株式会社銀座山形屋 創業100年以上のオーダー紳士服の老舗大手企業 株式会社銀座山形屋 代表取締役会長 山形 政弘　

価値観

【山形】

今の７０歳８０歳の方がふっと洋服屋をみたときに、知らないブランド、知らないお店ばかりだけど、「ああなんだ英国屋があるんだ、山形屋があるんだ」という、ほっとした気持ちになっていただけるだけでも、生き残っていく価値はあるのかなと、思います。

今年になってから、たまたま大阪のお店に行きましたら、老夫婦が洋服を持ってこられていて、直してほしいと、そういうお話しをされているのです。

２０いくつかで結婚した時に奥様のお父様からお祝いでプレゼントされて、山形屋さんで洋服を作ってもらったと、ですからもう５０数年前の洋服です。奥様のお父様からいただいた洋服なので、ずっと着ているとおっしゃっていました。

それが裏がもうボロボロになっていて、何度か直したらしいのですけど、やはりまた直さないと着られないというので、「直してほしい」と言ってお持ちになられました。

普通だったらもうお店がなくなっていて、どこか他所の店で直してもらうところを、まだ洋服を作ったお店があるといって、持ってきていただける、それだけでも、世の中に当社が存在してきた１つの証というか、価値観なのかなと思います。

ですから、そういう意味では会社というのは、生き残っていくことがすごく大事なことなのかなと思っています。

それを私は大きくしようとか、株主のためにとか、株価とか、いろいろな事を考えて、海外のブランドと提携したり、国内でどんどんお店を作ったり、過去には２００店舗くらい作りました。工場も８か所くらい作りました。

当時は若手経営者と言われて注目されて、株価も高くなったり、そこで成長性をだすために無理やりに生産体制を強化して、無理やりお店を増やして、売上や株価だけを気にして経営していた時期がありました。私の４０代前半の頃ですが、それをすごく今反省しています。

もっともっと一人ひとりのお客様を見ながら、大切に仕事をしてきた方が良かったなあと、反省しています。