
オフィス空間の構築から建築やリノベーション、バックオフィス業務のアウトソーシングまで。多角的なアプローチで企業の空間づくりを支援する株式会社GOOD PLACE(グッドプレイス)。代表取締役社長の宮信司氏は建設コンサルタントから同社へ転身後、大阪支店の規模拡大や新規事業の立ち上げなど数々のミッションを牽引してきた。組織再建を経て現在同社が目指すのは、「ワクワクしながら挑戦できる」自律的な組織と顧客のビジネスパートナーとしての姿だ。3つの事業を連動させ、企業の成長を後押しする宮氏の経営戦略に迫る。
「技術営業」としての現場経験とゼロからの組織拡大
ーーまずは、貴社に入社された背景をお聞かせください。
宮信司:
前職は建設コンサルタントとしてダムや橋などの設計に携わっていました。技術者としてのやりがいはありましたが、次第に「自分で道を切り拓くような営業がしたい」と考えるようになりました。単にモノを売るのではなく、自身の能力を活かした「技術営業」に挑戦したい。そしてとことん仕事に打ち込める環境で自己成長したいと考え、現在の会社に転職したのです。
ーー入社後はどのような業務を担当されたのでしょうか。
宮信司:
現場の施工管理と営業の両方を一人で担当しました。日中はお客様を訪問して、そのまま現場へ向かって業務を行い、その後は見積もりや資料を作成する毎日です。技術営業として自立するためには、現場を深く知ることが不可欠でした。決して楽な環境ではありませんでしたが、会社は「自分が成長するために挑戦したい」という私の意欲を後押ししてくれました。そのおかげで私は、日々の業務を通じて確かなやりがいと濃密な経験を得ることができたのです。
ゼロから組織をつくり上げ働きがいのある環境で再建へと導く
ーーその後はどのようなキャリアを歩まれましたか。
宮信司:
大阪支店の支店長に就任しました。当時の大阪支店は少人数で、主にグループ会社からの案件を中心に手がけていました。事業を伸ばすには、自分たちの手でグループ外のお客様との関係を築いていく段階に入っていたのです。営業先の開拓から案件受注後の設計や施工技術の確立まで、お客様も自社の体制もゼロからのスタートでした。動きながら試行錯誤を繰り返す日々でしたが、約4年で売上高を当時の約3倍に引き上げることができました。このときに培った「組織や仕組みをつくり上げる」経験は、今の私の大きな土台となっています。
ーー社長に就任された後に取り組んだことは何ですか。
宮信司:
新築を主とした建築事業や、コスモスイニシアとの大規模修繕事業の立ち上げを主導した後、弊社の代表に就きました。当時は、会社が次の成長へ向かうために変わるべきタイミングでした。数字の改善はもちろんですが、それ以上に重視したのが「社員とのコミュニケーション」です。どんな社員がいて何を考えているのかをヒアリングし、私の思いを直接伝えるために、事業側やコーポレート側のメンバーも含めて少人数の座談会を繰り返し開催しました。売上高という数字だけでなく、社員一人ひとりがやりがいを持ち、働きがいを感じられる環境をつくる。それが組織の再建には不可欠だと考えていました。
3つの事業が織りなす相乗効果と本質的な課題解決

ーー現在展開されている事業内容について教えてください。
宮信司:
主に3つの事業を展開しています。まず、全体の売上高の約6割を占めるのが、オフィスの移転や増床、レイアウト変更に伴うプロジェクトマネジメントから設計、施工までを一貫して担う「オフィス構築事業」です。次いで売上高の約2〜3割を占めるのが、築年数が経過したオフィスビルや企業寮などを、現代に合わせて改修したり用途を変更したりして再生する「リノベーション事業」。そして残りの約1割が、企業のバックオフィス業務を受託し、日々の業務をサポートする「バックオフィス業務のアウトソーシング事業」です。
