※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

京都大学を卒業後、総合商社、外資系戦略コンサルティングファームと、着実にキャリアを歩んできた馬渕太一氏。馬渕氏の心の中に常にあったのは「会社にキャリアを決められる」日本の組織構造への違和感だった。「自分がどうしたいか」という思いに嘘をつかず、挑戦できる環境を求めた彼は現在、株式会社Job-Usの代表を務める。AIシステムを用いた「ジョブ型人事」の導入支援を通じ、年齢や年次ではなく実力と主体性が評価される社会の実現を目指している。民間企業から自治体まで、日本中の組織を変革しようと奮闘する馬渕氏に、起業の経緯やともに未来をつくる仲間への思いを聞いた。

「キャリアは会社が決める」という違和感とジョブ型との出会い

ーーこれまでの経歴と、起業に至った経緯をお聞かせいただけますか。

馬渕太一:
起業の根底にあるのは、日本の組織に根付く「年功序列」や「会社が個人のキャリアを決める」あり方への強い課題感です。この思いは、新卒で入社した総合商社時代から抱いていました。そこでは海外と日本をつなぐ化学品の取引に携わり、若手の頃から規模の大きな事業を経験しました。その後、より自分を成長させられる環境を求めて外資系の戦略コンサルティングファームへと転職し、戦略コンサルティング業務に従事しました。

ーーそこから、なぜ「ジョブ型」の人事システムに着目されたのでしょうか。

馬渕太一:
年齢や経験年次ではなく、担う役割や責任で報酬が決まる「ジョブ型」こそが、私の感じていた課題を解決する仕組みだと確信したからです。コンサルタントとしても多くの会社を見る中で、個人のキャリアを会社が決めるという課題は、日本の企業全体に共通するものだと気づきました。ゆえに私自身、「自分がどうしたいか」という思いに嘘をつかず、主体的にキャリアを築くことを大切にしてきました。2020年頃から日本でもジョブ型が注目され始め、個人の意思や努力が尊重されるこの仕組みを社会に広めたいと考えたのです。

AIに特化したシステムで組織の課題に深く切り込む

ーー現在の事業内容についてお聞かせください。

馬渕太一:
AIシステム「Job-Us(ジョブアス)」を通じ、企業のジョブ型人事の導入と運用を支援しています。最大の特徴は、ジョブ型に特化した仕組みを最新のAI技術を用いて実現している点です。具体的には、AIが企業の事業戦略や部門方針に基づいて、社内の職務設計・職務定義の支援をします。これは戦略・方針を各仕事(職務)にまで落とし込むという非常に重要なプロセスです。さらに企業は定義した職務をベースとして、評価から報酬の決定、適切な人材の配置、社内公募などを推進します。

ーー現在はどのような企業に導入されているのでしょうか。

馬渕太一:
人事制度の変革に本格的に取り組む大企業のお客様への導入が中心です。今後は政府の推進もあり、中小企業へも徐々に広がっていくと予想しています。また、最近では民間企業にとどまらず、自治体からもご相談をいただく機会が増えました。

ーー自治体においても、ジョブ型の仕組みに対するニーズは高まっているのでしょうか。

馬渕太一:
多くの自治体で若手職員の離職が課題となっており、その原因の一つが「固定的なキャリアしか描けないこと」にあります。そこにジョブ型の仕組みを導入することで、自らキャリアを選択し、能力を伸ばしていける環境をつくりたいと考えています。自治体の皆様とともに主体的な働き方を推進するため、すでに具体的な取り組みも始めています。

求めるのは「熱量」 最先端の環境で日本の組織を変える仲間を

ーー採用においては、どのような人材を求めていますか。

馬渕太一:
今後は中途採用を強化していく方針です。中でも求めるのは、お客様の課題に深く向き合い、解決策をとことん追求できる方です。私たちが提供するジョブ型システムは、日本において非常に新しい取り組みです。そのため、新しい仕組みを力強く推し進める「熱量」を持った方にぜひ来ていただきたいと考えています。特別な資格は不要ですが、AIやテクノロジーへの関心があり、熱意を持った方を歓迎します。

ーー貴社で働く魅力についてお聞かせください。

馬渕太一:
魅力は大きく2点あります。

1点目は、大きな社会的意義を感じられることです。日本特有の年功序列といった課題に深く切り込み、組織のあり方を変革していくことができます。ジョブ型という新しい仕組みを自らの手で日本に実装していく立場だからこそ、大きな面白さを実感できるはずです。

2点目は、最先端のAIを活用した課題解決の経験が積めることです。世界中でAIによる課題解決が求められる中、その最前線に立つことができます。さらに、完全にジョブ型の組織として機能している社内環境も魅力の一つです。年齢に関係なく、担う役割によって給与が大きく変動します。会社からの指示を待つのではなく、自らの意思で挑戦する主体性を何よりも尊重する環境です。

実際に「もっと早くいろいろな経験を積みたい」「さらに成長したい」と大企業から転職してきたメンバーもおり、社内には日本の組織を良くしたいという熱意を持つ仲間たちがそろっています。実力次第で次々と活躍の場を広げられるため、非常にやりがいを感じていただけると思います。

「ジョブ型といえばJob-Us」 日本全体が自律的に働ける社会へ

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

馬渕太一:
最終的な目標は、「日本企業全体のジョブ型化」を実現することです。誰もが主体的に職務を選び、正当な報酬を得て、さらに上を目指していける。そんな自律的なキャリアを歩める社会をつくり上げたいと考えています。そのためのステップとして、まずは世間から「ジョブ型といえばJob-Us」と認識されるような、代名詞的な存在になることを目指します。

編集後記

「自分がどうしたいかという思いに嘘をつかない」。馬渕氏が語ったこの言葉が、非常に強く印象に残った。敷かれたレールの上を歩むのではなく、自らの意思でキャリアを切り拓いてきた彼だからこそ、日本の組織が抱える年功序列の課題に切実に向き合えるのだろう。最先端のAI技術を駆使し、民間企業から自治体まで、日本中の「働く仕組み」を根本から変革しようと挑む株式会社Job-Us。彼らがつくり出す、誰もが主体的に輝ける社会の到来が待ち遠しい。

馬渕太一/京都大学経済学部 経済経営学科卒業。三井物産株式会社にて、化学品関連の貿易ビジネスを担当。経営コンサルティングファーム A.T. Kearney株式会社にて、事業戦略・組織戦略立案などのプロジェクトに従事。2020年7月に株式会社Job-Us(旧 株式会社Ex-Work)を創業。