※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

前職で1日200件の電話営業という非効率な働き方を経験し、インターネット集客に活路を見出した嘉数雄一氏。同氏が立ち上げた株式会社KATIXは、バイクや中古車の買取支援サービスを通じて、業界が抱える「情報の非対称性」の解決に挑んでいる。「誰も手掛けていない領域で圧倒的ナンバーワンをとる」と語る嘉数氏は、40代で経験した突然の病を機に、目の前の改善を積み重ねる経営を変革し、明確な目標から逆算する経営へと舵を切った。利益追求ではなく、顧客体験の向上を最優先に掲げる同氏に、起業の経緯や組織づくりにかける思いを聞いた。

非効率な営業経験が教えてくれたインターネットの持つ可能性

ーーまずは、起業までの経緯を教えていただけますか。

嘉数雄一:
金融業界での非効率な営業経験が、私の起業の原点です。当初は個人向け金融商品の訪問営業を担当していたのですが、段々と1日200件の電話から数件の面談の機会を設けるという手法に非効率さを感じるようになりました。さらに、自社商品が本当にお客様の資産形成に役立つのか確信が持てない状況だったのです。当時は労働時間も長く厳しい環境でしたが、この「なぜ非効率な手法を続けるのか」という強い疑問が、後の行動につながりました。

ーーその疑問が、今の事業にどうつながっていったのですか。

嘉数雄一:
インターネットを用いた集客支援への強い情熱が、現在の事業の基盤になっています。ちょうどブログが普及し始めた頃で、ネット上に情報が蓄積されていくことに可能性を感じてIT企業へと転職しました。そこでインターネットを通じた集客手法に触れることになります。顧客から自発的に問い合わせが入る仕組みを目の当たりにし、以前の非効率な営業活動との差に大きな衝撃を受けました。この経験が、インターネット集客の可能性を確信するきっかけとなったのです。

ーー起業に至った理由についてお聞かせください。

嘉数雄一:
予期せぬ環境の変化と、幼少期からの思いが決定打ですね。勤務先の状況が大きく変わり、新しい道を模索しなければなりませんでした。同時に、沖縄で小さな電気工事会社を営む父の背中を見て育つ中で、自分は父よりもっとできるはずだという思いから、東京で自分の会社を持ちたいという野心を抱くようになったのです。起業時には、「誰も手掛けていない領域に挑むこと」。そして「その領域で圧倒的ナンバーワンをとること」という方針を決めました。

突然の病がもたらした「人生の有限性」と逆算思考

ーー現在のバイクや中古車の買取支援事業には、どのような経緯でたどり着いたのですか。

嘉数雄一:
買取市場における「情報の非対称性」という課題の発見がきっかけです。当初から車やバイクを扱うと決めていたわけではありません。誰も手掛けていない領域を探す中で、個人と企業の間に生じる情報の偏りに着目しました。当時の市場は、購入者が価格を比較できる反面、売却者が気軽に査定を受けられる仕組みが不足していました。この課題をインターネットで解決できるという点が、多くのお客様に受け入れられたのです。

ーー事業を拡大していく中で、転機となった出来事を教えてください。

嘉数雄一:
40代で患った目の病気が、経営方針を根本から変える転機となりました。医師から完治が難しいと告げられ、人生の有限性を痛感したのです。いつか自分がいなくなるという事実に向き合い、「70歳までに何を成し遂げるか」と逆算して考えるようになりました。以前は日々の改善を積み重ねる手法をとっていましたが、病を機に、最終的な到達点を明確に定め、そこへ向かうための行動を設計する方針へと転換したのです。

ーー現在大切にしている経営の「ビジョン」はどのようなものですか。

嘉数雄一:
自らが心底信じ、最後までやり切れる到達点を目指すことです。目指す価値があったとしても、本当に到達できる自信が持てなければ意味がありません。高すぎる目標や取り繕った言葉ではなく、自分自身が確信を持てる行動指針が重要です。現在は、誰もが安心して利用できる売却の仕組みを定着させ、市場全体の信頼を構築することを目標に定めています。

利益追求ではなく「顧客体験」で選ばれるサービスへ

ーー貴社のサービスの強みや、お客様から評価されているポイントを教えてください。

嘉数雄一:
「手間なく円滑に売却できる点」が最大の強みです。写真を撮影するだけで、24時間以内に複数の企業から買取提案が届きます。私たちが一貫して支援を行うため、お客様の負担や不安を軽減できます。目の前の利益ではなく、お客様が快適に利用できる体験の向上に注力し、質の高いサービスを提供することにこだわっています。

ーー具体的にはどのようなお客様が利用されているのですか。

嘉数雄一:
愛着ある品を手放し、新たな一歩を踏み出そうとする方々にご利用いただいています。単なる移動手段としてではなく、大切な愛車を手放す背景にはさまざまな理由があります。子どもの結婚資金や家族との時間をつくるためなど、生活を前進させるための思いが存在するのです。そうした「よりよい未来」を求めるお客様に対し、私たちは確実な支援を提供したいと考えています。

「自分の可能性」を広げて業界の仕組みを変える挑戦を楽しむ

ーー社員の皆様に大切にしてほしいことは何でしょうか。

嘉数雄一:
自らの可能性を広げる機会を、会社という場で積極的に創出してほしいと伝えています。私たちの存在意義は「よりよい未来を求める人々の可能性を広げる」ことです。この考え方は、お客様に対してだけでなく、働く社員自身にも当てはまります。日々の業務を通じて、自身の成長につなげてほしいと考えています。

ーー最後に、貴社で働く魅力についてお話しいただけますか。

嘉数雄一:
「業界を変革する挑戦ができる環境」と、「顧客体験の向上に専念できる社風」の2点です。1つ目は、従来の買取業界の慣習にとらわれず、仕組みそのものを改善する挑戦ができること。2つ目は、目先の利益ではなく、お客様に満足していただく体験の提供に価値を見出せることです。顧客体験の向上を全員で追求すれば、利益は後からついてきます。本質的な価値提供に真摯に向き合える点が、大きな魅力となっています。

編集後記

非効率な営業経験への疑問から始まり、「誰も手掛けていない領域」を追い求めて独自の買取支援網を築き上げた嘉数氏。印象的だったのは、突然の病を機に人生の有限性を悟り、目の前の改善から「目標からの逆算」へと経営方針を転換させた点である。利益を追うのではなく、愛着ある品を手放す顧客の「よりよい未来」に寄り添い、顧客体験の向上を第一に行動する姿勢が伝わってきた。業界の仕組みそのものを変えようと挑み続ける同社が、今後どのような新たな基準を確立していくのか。その飛躍が楽しみである。

嘉数雄一/1979年、沖縄県生まれ。株式会社ライブドアマーケティング(現 株式会社メディアイノベーション)入社後、2006年のライブドアショックで築いたものが崩れる現実を目の当たりに。起業への思いと「働くことを楽しめる社会を作りたい」との志を重ね、同年、株式会社インターファーム(現 株式会社KATIX)を設立し、代表取締役に就任。バイク・車の画像売却を軸に、ITで情報の非対称性を解消する「KATIX」サービスを展開し、誠実な取引で社会の不条理解消に挑む。