※本ページ内の情報は2026年6月時点のものです。

世界的なプロフェッショナルコーチを日本に招へいし、日本の名だたる大企業の経営層に向けて質の高いエグゼクティブコーチングを提供してきたビジネスコーチ株式会社。業界に先駆けて上場を果たした同社は今、「人的資本経営」を推進する企業への総合的な支援へと事業領域を大きく広げている。圧倒的な実績を誇る同社を率いるのは、自身もトップセールスからマネジメントの壁にぶつかり、コーチングの力で組織を変革してきた代表取締役社長の細川馨氏だ。テクノロジーの進化を味方につけ、誰もがポテンシャルを開花させ得る社会を目指す同氏に、事業の原点とワクワクする未来の展望を聞いた。

成績優秀な営業マンが直面した「マネジメントの壁」と対話の力

ーーまずはご自身のキャリアについて、お聞かせいただけますか。

細川馨:
もともとは保険会社で営業をしていました。当時はお客様が何を求めているかを常に考え、喜んでいただける話し方などを徹底的に研究し、自身で大きな成果を上げていたのです。その実績が評価され、27歳で当時の最年少営業所長に就任しました。

自分自身が成績を上げていたため、所長になっても同じように部下へ自分のやり方を伝えれば売れるだろうと考えていました。しかし、部下に対して私の営業手法を懸命に教えても、全員の成績を上げることはできなかったのです。プレイヤーとしてトップに立つことと、組織を牽引することの違いに直面し、マネジメントの難しさを痛感した瞬間です。

ーー成功体験が通用しなかった理由はどの点にあると分析されていますか。

細川馨:
人はそれぞれ全く違うという事実です。話し方一つとっても、それで伸びる人もいれば、そうでない人もいます。自分の思うような組織をつくるのではなく、「この人はどういう考えや強みを持っているのか」を常に考え、一人ひとりに合わせた対話をしていく必要があると痛感しました。組織の目標は共有しつつ、そこに至るアプローチは個別に対応する。これが私のマネジメントの原点であり、現在のコーチングビジネスにもつながっています。

ーーその後、どのような経緯で独立を決断されたのですか。

細川馨:
当時勤めていた会社が外資系企業に買収されたことが大きな転機でした。そこで自分や会社の方針との間にズレを感じたことで、独立を決断したのです。私は保険会社で22年ほど働き、厳しい環境の中でも自らコーチングを学んで組織運営を成功させてきた自負があります。起業前夜にカラスのフンが頭に落ちてきたのですが、それを「絶対に成功するサインだ」とポジティブに捉えたことを覚えています。自分が成功すると確信できなければ、人を説得することはできませんからね。

その後、米国のプロフェッショナルコーチで”コーチングの神様”と呼ばれるマーシャル・ゴールドスミス博士を日本に呼んだことで、多くの大企業から声がかかり、事業が大きく成長していきました。

強固な提携関係で「人的資本経営の総合プロデューサー」へ

ーー現在の事業内容と他社にはない強みを教えてください。

細川馨:
弊社の事業は、大企業の経営層や管理職を対象としたエグゼクティブコーチングを中核とし、現在は「人的資本経営」を推進する企業への総合的なプロデュース支援へと領域を広げています。

最大の強みは、日本経済新聞社との資本業務提携による圧倒的な信用力と、同社の持つ良質なコンテンツに弊社のプログラムを融合させた独自の提案力です。単にコーチを派遣するだけでなく、お客様が数年後にどのような組織を目指すのかを詳細にヒアリングし、その実現に最適なプログラムを上流から設計できる体制を整えている点に大きな優位性があります。

ーー貴社ならではの独自性のある支援内容とはどのようなものですか。

細川馨:
単に知識を提供するだけでなく、企業の未来を見据えた戦略的な実行支援を行うことです。たとえば、次世代リーダーの育成プログラムや、コーチが伴走する画期的な人材紹介事業などを展開しています。人材紹介においては、企業に最適な人材を紹介するだけでなく、入社後にもコーチをつけることで、新しい環境への適応から現場での活躍までをしっかりとサポートし、経営課題の解決に直結するプロデュースに注力しています。

「AI×コーチング」が生み出す究極の実行支援でポテンシャルを引き出す

ーー昨今、急速に進むAIの進化をどのように捉えていますか。

細川馨:
AIの進化は私たちにとって大きなチャンスだと捉え、最先端のテクノロジーを積極的に取り入れています。全社員が1日何時間もAIを使いこなしており、入社1年目の社員でも「1日6時間はAIと対話して壁打ちしている」というほどです。企業の経営計画の分析や、クライアントへの提案の精度を飛躍的に高めるために、今やAIは私たちのビジネスに欠かせない強力なパートナーになっています。

ーーAIを徹底活用する中でも「人の力」が必要な理由をどうお考えですか。

細川馨:
最後の一歩を踏み出せるのは「人(コーチ)の力」に他ならないからです。AIを使えば、人間の能力は何倍にも引き上げられます。しかし、AIがどれだけ素晴らしい分析や計画を出しても、行動を起こすのは「人」なのです。実行に移す際の不安を取り除き、最後の一歩を踏み出せるのは人の伴走があってこそです。だからこそ、テクノロジーと人間の伴走を融合させる必要があります。

ーー最後に、貴社が目指す今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか。

細川馨:
テクノロジーと人間の伴走を融合させた究極の実行支援インフラとして、日本企業の底上げを牽引していくことです。将来的には、誰もがビジネス版のトップアスリートのように、自身の中に眠る圧倒的なポテンシャルを開花させられる社会の実現を目指します。人間の能力は、優れたAIを使いこなし、素晴らしいコーチの伴走が加わることで圧倒的なパフォーマンスを発揮します。私たちが正しく伴走し、実行を支援することで、ワクワクするような未来をつくり上げていきたいと考えています。

編集後記

「最後の一歩を踏み出せるのは人である」。細川氏の言葉には、数多くの経営者と対峙してきた確かな重みがあった。自身のマネジメントの壁から導き出した「対話」の重要性は、最新テクノロジーが台頭する現代でこそ強い輝きを放つ。全社員がAIを使いこなすなど最先端の技術を取り入れつつも、最終的な実行を促すのは「人の力」という信念のもと、同社は究極の伴走支援インフラを構築している。誰もが自身のポテンシャルを開花させ「ビジネス版のトップアスリート」になり得る社会の実現を目指す同社の歩みは、日本企業の確かな希望となるだろう。

細川馨/1957年生まれ。1980年駒澤大学経営学部卒業後、生命保険会社に入社し銀座支社長、支社開発室長などを歴任。コーチングを導入し、独自の営業システムを構築して業績を伸ばす。2003年プロコーチとして独立。2005年にビジネスコーチ株式会社を設立し現職。著書に『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)『生保最強営業マンの実践コーチング塾』『上司は社員と飯を食え』(ともに日経BP社)などがある。