株式会社ハブ 首都圏中心に英国風パブ『HUB』等を展開 株式会社ハブ 代表取締役社長 太田 剛　 (2013年6月取材)

価値観

【太田】

もう一度当社の経営理念、ここをもう一度整理しようという事で、整理したのが実は２００７年になります。これまでもキーワードとしては『英国PUB文化を広めよう』とか『感動文化創造事業』という事でキーワードとしてはあったんですけども、なかなか当社の経営理念はということで、私が何人かの幹部にまた、従業員・社員に聞いてみると、それぞればらばらのキーワードが出てくると。１つのものになっていないという事でこれを明文化しようというのが２００７年になります。

【太田】

当時の社長の金鹿から、そろそろバトンタッチをしようという話を頂いたんですね。金鹿からバトンタッチをされた時ですね、自分がこの経営の舵取りをする中で経営理念というのは絶対に必要だと。全員が同じ方向にベクトル合わせをする為には、この経営理念をしっかりと浸透させる事が、自分がリーダーとしてやっていく上では、絶対に必要ということで、明文化しようという事を提案させて頂いたんです。その時に、この経営理念の中で、当社の経営理念というのは『英国PUB文化を日本において広く普及させる為、英国風PUBを通じてお客様に感動を与える感動文化創造事業』という事なんですけれども。２つだけ私は実は非常にこだわった部分がありました。

１つは「日本において」という部分ですね。背景には日本の環境と言いますか、少子高齢化、若者のアルコール離れといった事で日本のマーケットが実際に年々とシュリンクしていく中で、海外への事業展開というのがある意味必須だというような事も叫ばれていました。実際にそういう海外への出店といった事のお話もたくさん頂く中で、ここでわれわれが浮き足立って海外にも出店しようという事はいかがなものかという事ですね。これは創業者が言っていたのは、この英国PUBを何故ダイエーがある意味があったのか、実は中内さんに直接聞いた事があります。その時にこの英国PUBというのは日本の暮らし、日本の社会を豊かにするんだというお話をされました。それはどういう事かというと、日本には居酒屋という素晴らしい文化があると、要するに夕食を兼ねながらお酒を楽しむ。イギリスでのPUBの役割というのは決して食事を兼ねながらではなくて、仕事が終わって、自分の行きつけのPUBに行く。そこで会社の仲間ではなくて、そのPUBでの一つのコミュにティの中でビールを片手に会話を楽しむという中でですね、リセットする場として役割を果たしていると。

要するに会社と家の中間にある気持ちを切り替えるリセットする場だと。どうも日本の中にはこういう場というのが非常に少ないという中で英国PUB、HUBがやる使命、ミッションはそういう場を提供する事だと。ですからわれわれがやるべき事というのは、海外で事業を展開する事ではなくて、日本の中でしっかりとそういうPUB文化を定着させるというのがわれわれのミッションだという事で決して居酒屋にはするなと。そして食事メニューに手を出すなというのが中内さんの私が頂いた一つのメッセージであります。

【太田】

それからもう１つは「英国風PUBを通じて」という事で、われわれは英国PUB事業以外は展開しないんだと。これも外食の場合は１つのリスクヘッジとして１つの事業が元気なうちに色々な業態を持ったり生み出す事で、万が一その事業がおかしくなった時にも新しい事業・業態を開発していればですね、そこがサポートできると。リスクヘッジになるんだという事が叫ばれておりまして、ここも軸がぶれると決して新しい業態をわれわれが持つ事がですね、決してリスクヘッジにはならないと。むしろリスクになるのではないかという事で英国PUB１本で行こうと。このHUBそして、今８２（エイティーツー）というブランド、これを磨き続ける事でわれわれは成長していくんだという事である意味退路を断つという事で、現在の経営理念の中に「日本において」とそして「英国風PUBを通じて」というこのキーワードを入れております。

みんながこの理念に対して自分の思いというのを込めて後輩たちにしっっかりとこの理念を伝えていってくれている。これがなければ当社の今はないかなというぐらいこの理念の重要性というのを今ひしひしと感じているところです。