Vol.4 スタンフォード大で紹介される同社の特徴
―スタンフォード大で紹介される同社の特徴―
【菅原】
その場面場面でお客様が求めているものを追求していったような気がしますね。そういう面では、ヘルシー志向にだんだんだんだん90年代後半から2000年、ヘルシー、健康ブームになってきましたので、例えばエビフライであれば、衣を極力薄く、衣と中身のエビの比率をほかの弁当屋じゃできないぐらいの、ギリギリ衣を薄くするような揚げ物をプライベートブランドで開発したり、あとは誰がお弁当を食べてくれて、営業マンになるんだとなると、実は男性より女性じゃないかと。そういう面では、会社に行って、男性がいっぱい食べていても、女性のOLさんは注文しようと思わないんですよね。でも、OLさんがうちの弁当を食べていると、男性陣も、「あれ俺たちも頼んでみようかな」と。そういう面では、女性が喜ぶお弁当という面では、90年代後半から、当時はどこのお弁当屋さんも、ミートソースとナポリタンしか入っていなかったんですね。そういう面では、早目に、パスタだけでも20種類ぐらい、いろんなパスタをお弁当に入れたんですね。あとは朝食を抜いてお昼からしか食べない風潮があったときには、納豆を入れたりして、朝抜いてきた人は、昼納豆食べていいんじゃないの?みたいな感じで、納豆を思い切ってお弁当の中に入れてしまったりとか、いろいろなことは試みましたね。
材料にこだわるということと、あと肉と魚と野菜のバランスにはずっと今でもこだわっていまして、ヘルシーとか、カロリーも大事なんですけれども、でも、カロリーの多さよりも、肉、魚、野菜がバランスよく入っている。これをお昼に摂ることの方が大事なんじゃないかという信念は今でもありますので、メニュー開発には今でもこだわっていますね。
当時からマーケティングでいえば、まず人件費削減、材料費削減、それによって利益出せというのは当たり前だったので、僕のやろうとしたことは、人件費増大、原価率上昇。それで健全経営をしようとしたんですね。そうすると、何かを新しく劇的に変えなくてはいけないということが出てきまして、そういう面では効率化という面で、配送の効率化ですね。当日注文で当日配送、12時までにお届けするのに、その日のお弁当のロス率が1年間の平均で0.1%未満なんですね。ですから、多いときで今7万食。今日は多分6万4,000食ぐらいだと思うんですが、余っている数は60食以下。それによって原材料費というか、余りのロスを少なくすることによって、経費削減に臨んでいると。この配送システムは、アメリカでも取り上げられていまして、スタンフォード大学、そして大学院では、もう8年連続でケーススタディーになっているんですよね。
まず、一番大事なのは、その日に出る予想の数なんですね。これがかけ離れていたら、まず0.1%未満にはできないんですね、ロスを。ですから、単純に明日のお弁当の予測を前日にします。そのときに、これが大きく外れちゃうと、もうアウトなんですけども、天候、その日のメニュー、傾向と対策、それによって翌日、例えば6万食必ず出るだろうというふうに予想を立てます。でも、必ずはないので、必ず2、3,000食、1、2%少ない数の5万8,000食を仕入れます。われわれは当日の仕入れなので、夜中の12時にトラックで新鮮な材料が届きます。で、5万8,000食分届きました。それを注文と同時につくりまして、午前9時半までに5万8,000食できるようにつくります。まだ注文は入っています。そして10時15分締切のときに6万1,000食でしたと。そうすると、案の定、昨日予測した6万食は超えて、6万1,000食だったねと。これでまず、余るということがなくなりますね、基本的に。仕入れた材料が。でも、3,000食足りませんね。この3,000食を今から材料を業者に注文します。ここは大田区という地の利を生かして、業者さんが城南島、京浜島に倉庫を持っていますので、その日の材料が15分ぐらいで届くようになっています。ですから、「足りないから材料持ってきて」と言うと、15分で材料が3,000食届きます。そこからその材料を煮たり、揚げたり、焼いたり、炒めたりしてつくります。ポイントは、われわれ自身が8品ぐらい入るおかずのお弁当なんですけども、あれを人間の手で盛り付けていくんですが、最大スピードで1分間に360個できるんですよ。それだけお姉さま――おばさま方の技術がありますので。3,000食といいますと、実は10分ちょっとでお弁当をつくる技術が僕たちにあるんですね。ですから10時半の時点で注文して、10時45分に材料が届いて、11時15分までにつくり終えれば、それを15分で3,000食の追加を僕たちがつくっちゃう技術があります。そうすると、11時半にはお弁当が3,000でき上がりますので、残りの30分で3,000食を配れるように、配送ルートが、日々いろんなパターンがありまして、とにかく12時までにお客様にお届けするという仕組みで、毎日走るルートも変えてでも届けるような仕組みができているんですね。ですから、追加の分をつくってお届けするので、基本的にロスがない。基本的にはそういう仕組みなんですよね。それを口で言うのは簡単なんですが、なかなか現状やるのは難しいと思いますね。今からつくれと言われてもできないくらい、結果的に徐々に徐々にでき上がっていったというようなシステムだと思います。
経営者プロフィール
氏名 | 菅原 勇一郎 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社 玉子屋 |
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本社所在地 | 東京都大田区中央8-44-7 |
設立 | 1975 |
業種分類 | 食料品・飲料製造業 |
代表者名 |
菅原 勇一郎
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従業員数 | 600 名 |
WEBサイト | https://www.tamagoya.co.jp/ |
事業概要 | 1.給食弁当、出張宴会及び折詰め調整2.食材の仕入れ及び加工販売3.会社、工場、官庁等の食堂受託経営4.新築ビル現場の弁当、食事、雑貨の受託販売5.上記に付帯する一切の業務6.懐石料理、会議用弁当 |