※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

ワーキングホリデーや留学を経験した若者たちと、グローバル人材を求める企業をつなぐ「ワーホリキャリア.com」。運営する株式会社Jスタイルズの代表取締役、平渡淳一氏は、かつて飲食事業で起業した。倒産というどん底を味わいながらも、カナダでの原体験と人々の温かさに救われ、再び立ち上がった独自の経歴を持つ。「海外経験者こそが日本を元気にできる」。そう力強く語る平渡氏に、自社の3つの強みや事業にかける思い、そして見据える将来展望について聞いた。

人生の転機となったカナダ留学「日本と日本人の素晴らしさを世界に広めたい」

ーーまずは、起業の原点について教えていただけますか。

平渡淳一:
原点は、21歳のカナダ留学での経験です。当初は英語を学ぶ目的でトロントへ渡りました。しかしそこで、世界中から集まる同年代の若者たちが放つ「将来国を引っ張るリーダーになる」といった強い熱量に衝撃を受けたのです。明確な目的を持っていなかった私は、彼らとの差に強い危機感を覚えました。

同時に、現地で「本来の和食とは異なる日本食レストラン」が繁盛している状況を目の当たりにしました。ここで「本物の日本の良さや日本人の魅力を、自分の手で世界に示したい」という、日本人としてのアイデンティティが強く芽生えていきました。この強い思いが私の人生のテーマとなり、「日本と日本人の魅力を世界に伝える事業を自ら創り出す」という決意をもって起業を決意しました。

ーーその思いを胸に、どのような事業で起業されたのでしょうか。

平渡淳一:
30歳のときに居酒屋で独立・起業しました。「リアルな日本の良さを世界に伝えたい」という一心で、10年間で国内外に36店舗を展開し、念願だったカナダ・トロントへの出店も果たしました。しかしその後、さまざまな要因から多額の負債を抱えることになり、会社は倒産、自らも負債総額11億円で自己破産をするという大きな挫折を経験したのです。

すべてを失ってふさぎ込んでいましたが、そんな私を救ってくれたのが、カナダの友人や現地の人々でした。「北米ではチャレンジした結果の失敗は、成功へのパスポートだ」と私の挑戦を肯定し、励ましてくれたのです。特に印象深かったのは、カナダのナイアガラの滝で一番大きな日本食レストランを経営している80歳の日本人オーナーとの出会いです。この方は、私のカナダや日本での過去の活躍を独自に調べた上で、私に会うためにわざわざ日本へ足を運んでくれました。

初めて会ったにもかかわらず熱海温泉へと誘われ、「失敗はしたものの、あなたのこれまでのチャレンジは素晴らしい。そんなすごい経験をした男に自分の店を任せたい」と跡取りとして口説いてくれたのです。大失敗したにもかかわらず私の挑戦をそこまで高く評価してくれたことに、男泣きするほど感動しました。同時にチャレンジする人に対する日本と海外の評価の違いに驚いたのです。この温かい言葉のおかげで私は再び世界に向けて立ち上がることができ、ワーホリ経験者を集めたインバウンドカフェ事業を経て、現在の海外経験者に特化した人材事業へとたどり着きました。

専門特化による「3つの強み」と安定した集客基盤

ーー現在の事業内容と、その強みを教えてください。

平渡淳一:
弊社は「ワーホリキャリア.com」という名称で、ワーキングホリデーや留学などの海外経験者に特化した採用支援および人材紹介事業を展開しています。強みとしては、大きく分けて3つの特徴が挙げられます。

まず1つ目は、保有する求人がすべて「海外経験者歓迎」であることです。日本の就職市場では、海外経験を適切に評価できる企業ばかりではありません。その結果、求職者の方が持つ海外で得た貴重な経験と企業の採用ニーズが上手に交わらないという課題が存在します。弊社は明確に海外経験者を求める求人のみを厳選しているため、求職者の海外経験を確実にキャリアへつなげることが可能です。

