※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

外資系金融機関のシティグループでの勤務を経て、AI技術の飛躍的な進化に可能性を見出し、株式会社松尾研究所の創業期に初期メンバーとして参画した金剛洙氏。同社は東京大学の松尾研究室と伴走しながら、最先端のAI研究開発と社会実装を担う特異な立ち位置を築いている。多岐にわたる新規事業の立ち上げを牽引し、現在は取締役副社長として組織を率いる同氏に、同社の強みや「AIエコシステム」の構想、今後の展望について詳しく話を聞いた。

金融業界からAI領域へ 時代の一歩先を行く挑戦

ーーまずは、これまでのご経歴を教えてください。

金剛洙:
大学卒業後はシティグループに入社し、そこで働く中で、AIの分野で世界を驚かせるような画期的な論文が発表されるのを目の当たりにしました。それ以前からも、AIが人間に特定の分野で勝利するといったニュースに触れ、あらゆる領域で大きな変革が起きると感じていました。これからはAIの時代が来ると確信し、キャリアの方向性を変えようと考えたのです。創業前に東京大学の松尾研究室が主催する勉強会に関わっていたご縁もあり、創業期に初期メンバーとして参画しました。

ーー創業期から現在に至るまで、どのような業務を担ってこられたのでしょうか。

金剛洙:
当時は組織の役割が明確に分かれていなかったので、案件の獲得からプロジェクトの運用、データサイエンティストの育成制度の構築など、あらゆる業務を担いました。その後、役員に就任してからは、ベンチャーキャピタルファンドの新設など、数多くの新規事業の立ち上げに携わりました。たとえば、生成AIが世間で大きく話題になる前から、その波が来ることを予測してファンドを設立しています。常に時代の一歩先を読み、どのような世界が訪れるのかを見据えて新たな挑戦を繰り返してきました。

ーー経営者として、日々大切にされている信念は何でしょうか。

金剛洙:
最も大切にしているのは、「誠実であること」です。私たちは大手企業向けのサービスを提供しており、業界内でも一定の知名度があるからこそ、日々のプロジェクトで質の高い価値を提供し続ける責任があります。会社経営は自分自身の人生を経営することと非常に近いのではないでしょうか。限られた時間の中でどのような選択をするのかという観点を持つことで、社内外のあらゆる活動において誠実に向き合うことができると考えています。

大学と伴走し「AIエコシステム」をつくり出す強み

ーー貴社ならではの良さや、他社にはない強みについて教えてください。

金剛洙:
最大の強みは、大学と伴走する組織として立ち上げられている点です。大学の研究室と私たちが連携し、日本全体に「AIエコシステム」をつくり出すことを目指しています。具体的には、大学で学んだ優秀な人材が弊社で経験を積み、ゆくゆくは起業して社会に新たな価値をもたらすという循環です。アカデミアに非常に近い環境であるため、技術力の高い人材が集まりやすく、人間の能力の極限に挑むような最先端の研究開発に取り組むことができます。

ーー現在展開されている、AIソリューション事業と教育事業の概要を教えてください。

金剛洙:
AIソリューション事業では、非常に難易度の高い最先端の共同開発から、経営者が抱える抽象的な課題の伴走支援まで、幅広い案件を手がけています。たとえば、長年にわたり行っている自動運転技術の完全自動化に向けた研究開発や、大手企業における生産性向上のためのデータ計測などです。一方の教育事業では、大学で10年以上にわたって学生の教育を担ってきたノウハウを活かし、法人向けにAI人材の育成プログラムや研修を提供しています。

AI時代を牽引する組織へ 新たな価値を生み出す人材

ーー今後5年、10年先のビジョンについてどのようにお考えですか。

金剛洙:
日本一のAI研究所になることです。すでに他社でうまくいかなかった案件を引き受けて成功させるほどの技術力は備わっています。今後は知名度だけでなく、組織の規模や実績においても圧倒的なトップを目指す決意です。世界的に有名なコンサルティング会社や金融機関が、創業者の名前を冠したまま誰もが知る存在となっているように、私たちもAI領域において歴史に名を刻むような企業へと成長していきたいと考えています。

ーーそのビジョンを実現するために、どのような人材を求めていますか。

金剛洙:
新卒、中途を問わず、攻めた研究開発に携わりたいという熱意を持つ方ですね。弊社では、大企業では経験できないような最先端の課題に挑むことができます。また、新規事業の創出も得意としているため、自ら新しいビジネスを起こしていくようなチャレンジも歓迎する環境です。知的好奇心が旺盛で、技術の進化を楽しみながら自ら行動を起こせる方にとっては、非常に魅力的な職場だと自負しています。

ーーAIの進化により社会が変化する中、貴社はどのような役割を果たしていきますか。

金剛洙:
今後、AIが労働力を代替する流れはさらに加速し、企業の組織体制そのものが大きく変わっていくはずです。特定の部署が丸ごとAIに置き換わるような世界も訪れるでしょう。そのような時代において、私たちは顧客企業への導入を支援するだけでなく、自社自身がAIを最大限に活用し、より筋肉質で強い組織を体現していかなければなりません。社会の変化の先頭に立ち、AI時代の新しい在り方を私たちが牽引していく覚悟です。

編集後記

時代の潮流を的確に読み解き、AIの可能性にいち早く飛び込んだ金剛洙氏。その経歴からは、現状に満足せず常に新しい領域を開拓し続ける探求心が伝わってきた。アカデミアの知見とビジネスの実行力を掛け合わせ、日本独自のAIエコシステムを築こうとする情熱は、多くの技術者や起業家の心を惹きつけるだろう。AIが社会の前提となるこれからの時代において、同社がどのような未来を切り拓いていくのか、さらなる飛躍から目が離せない。

金剛洙/東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科を修了。シティグループ証券株式会社に入社し、日本国債・金利デリバティブのトレーディング業務に従事。その後、株式会社松尾研究所に参画し、機械学習プロジェクトの企画からPoC、開発を一貫して担当。2022年より同社取締役に就任、また生成AIに特化したVCファンドを新設。株式会社MKキャピタル代表取締役社長CEO。