Vol.4 キャリア
キャリア
【宮本】
特に最近、話題の電子文具が多いので、おかげさまで志望者が多く、たくさん殺到されますので、かなり優秀な人材が採れるようになってきて、私より優秀ではないかと思うような新人がたくさんいるのですが、それはそれで本当に素晴らしいことだなと思っていますけど、当社としては全体的に優秀な人間というよりは、むしろ非常に際立った個性を持っている人間のほうが面白いかなと思いますね。
特に開発型企業を目指す会社としては、やはり普通の人には発想できない突拍子もないアイディア、そういったものができる人間。何をやってもうまくいくオール80点から90点の人ではなく、ちょっと欠点はあるけれどある特殊な能力については200点満点みたいな、そういう人の方が面白いし、そういうふうに育ってくれたら面白いなと思います。
というのは、全員がある一方向だけに200点では困るんですけどね。それぞれの個性が200点でその一番いいところだけ生かせればすごい会社になるではないですか。それが理想だ、という意味なんですけどね。
【宮本】
私が社長ですから、経営の最終判断をするのは私なので、大事なことは色々ともちろん私に相談が来るわけだが、その時に「社長、どうしましょう」と言われるのが一番私は不快なんです。
どうしてかというと、その担当者がその案件について一番詳しいはずではないですか。一番詳しい担当者が一番正しい判断をするはずなんですよ。それぞれの適材適所に一番いい人を配置しているはずなんですよ。それを考えたら、もしそういう言い方をされた場合、あなたはどう思うんだと。必ず思いがあるはずなので、その考えをよく聞いて、もちろん修正をしたりはするけれども、基本的には社長よりそれぞれの担当役員の方がその物件に関しては優秀である、正しい判断をするという前提に立っていますので、社長はむしろイエスマンでいいくらいの考えを持っています。
【宮本】
一番話題になったのは、社長賞というものが毎年正月にあるんですよ。それは一年間で一番活躍した基本的に個人に対して特別に表彰状と金一封を贈るというものがあって、特別に会社に貢献した人は特別に認められるということで、開発型企業ですから商品開発が多いのですけど、例えばポメラを開発した担当者には金一封で100万円現金で渡すというぐらいのことをやっています。これはかなりインパクトがあって彼に続け、みたいなことで我も私もということで、かなり効果があると思いますね。
【宮本】
それ(キングジムの社風)は失敗を許す風土だと思うんですね。結局個性を出すということは、つまり言い換えるとチャレンジなんですよ。どんどん新しいことにチャレンジするということが大切なんですけど、チャレンジには失敗はつきものであり、失敗しておとがめが多くて萎縮するような社風を作ってしまうと、みんな安全なことばかりをしようとして、何もチャレンジしなくなってしまう。それが一番怖いですね。
だから失敗を当たり前だと、商品開発で言っていたように10回に1回当たればいいというくらいの形で、新しいことに挑戦したら失敗するのは当たり前だというくらいの気持ち、寛容な気持ちは大切だと思うんですね。
【宮本】
ただ、もちろん永遠に失敗しても困るので、失敗を恥ずかしがらずになぜ失敗したかということをしっかり分析する。
われわれが商品開発で必ずやるのは、売れなかった商品をなぜ売れなかったか、これをみんなで話し合いましょう。これはすごく大事なことなんですね。当然担当者は落ち込んでいるわけだが、みんなで励まし合いながらなぜ売れなかったか、それを分析すると売れた商品には売れた理由があると同時に、売れない商品には売れない理由が必ずあるわけです。それを勉強するとそうではない商品を作れば売れるかもしれない、つまり失敗の積み重ね、失敗は決して無駄ではなくて失敗の積み重ねが成功に近づいているというふうに思えば、失敗もまた財産だから本人も明るい気分になれますよね。そういうことは大切なことだなというふうに思います。
経営者プロフィール
氏名 | 宮本 彰 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1954年8月11日 |
出身地 | 東京都 |
会社概要
社名 | 株式会社キングジム |
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本社所在地 | 東京都千代田区東神田二丁目10番18号 |
設立 | 1948 |
業種分類 | その他の製造業 |
代表者名 |
宮本 彰
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従業員数 | 1,822人 |
WEBサイト | http://www.kingjim.co.jp/ |
事業概要 | 事務ファイル首位。厚型ファイルで圧倒的。ラベル作成機「テプラ」ほか、電子文具、雑貨も展開。 |