研修を実施しています。研修で最も重視しているのは、人間力を高めることや、どのような人生を歩みたいかを見つめ直す「価値観教育」です。これが研修全体の7割を占めます。何のために仕事をしているのかという問いに対し、「笑顔と感動を届けるため」と即答できる、価値観を共有した人材を育てていることが弊社の最大の強みです。そうしたスタッフによる温もりのある接客が、他にはない体験を形作っています。

全国展開とオリジナルIPや社会貢献でさらなる笑顔を

ーー今後の事業展開や新たな取り組みについて、詳しく教えてください。

中村秀夫:
現在、クレーンゲーム店舗は関東が拠点ですが、今後は関西など全国へ商圏を拡大し、日本中のファミリー層を笑顔にしていきたいです。また、リユース事業やオリジナル景品の領域において、海外への展開も進めています。独自性を高めるため、自社で企画やデザインをしたオリジナル景品を海外工場で製造し、店舗に投入しています。私自身もカレー大学を卒業した知見を活かし、オリジナルカレーを開発しました。これも弊社のクレーンゲームでしか獲得できない景品として提供しています。「エブリデイ」の名の通り、毎日違ったイベントを企画し、笑顔を創造し続ける決意です。

ーー社会貢献活動にはどのように注力されているのでしょうか。

中村秀夫:
日本クレーンゲーム協会および埼玉県桶川市とコラボレーションし、クレーンゲームを通じた市民の笑顔創出や、子どもの居場所づくりを進めています。また、リユース事業においては、一般社団法人笑顔創造振興協会を通じて買い取った品物をボランティア団体に寄付し、子どもたちを笑顔にする活動を行っています。こうしたボランティア活動には弊社の社員も参加しており、彼らの働きがいにもつながっているのです。単なる事業拡大ではなく、お客様や働く人たちの笑顔を増やしていくこと。それが私の目指す会社のあり方です。

編集後記

「積小為大」という言葉を胸に、小さな努力を重ねて独自の経営スタイルを確立した同氏。同社が展開する「エブリデイ」が支持を集める理由は、モノの提供にとどまらず「笑顔と感動」にフォーカスしている点にある。年間最大100日に及ぶ研修で育まれた社員の接客姿勢やオリジナルIPの展開、社会貢献活動への取り組みは「笑顔創造業」の体現に他ならない。全国、そして海外へ広がる同社の今後の展開に大いに期待したい。

中村秀夫/1960年東京都生まれ。専修大学経営学部卒業。1987年に株式会社東洋を設立。クレーンゲームのテーマパーク、設置台数で世界記録を達成するなど、アミューズメント業界を牽引。現在は、リユース・宝石・健康メディカル事業などを展開している。