※本ページ内の情報は2026年9月時点のものです。

インターネット黎明期からWeb制作事業を展開し、大手広告代理店との連携によるプロモーションから、直接取引の運用支援まで幅広い実績を持つ株式会社フォーク。近年は、従来の枠組みを超え、データ分析やDX推進、さらにはAI導入支援へと事業領域を大きく拡大している。現在、同社の代表取締役社長を務めるのは、大学在学中にベンチャー参画からキャリアをスタートさせた佐藤剛氏だ。独自の顧客伴走、及び実装まで責任を持つチーム体制の強みや、フルリモート環境下での組織づくり、そしてAI時代を見据えた次期経営陣の育成について、佐藤氏に話をうかがった。

ベンチャーでの原点と現場で学んだクリエイティブの流儀

ーーまずは、貴社への参画に至るまでの経緯をお聞かせください。

佐藤剛:
私のキャリアの始まりは大学在学中のときでした。ベンチャーとして立ち上がったばかりの有限会社フォークにアルバイトとして参画したのがきっかけです。当時はまだ数人ほどの小さな組織で、業務も分担されていませんでした。そのため、顧客対応から制作、事務局業務まで、とにかく手探りで何でもやってきました。

ーー創業期に培った価値観や、経営のベースとなった経験はどのようなものでしたか。

佐藤剛:
創業時から大手広告代理店様との深い関係があり、私自身も常駐して業務を行っていました。社会人経験のない中で、大規模なプロモーション案件に携わり、最前線でプロの企画や提案を学べたことは最大の財産ですね。現場には目指すべきロールモデルとなる先輩方が数多くいて、多様なプロフェッショナルから学んだ刺激的な環境が、今の価値観や仕事のベースになっています。

この現場で実感した「仕事に向き合う姿勢」こそが、経営の根幹にもなっています。私たちがお客様から信頼をいただけているのは、制作物のクオリティ以上に、課題に真摯に向き合う「人」の姿勢を評価していただいたからだと思っています。この姿勢こそがフォークの強みであり、これからも積み重ねていくべき本質的な価値だと捉えています。

職種の壁を越えた伴走・実装型のチームが本質的な課題を解決

ーー改めて、現在の事業内容をお聞かせください。

佐藤剛:
弊社は、広告代理店経由の制作案件が約6割、直接取引による企業サイトの運用支援が約4割という比率でWeb制作事業を展開しています。また近年では、単なる制作業務にとどまらず、蓄積されたデータの可視化や分析を行うデータ基盤の構築、DX推進、さらにはAI導入支援へと事業領域を大きく拡大しています。

ーー他社にはない貴社ならではの強みはどこにあるとお考えですか。

佐藤剛:
ディレクターやデザイナー、CSまで、全職種が最近の定義でいう「FDE(Forward Deployed Engineer)」のマインドを持って挑む「顧客伴走・実装型」のチーム体制です。一般的な制作会社では営業やディレクターのみが窓口となることが多いですが、弊社では全職種でチームを結成し、直接お客様と向き合います。ただご要望通りにつくるのではなく、初期の設計段階から全職種で対話し、お客様の課題解決に深く関わっていく。さらに必要に応じて、サイト公開後もクライアントの現場に常駐して運用支援を行うなど、まさに「入り口から出口まで全職種で伴走・実装する体制」こそが、他社にはない私たちの最大の強みです。

フルリモート環境で求められる自発性と業界の活性化

ーー全職種が関わる伴走・実装型の体制において、どのような人材を求めていますか。

佐藤剛:
自ら課題を発見し、自発的に動ける人ですね。弊社は新卒・中途を問わずフルリモート環境が基本となるため、指示を待つのではなく、自ら積極的にチャットなどで質問やコミュニケーションが取れる姿勢が不可欠です。一方で、定期的な1on1や、年に1回社員が集まるイベントを実施するなど、リモート下でもつながりを深める工夫を行っています。

ーー業界全体に向けた取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。

佐藤剛:
広告業界における「制作会社」の認知度を高め、業界全体をもう一度盛り上げたいという想いがあります。そのため、現在は一般社団法人I.C.E.の副理事長という立場で、業界人口を広げる活動に携わっています。同業での交流会や各種イベント、学生向けセミナーなどを通じて業界理解を深めていく取り組みを進めており、そうした機会を通じて若い世代の参入を促し、業界の活性化に寄与できればと考えています。

AIエージェント時代を見据えた事業展開と「次期経営チーム」の育成

ーー最後に、今後の展望についてお聞かせください。

佐藤剛:
将来に向けた動きとして、現在大きく2つの取り組みを始めています。

まず事業の面では、近い将来、各企業のAIエージェント同士が自律的にやり取りをする時代が訪れると考えており、課題に対してどの制作会社が対応できるかをAIが自動で判断し、発注まで進む世界を想定しております。私たちはその世界を実現するための取り組みや、AIを活用したDX支援の領域へさらに注力していく構えです。

そして人材面では、弊社が「100年続く企業」を実現するため、特定の誰かに依存しない再現性の高い人材育成プログラムに挑戦しています。具体的には、次のフォークを担う経営層の育成です。単に一人の後継者を抜擢するのではなく、チームとして組織を牽引できる強固な層をつくるのが狙いです。そのために社内で実践的なプログラムを動かし、AIなどの最新技術も採り入れながら、マネジメントスキルやマインドセットの習得、チームワークの強化を進めています。互いに高め合えるリーダーたちを育て、持続的な成長に向けた組織基盤を固めていきたいと考えています。

編集後記

目先の成果にとらわれず、常に次の時代を見据えて組織を進化させる柔軟な姿勢に強く惹きつけられた。クリエイティブの最前線で培われた視点は、全職種が一つになって顧客に向き合うチーム体制として結集し、強い存在感を放っている。さらに、自らを含む経営陣の刷新を宣言し、AIを活用した独自の教育手法で未来のリーダーを育てる決断からは、次代へ事業を繋ぐ力強い意志が感じられた。新しい技術を吸収しながら前進を続ける株式会社フォークが、これからどのような未来を切り拓いていくのか、期待は高まるばかりだ。

佐藤剛/青山学院大学卒業。1999年、株式会社フォーク設立の同年より参画し、広告領域を中心としたWebプロモーション事業を牽引。営業やディレクターの部門長を経て2007年に取締役、2015年に代表取締役社長に就任。2025年からは一般社団法人Interactive Communication Experts(I.C.E.)の副理事長として、クリエイターのキャリア支援や業界のさらなる発展に尽力している。