※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

創業者である鈴木その子氏が抱いた「食と美と健康」への揺るぎない思いを原点とし、食品と化粧品を通じた「内外美容」という独自のコンセプトを展開する株式会社SONOKO。長きにわたり多くのファンに愛され続けている。代表取締役社長の宇田川裕昭氏は、イオンやトリドールホールディングスでの経営企画を経て同社のトップに就任した。親会社からの独立(MBO)という大きな決断を下し、創業者の理念と会員からの信頼を守り抜いた宇田川社長。同社が提供する唯一無二の価値と、100年先を見据えたブランド戦略、そして社員と共に築き上げる温かな企業文化について、詳しくお話をうかがった。

大手企業での経験からMBOへ理念を守り抜く覚悟

ーーまずは、これまでのご経歴を教えてください。

宇田川裕昭:
大学卒業後、イオンに入社しました。店舗運営から始まり、本社でのバイヤー業務や冠婚葬祭関連の新規事業の立ち上げなど、幅広い業務を経験しています。その後、30代半ばで取締役に就任しましたが、よりスピーディな意思決定や経営のダイナミズムを求めて、トリドールホールディングスへ転職しました。経営企画担当として複数の子会社の経営サポートに携わり、その中の一つが株式会社SONOKOでした。

ーートリドールホールディングスでのご経験は、どのようなものでしたか。

宇田川裕昭:
前職と比べて意思決定のスピードが圧倒的に早く、経営陣との距離も非常に近い環境でした。課題があればすぐにトップと直接話をして解決に向けて動くというスピード感は、私にとって大きな学びとなりました。さまざまな子会社の経営課題に向き合う中で、2019年にSONOKOの代表取締役社長に就任することになりました。

ーーその後、2021年にMBO(経営陣買収)を決断された背景には、どのような思いがあったのでしょうか。

宇田川裕昭:
当時、親会社が事業ポートフォリオの見直しを行う中で、SONOKOを売却する案が浮上しました。しかし、単に高い金額を提示する企業に売却されてしまえば、創業者が大切にしてきた理念が失われ、長年愛してくださっている会員様が離れてしまうという強い危機感を抱きました。歴史あるブランドと会員様の信頼を守り抜くためには、自らがオーナーとなって経営の舵取りをするしかないと考えたのです。失敗すれば職を失う重圧の中、家族や社員にも明かさず複数の金融機関を奔走し、MBOを実現させました。完了を報告した際、社員や会員の皆様が涙を流して喜んでくれたことは、今でも私の大きな原動力になっています。

「内外美容」の追求と 世代を超えて受け継がれる信頼

ーー貴社の事業の特徴である「内外美容」のコンセプトについて教えてください。

宇田川裕昭:
食品と化粧品の両面から、体や肌に極力負担をかけず、人間が本来持つ健康で美しくなる力を引き出すという考え方です。たとえば食品は、ノンオイル調理を基本に、食品添加物を極力排除し、身体への負担や腸内環境に配慮した商品づくりを徹底しています。主菜から調味料、間食に至るまで、これほど一貫したコンセプトのもと、数百種類もの商品を揃えている企業はほかにないのではないでしょうか。私自身も就任時に8週間自社の食品だけを食べ続けました。その結果、心身ともに若返ったような変化を感じ、SONOKOが長年大切にしてきた考え方と商品の力を、自らの体で実感しました。

ーー会員の方々からは、どのような反響が寄せられているのでしょうか。

宇田川裕昭:
弊社には、30年以上も長くご愛顧いただいているお客様が数多くいらっしゃいます。若い頃に摂食障害などで食への不安を抱えていた方が、弊社の食品と出会ったことで美味しく食べられるようになり、健康的な生活を取り戻したというお声を多くいただくようになりました。そうしたご自身の体験から、お子様やお孫様へと家庭の味として受け継がれ、世代を超えてご愛用いただいているのが弊社の大きな特徴です。

ーー外部との新たな取り組みや、社内の雰囲気についてはいかがでしょうか。

宇田川裕昭:
最近では、弊社の理念に共感してくださる外部機関とのコラボレーションにも力を入れています。先日も、フィリピン大使館のご協力のもと、現地のソウルフードを弊社の基準である無添加・ノンオイルでアレンジして提供するイベントを開催し、大変ご好評をいただきました。社内に目を向けると、部署間の垣根がなく非常にアットホームな雰囲気です。誠実な社員が多く、経営会議の議事録を全社に公開するなど、風通しの良さも強みの一つといえると思います。

目先の利益を追わず 100年続くブランドを目指して

ーー最後に、今後の展望について教えてください。

宇田川裕昭:
弊社の根底には、創業者が遺した「食と美と健康」に対する強い想いが今も脈々と引き継がれています。今後は既存の会員様を大切にしながら、この大切な創業者の想いをより多くの方に伝え、今の時代に合わせてわかりやすくお届けするための新しい取り組みや発信を一層強化していく考えです。それによって、健康や美意識に関心の高い若い世代の方々にも、弊社の価値を広く知っていただきたいです。私たちの目標は、短期的な売上や利益を追求することではなく、この先50年、100年と続く健全な会社を創り上げることです。長きにわたりブランドを愛してくださるお客様の期待を裏切ることなく、社員と共に一歩ずつ着実に成長し続ける企業でありたいと考えています。

編集後記

親会社からの独立という困難な道のりを切り拓いた宇田川社長。その決断の根底にあったのは、創業者の理念と、長年ブランドを愛し続けてきた会員への深い愛情だった。自社の食品を自ら食べ続け、その価値を体現する姿からは、事業に対する並々ならぬ信念が伝わってくる。「目先の利益よりも100年続く会社を」という言葉には、誠実な社員たちと共に次世代へバトンをつないでいく揺るぎない覚悟が宿っている。世代を超えて受け継がれる同社のブランドは、これからも多くの人々の心と体を豊かにしていくことだろう。

宇田川裕昭/1980年東京都生まれ。立教大学卒業後、2002年イオン株式会社入社。店舗、本社、新規事業の立ち上げを経験し、企業派遣で早稲田大学大学院にてMBAを取得。2016年、イオングループ最年少で取締役に就任。その後、トリドールホールディングスでグループ会社の経営改善に携わり、2019年SONOKO代表取締役社長に就任。2021年にはMBOを実施し、経営者として新たな一歩を踏み出す。創業者・鈴木その子が築いた「食と美と健康」の理念を守りながら、時代に合わせて事業を変革し、次の50年へつなぐことに挑戦している。