
「私たちの仕事は単なる清掃業ではなく、『イキイキ』を提供している」。そう語るのは株式会社ダイキチの代表取締役、小田吉彦氏である。同社はビルメンテナンス業界の弱点を逆手にとった独自のニッチ戦略を展開。さらに「営業の工程化」により属人化を排除した強固な組織を構築している。特に注目すべきは、50代を中心としたフランチャイズ(FC)オーナーたちの躍進だ。10年間の事業継続率が85%超という驚異的な数字の裏には、シニア層の雇用や年金不安といった社会課題の解決に向けた強い思いと、個人の能力に依存せずに安定収益を得られる確固たる仕組みがあった。
ヘッドハンティングを受けて社長に 経営塾からたどり着いた「イキイキを売る」理念
ーーまずは、これまでの歩みをお聞かせください。
小田吉彦:
私はもともと家業の建築業や不動産会社で営業に就いていました。当時は単なる売り込みではなく「この土地ならこういう商売が良い」といった提案型の営業を心がけていました。そして、その実績が評価されて1992年に弊社にヘッドハンティングされたのです。当時の弊社には「社内ベンチャーで事業部を法人化すれば社長になれる」制度があり、そこに惹かれて入社を決めた経緯があります。
ーー貴社の代表に就任されてからは、経営に対してどのような思いをお持ちですか。
小田吉彦:
単なる利益追求ではなく、「経営の目的は何か」を深く考えるようになりました。そこで、稲盛和夫さんの盛和塾に入り、事業の目的や意義を徹底的に自問自答したのです。当時の社員たちと合宿を行い、私たちが社会に提供しているものは何かを議論した結果、たどり着いたのが「イキイキを提供している」という答えでした。お客様はもちろん、FCオーナーや社員など、関わるすべての人を「イキイキ」とさせること。これが弊社の経営理念の根幹となっています。
ビルメンテナンス業界の弱点を突くニッチ戦略と「営業の工程化」

ーー貴社の事業の強みは、どこにあるとお考えですか。
小田吉彦:
最大の強みは、弊社の売上高の大部分を占める基幹事業、清掃FC「カバーオール事業」におけるニッチ戦略です。この事業は、顧客を開拓する営業活動をすべて本部が担当し、FCオーナーは清掃業務にのみ専念するという、完全な分業体制をとっているのが特徴です。ターゲットとしているのは、業界の「弱点」とも言える中小規模のビルやマンションで、これらの清掃は1回あたり2〜3時間程度で終わる上、アクセスが悪い立地の物件も少なくありません。
一般的な清掃会社が求人を出しても、短時間労働や不便な場所では人が集まりにくいという課題がありました。業界は「待ちの営業」が多い中、私たちはそうした他社が敬遠する物件に対して、積極的に自社から提案を行います。徹底してこちらから働きかけることが私たちの強みであり、事業を伸ばし続けられる理由でもあります。
ーー積極的な営業活動を実践するために、どのような工夫をされているのでしょうか。
小田吉彦:
担当者のスキルに依存しないよう、「営業の工程化」を導入しています。営業プロセスを細分化し、各工程で仮説を立てて仕組み化しました。一部のトップセールスに頼る属人的な営業を排除し、手順通りに行えば誰でも一定の成果が出せる体制を構築したのです。この強固な営業組織があるからこそ、次々と顧客を開拓できます。結果として、FCに加盟していただいたオーナーのみなさまに、即座に安定した仕事を提供し続けることが可能になっています。
ーー営業はFCオーナー自身が行うのですか。
小田吉彦:
営業活動はすべて本部が行います。そのため、FCオーナーのみなさまには清掃業務そのものに専念していただけます。弊社のFCオーナーは前職が中小企業の会社員で営業経験が全くないといった、ごく一般的な方々が中心です。そうした未経験の方々でも、10年間の事業継続率は85%超に達しています。
また、平均月商は約86万円と高い水準を誇り、そこから各種費用を差し引いても70%以上が実収入として手元に残る高収益な仕組みとなっています。週5日や週6日などご自身のライフスタイルに合わせた稼働で安定した利益を継続的に得られるため、みなさま心身ともに余裕を持ち、イキイキと仕事に取り組まれています。
50代が輝くFCモデルと社会課題の解決
ーー具体的に、どのような方が多く活躍されていますか。
小田吉彦:
特に50代を中心としたシニア層の方々です。現在、日本は少子高齢化が進み、年金など社会保障制度への不安が高まっています。50代後半での転職は選択肢が少なく、将来の資金面に不安を抱える方も少なくありません。
だからこそ、安定的な事業を通じて新たな働き方を実現し、経営者として自立できる点に大きな魅力を感じていただいています。実際、しっかりと利益を確保して長く続けられる事業モデルだからこそ、既存のオーナーからの紹介で加盟される方が全体の約30%を占めています。さらに、親から子へ事業を承継するケースも増えているのです。事業経営者を育成・支援し続け、社会課題を解決することが私たちの使命だと考えています。
ーー最後に、読者へメッセージをお願いします。
小田吉彦:
私たちの根底にあるのは、関わる人を徹底して大切にするという思いです。かつて環境変化によって事業転換を迫られた際にも、長年真面目に頑張ってくれたオーナーたちを見捨てることは決してせず、彼らをカバーオール事業へとスムーズに移行させ、安定して働き続けられる道をつくりました。
これからも「イキイキを提供する」という理念のもと、新たな価値を創出していきます。弊社のFC加盟には、特別なスキルや営業経験は一切必要ありません。将来の働き方や老後資金に不安を感じている方、真面目にコツコツと取り組める方は、ぜひ弊社のFC加盟をご検討ください。私たちとともに「イキイキ」とした第二の人生と、経営者としての安定した道を歩んでいただきたいと願っています。
編集後記
小田吉彦氏の言葉の端々からは、働く人々への深い愛情と、ロジカルに構築されたビジネス戦略が見事に融合していることが伝わってくる。労働力不足や老後資金の不安が叫ばれる現代において、50代を中心とした未経験者が高収益かつ安定した収入を得られる本事業の意義は極めて大きい。10年間の事業継続率が85%超という驚異的な実績は、営業を科学する論理的な思考と、FCオーナーを決して見捨てない本部の温かなサポート体制の賜物だろう。株式会社ダイキチが創出する「イキイキ」の輪は、社会の希望として今後も大きく広がっていくに違いない。

小田吉彦/1964年、大阪府出身。家業での営業経験から不動産営業を経て1992年に株式会社ダイキチに入社。アートフラワーレンタル事業部長に任命される。その後、株式会社ベレーロの取締役営業部長に就任。ビルメンテナンス事業営業部長などを経て、2002年にはビルメンテナンス事業部を法人化。ダイキチカバーオール株式会社設立と同時に、代表取締役社長に就任。2021年6月に親会社との合併にともない、株式会社ダイキチの代表取締役社長に就任。