2つ目は、現在約24名いるスタッフ全員が海外経験者である点です。一般的な転職エージェントでは「ワーホリは遊んできただけ」と見なされ、職歴の多さを指摘されるケースも少なくありません。しかし弊社のメンバーは、自身も帰国後の履歴書づくりに苦労し、海外経験をキャリアに生かそうと奮闘してきた者ばかりです。同じ道を歩んできた経験があるからこそ、求職者の強みを引き出し、深く寄り添ったサポートが実現できます。

そして3つ目は、海外経験者の転職成功事例を豊富にもっていること。海外経験を持つ若手人材の転職をはじめ、キャリアアップや年収アップに関するリアルな成功事例やノウハウを相談者個々の状況に合わせて提供できることは、弊社の確固たる強みです。

また、これらに加え、独自のグローバルネットワークとメディア基盤を持っています。世界30カ国近くの留学エージェントや人材紹介会社などとのつながりがあり、現地のパートナーを通じてグローバルな求人と人材をお届けできます。さらに、InstagramYouTubeなどの自社SNSメディアは月間240万PVを集めており、約3万8000人の登録者に向けて、海外経験を生かせる求人情報を日々発信しています。企業と求職者を直接つなぐ巨大なプラットフォームを持っている点も、他社にはない独自性に繋がっています。

「三方良し」の理念で日本を元気に グローバルキャリアで一番初めに頼りにされる存在へ

ーー事業を通じて実現したいミッションは何ですか。

平渡淳一:
「海外経験者を通じて日本を再び元気にする」ことです。海外で素晴らしい経験を積み自己肯定感を高めても、帰国後の就職活動でミスマッチが起き評価をされずに自信を失う若者が少なくありません。一方で、彼らが海外で培ったグローバルなコミュニケーション力や行動力、ストレス耐性は、グローバル展開を進める多くの企業が求めている能力です。この両者を正しく結びつけることで、日本はもっと元気になれると確信しています。私たちが何より大切にしているのが「三方良し」の考え方です。企業からは「良い人材が採れた」と感謝され、求職者からは「海外経験を活かせる素敵な仕事に就けた」と喜ばれる。そしてサポートする弊社のカウンセラーやスタッフ達もその感謝の言葉に感動し、収入を増やすことができる。これほどやりがいのある仕事は他にはないと考えています。

ーー最後に、今後の展望と、求める人物像についてお聞かせください。

平渡淳一:
ワーホリや海外経験者のキャリアサポート領域で、第一に想起され、頼りにされるNo1の存在になることです。規模として売上高10億円を目指します。企業と求職者の双方に、「海外経験者のキャリアのことなら、まずはあそこに相談しよう」と一番初めに頼りにして頂ける存在になりたいのです。私たちは、「日本と日本人の魅力を世界に広めていく企業を応援したい」「帰国後のキャリアに悩んでいる若い海外経験者たちの力になりたい」という強い使命感を持っています。この思いに共感し、一緒に海外経験者たちから日本の元気を取り戻す世界をつくり上げてくれる仲間を求めています。

編集後記

インバウンド需要の高まりや海外進出の加速に伴い、企業が求める「グローバル人材」の価値は日増しに高まっている。平渡氏の熱のこもった言葉には、会社の倒産というどん底から這い上がる中で得た、海外の友人たちからの肯定的なエールという原体験に裏打ちされた、確かな熱量と優しさが宿っていた。海外の厳しい環境で培われたタフネスや多様性への理解は、今の日本社会が最も必要としている力だろう。企業、求職者、そして自社のカウンセラーによる「三方良し」を本気で追求する株式会社Jスタイルズの挑戦が、今後の日本を力強く牽引していくはずだ。

平渡淳一/1971年8月埼玉県生まれ。明治大学法学部卒業後、4社の転職経験を経て28歳で雇われ社長に就任。30歳で世界進出とIPOを目指してゼロから起業し、売上高23億円の外食チェーン企業を育てるも、設立から10年で倒産・自己破産を経験。その後、3年間にわたる債務整理を終えて再起業し、株式会社Jスタイルズを設立、代表取締役に就任。現在は海外経験者に特化した採用支援事業「ワーホリキャリア.com」を展開し、再び事業を拡大中。