株式会社 玉子屋 ~スタンフォード大学の講義で取り上げられる仕出し弁当屋~

Vol.2 事業承継への“決意”と“改革”

株式会社 玉子屋 代表取締役社長 菅原 勇一郎 (2016年11月取材)

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―事業承継への“決意”と“改革”―

【菅原】

銀行ですごくいいことを学ぶことができた。良い会社の定義も自分の中で見つかった。さて、と思ったときに、数字には強くなりましたが、やはりマーケティングとか、物流の部分とか、そういう部分はまだまだだなというところで、小さな流通のマーケティング会社にご縁があって行くことになりました。そのときに感じたのが、やはり大企業で「富士銀行」って名刺で仕事をしていたんですよね。ですから、いきなりそういう大企業のバックボーンがなくなって、なかなか「菅原勇一郎」だけではビジネスって大変なんだなというのも感じました。でも、逆に言うと、小さい会社に行ったおかげで、いろんなことを学ぶことができましたね。

一番学べたのは、お金を稼ぐのは大変だということですね。大企業のサラリーマンですと、なかなか自分が一生懸命仕事をした、その対価としてお金が入ってきているということに気付きにくい部分がどうしてもありまして、でも、その小さな会社に行きますと、極端な話、1円、10円、100円利益を上げることが、こんなに大変なことなのかと。すごく大変なんだなというのを、その小さな会社に行くことによって学ぶことができたということと、もう1つが、実は3人しかいない会社だったんですが、玉子屋のお弁当を食べていたんですね。ですから、そこの会社に2年半いたんですけれども、玉子屋のお弁当を毎日お客さんとして食べていることによって、配達してくれる人の感じの良さとかとかによって、こんなにもお弁当が変わってしまうのかと。お弁当が、どんなにおいしいものをお届けしてくれても、配送員の態度が悪いと、もうお弁当もとりたくなくなったり、お弁当自体、まずくなってしまうんですよね。それを自分がお客様として感じたものですから、いかにいいものをやっても、届ける人のレベルが上がらなくちゃいけないんだなということと同時に、中身ももっとこれからのサラリーマン、OLは、こういうメニューの方が喜ぶのにな。ここをこうしたらいいのにな。ぱかっと隣同士で――3人しかいませんけれども――開けたときに、何で俺のシャケの切り身の方が小さいんだろうなとか、何で不揃いなんだろうなとか、ちょっと損した気分になったり、いろいろなことを感じたんですよね。

そういうこともありまして、自分でベンチャーで立ち上げるよりも、まずは実家の「玉子屋」というお弁当をもう改革したくてしょうがなくなっちゃったんですよね、結果的には。東京と横浜エリアでお弁当をお届けして、この人たちがこんな世界で戦うような企業にお届けしているようなお弁当なので、うちのお弁当を食べることによって、午後の活力になるということであるならば、これはやりがいのある会社だろうと、ついつい当時の現社長のおやじに、「俺、実家に戻るよ」と言っちゃったんですよね。そこまで決心していたわけではないんですが、ついつい「戻るよ」と言ったら、「いいんじゃないの?」と言ってくれたんですが、事業承継的に言うと、今思えば、親父の手のひらの上に乗っかっていて、僕のあまのじゃくな性格をよく知っていますから、「お弁当屋を継げ、継げ」と言えば、「継がないよ」と言うのを多分知っていたんでしょうね。ですから一度たりとも継いでほしいと言われたことがなくて、でも結局27歳のときに、継ぎたいと言ってしまったとなると、親父とすれば「してやったり」だったでしょうね。この息子・勇一郎は、俺よりも何倍も優秀だと。ですから、今日から常務取締役として玉子屋に入るけれども、彼が社長だと思って、彼の言うことを何でも聞いてくれという形で、当時50人ぐらいの社員だったんですけれども、みんなに言ってくれたんですよね。

そういう面では僕は二代目だったんですが、パッとそのときに、何か楽になりまして、守らなくちゃいけないという気持ちよりも、より自分が思っている、やりたいことをどんどん改革していいんだということで、入った当初からもうバンバン改革をやらせてもらいましたね。それがすごくよかったと思います。

配送員のレベルアップですね。僕が考えたのは、お弁当屋さんの中で、どこの会社よりも素晴らしい配送員ではなくて、とにかく何か物をお客様に運ぶ、配送する人の中でナンバーワンの人材育成をしようと。ここにはこだわりましたね。それと同時に、お弁当の中身。引き続き原材料費、原価率を50%以上かけて、とにかくデリバリー、400円から500円の間のボリュームゾーンのお弁当の中で、当日注文・当日配達で配達するお弁当の中で、ナンバーワンのおいしい弁当を絶対つくろうと。数じゃない。とにかく日本一おいしい弁当、日本一感じのいい配送員、もうこの2つを両立しようと。これは入って絶対やろうと思ったことで、そこに向けて1個1個クリアしていった。改革していったということですね。

社長プロフィール

President's profile
氏名 菅原 勇一郎
役職 代表取締役社長

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