ーーこれらの事業はどのように相乗効果を生み出しているのでしょうか。
宮信司:
バックオフィス業務のアウトソーシング事業では、お客様の組織に入らせていただき、受託した業務の遂行のみならず日々の業務改善もご提案することで深い信頼関係を築いています。その中で組織変更やオフィス移転といったご相談があった場合は、当社内のオフィス構築事業の担当者に繋ぐことで、一体となってお客様のサポートが可能になります。
また将来的には、私たちが改修を手がけたオフィスビルに企業が入居し、そのオフィス構築をお手伝いさせていただく、ということも目指して行きたいと考えています。3つの事業が連動することで、より良い空間づくりを包括的に提供できるのが私たちの強みです。
ーー空間づくりの提案において特に意識されていることは何ですか。
宮信司:
ただデザインを提案するだけでなく、「どうやったら企業や経営が目指す未来を実現できるか」を起点にすることです。そして「抱えている課題をどう解決するか」も同様に重視しています。コンペの場でも提示された表面的な要望だけを汲み取ることはしません。お客様と深く対話を重ね、目指す会社像や潜在的なニーズを徹底的にヒアリングします。こうした姿勢を貫くことで高い評価をいただき、コンペでも高確率での受注につながっています。
自律型組織と世代を超えた意欲の連鎖
ーー今後の成長に向けた経営幹部の育成についてはどのようにお考えですか。
宮信司:
次世代の経営幹部育成は重要なテーマです。私は管理だけを行うのではなく、現場の業務を熟知した実践能力を持つことが重要だと考えています。現場でチームを動かし、課題の本質を自ら掴み取る。そうした現場実践能力を持つリーダーたちを集め、一緒に中期経営計画をつくり上げます。そうすることで自然と経営目線が養われ、能力向上へとつながっていきます。
ーー幅広い世代がやりがいを持てる組織づくりについてもお聞かせください。
宮信司:
新卒などの若手にとっても、中堅やベテランにとってもやりがいがあり経験を積める組織を目指しています。今期からは定年後も意欲があれば同じ使命感を持って働ける「アクティブシニア」の仕組みも整備しました。経験豊富な中堅やベテラン社員がいきいきと働く姿を見れば、若手社員の仕事への意欲も自然と高まります。世代を超えて互いに良い影響を与え合うような組織の形が理想です。
ーー最後に、貴社が目指す中長期的なビジョンをお聞かせください。
宮信司:
中期経営計画でも掲げていますが、私たちが目指しているのはお客様のビジネスをともに創りあげる「ビジネスパートナー」になることです。依頼されたものをただつくるのではなく、自分たちから主体的にビジネスを創出します。そしてお客様の事業成功のために最適な空間を共創していく。一人ひとりがパートナーとしての視点を持つことが生産性を高めます。それが結果として全員がやりがいを持って働ける未来につながると確信しています。
編集後記
「とことん仕事に打ち込める環境」を求めて自ら道を切り拓いてきた宮社長。大阪支店を拡大し、数々の新規事業を立ち上げてきた実績の裏には、現場を大切にし、動きながら考える行動力があった。現在は自律的な組織づくりに注力し、世代を超えたやりがいの連鎖を生み出そうとしている。空間づくりを通じて顧客の本質的な課題を解決し、主体的にビジネスを創出する同社が、頼れるビジネスパートナーとしてどのように進化していくのか、その飛躍が楽しみだ。

宮信司/土木の設計コンサルタントを経て、2001年に株式会社コスモスモア(現:株式会社GOOD PLACE)へ入社。営業・現場での技術営業、大阪支店長、本社住宅事業部長等を歴任。2013年4月に新築を主とした建築事業と、株式会社コスモスイニシアとともに大規模修繕事業を同時に立ち上げ主導。2020年4月、3度目の大阪支店長に就任しリノベーション事業を推進。2021年、取締役就任を経て、2025年6月より現職。