株式会社ハブ 首都圏中心に英国風パブ『HUB』等を展開 株式会社ハブ 代表取締役社長 太田 剛　 (2013年6月取材)

事業

【太田】

HUB、82、この２つのブランドでわれわれは今後も事業展開していこうと考えておりますけれども、まず１つ目のHUBは創業時１９８０年から存在するブランドです。比較的若いお客様ですね。ですからターゲットとしては２０歳から３０歳くらいまでの方をターゲットにPUBを楽しんでもらうと。これがHUBのコンセプトとしてやっています。

２００５年に誕生したのが８２というブランドです。これはどちらかというとHUBの卒業生を受け入れていこうという事で、HUBの場合、だいたい３０歳ぐらいでどんどん卒業していかれる方がいらっしゃいます。ある時お客様に聞いたら、もう少し落ち着いてお酒を飲みたいんだと、そしてウイスキーなんかももう少し品揃えをしてくれないかという事で作ったのがこの８２になります。したがいまして、ターゲットは３０歳から４０歳５０歳までの方まで、そして出店の立地についてはビジネス立地を中心にですね、HUBのお客様が少し年を重ねられた時に利用していただければいいなという事で展開しているブランドになります。今後の出店としましては、基本的にはHUBを中心に勿論卒業生が出てくるわけですからHUBの周りに８２の出店というのは十分に考えられる、これが出店の戦略になります。

また、出店戦略の中でですね、これまでは繁華街を中心に展開しておりましたが、PUB文化を広めるという意味ではもう少し郊外の立地、ここを攻めていきたいなと考えています。日本の１つの社会問題ですかね、地域コミュニティーの崩壊、というようなことが叫ばれていますけれど、そういった意味ではわれわれの役割というのはしっかりとこの地域コミュニティーの役割を果たしていこうよと。それがわれわれの一つの存在価値と存在意義というふうにとらえていますので、繁華街だけではなくて少し郊外へもと。また日本全国にという事であれば政令指定都市を中心にですね、出店の方をしていきたいなとこのように考えています。

【太田】

まだまだ英国PUBというのは理解されていない部分が多いのかなと思いますね。ですからなかなかわれわれのお店にはふらっと立ち寄るというよりも、常連のお客様が友達を連れてきたり、彼女を連れてきたりとそういった中でお客様がだんだん膨らんでいくわけですけども、そういった意味ではむずかしさというのはまずは英国PUBの良さというのを理解してもらう事が非常に難しいなと思っています。これはいくら媒体等でまたネットの中で情報提供したとしても、実際に体験していただかなければ、なかなか理解していただけないなと。

むずかしさというのは、やはり当社のこの経営理念をしっかりと理解したそういうマネージャ・店長が何人育成できるかという事が、一番当社にとってはこのブランド、そして業態１本でいくんだということを可能にするかどうか成功するかどうかの分かれ目になると思います。

【太田】

中内さんというのは小学校の時にすごいなと思ったんですよ。遠足前になると全員ダイエーに来ていたんですね。ほぼ全員。それは当時遠足のおやつは３００円までという１つのルールがあって、今まで駄菓子屋さんで買っていた１つ３０円のお菓子がダイエーに行けば２７円で買えると。小学生全員がダイエーのお菓子売り場にいっぱいいるわけですよね。

ダイエーに実際入ってから勉強させてもらった中でやはり価格破壊、要は消費者の欲しい価格で提供するのがダイエーの使命だという。これが振り返った時に、小学生に伝わっていたなと思うんですね。この経営の哲学なんて非常に難しいものが小学生にも伝わっていたという事が本当にすごいなというのが、これはもう入ってすぐに思った事なんです。だからその尊敬する中内さんにお会い出来るだけでも非常に私はモチベーションが高まりましたし、絶対にこの日本の中でこの英国PUBというものを一つの文化にするまでは自分は頑張るんだという話ですね。ただ文化ですから、自分の代では出来ないと思っています。

ですから自分の目標としては次の社長にバトンタッチする時に何店舗にするとか、売上をいくらにするかという事よりも引き渡す時に元気な企業としてバトンタッチしたいなと思っています。そして次の経営者がまた次の経営者にバトンタッチをしていくと、そして自分が出来る事ならば自分の息子は今１１歳ですけれども、成人した時に一緒にHUBで飲みたいなと。もっと可能であればその孫が２０歳になった時に、親子三代でHUBのどこかのお店で一緒に飲めればですね。それが実現するという事はPUBが１つの文化になってきているのではないかなと。これから先、３０年も５０年も１００年もですね、社会から必要とされる企業であり続けるという自分の中では非常に大きな夢・ロマンになります。