Vol.3 やりがいを感じさせる人材育成術
―やりがいを感じさせる人材育成術―
【菅原】
会社の存続、繁栄は「人」だと、それを常々感じておりましたので、玉子屋についても、人の教育がすべてだと。もうここに全力を注ごうと。その意識が非常に強かったですよね。そういう面では、当時は若者が入ってきて、学歴はあまりない。でも元気はある。素直な心は持っている子たちが入ってきてくれていますから、その子たちに対しては、そういう短所を指摘して、それを言い合って、でも直していこうねという会社の風土を少しずつつくり上げていったということですね。でも、やっぱり時間かかりましたよね。今思うと、そういう改革を始めてから3年ぐらいかかったと思いますね。
やっぱり失敗を認めてあげるということが大事だと思いますので、もう会社が傾くような失敗はもちろん駄目ですけれども、配達すれば、いろんな失敗があるんですよね。でも、その子1人1人の長所と短所があるならば、とにかく長所を伸ばしてあげる。短所はありますが、徐々に減っていけばいいと。短所ばかり指摘して、その人を育成しようとすると、どうしても長所が縮んじゃうんですよね。そういう面では当時、90年代後半から2000年前半のときの人材育成としては、とにかく若者の長所を伸ばして、短所の方は少しずつ直っていけばいいよという教育をしたと思います。
日々の仕事の中での指摘と同時に、やはりちょっとした半ミーティングというんですかね。小グループでの会議のときにそういう話を出しますね。でも、短所を指摘するんではなくて、まず長所。「君はこういうところがいいよね。素晴らしい。だけど、ここが直ったらもっといいよね」という話ですよね。逆に言えば、それはアルバイトであるならば、ものすごくお金を稼ぎたくて来ている子もいると。そういう子であれば、今時給幾らで、頑張っているから、次こういうふうに上がるんだけど、でもこういうところが短所があるんだと。ここが直ったら、もっと時給上がるよと。あと、ボーナスも年2回支給しているので、ボーナスも多くもらいたければ、こういうところをクリアすると、君の場合は給料が上がるよと。そういうことも具体的に説明するんですよね。何が何だか分からないではなくて、人事の仕組み自体が、1人1人に対してちゃんと向き合っていると。そういう人事制度になっているんですね。あとは360度評価で、上から言われたことだけではなくて、やはり部下だったり、同僚だったり、いろんな人からのその人の評価とか頑張っている姿が伝わってくるというような体制にしますと。自分がやって「ありがとう」と言われる。それが一緒にやっている仲間からも言われる。先輩からも言われる。そしてお客様からも「おいしかった、ありがとう」と言われる。そういう面ではやりがいを感じて続けてくれる子が多かった。そういうことと、あとはなかなか人間同士のコミュニケーションというか、信頼というのは、タイムカードを押して、タイムカードを押し終わるこの間だけでは、なかなか気付けないがありまして、今でも続いているのは、やっぱり飲み会ですよね。やはり仕事終わった後に、もう会社がお金を出して、みんながコミュニケーションをとる時間を大切にしております。そういう面では、お酒入りながら、仕事の話は3分の1、プライベートのお互いのいい話、悪い話を3分の2。そんな感じで飲み会しろというふうに指示出しておりまして、これが非常にうまく回っていると思うんですよね。
コミュニケーションの時間って大事で、なかなかそれは日中、会議だけでお互いの気持ちを知るというのは、なかなか難しいんですよね。そういう意味では、飲み会だけではなくて、ちょっと野球やったり、一緒にゴルフやったり、フットサルやったり、なるべくみんなでプライベートの時間も、強制ではないんですが、「どうだ?」という雰囲気はつくれていると思いますね。
経営者プロフィール
氏名 | 菅原 勇一郎 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社 玉子屋 |
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本社所在地 | 東京都大田区中央8-44-7 |
設立 | 1975 |
業種分類 | 食料品・飲料製造業 |
代表者名 |
菅原 勇一郎
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従業員数 | 600 名 |
WEBサイト | https://www.tamagoya.co.jp/ |
事業概要 | 1.給食弁当、出張宴会及び折詰め調整2.食材の仕入れ及び加工販売3.会社、工場、官庁等の食堂受託経営4.新築ビル現場の弁当、食事、雑貨の受託販売5.上記に付帯する一切の業務6.懐石料理、会議用弁当 |