株式会社コナカ 紳士服の「コナカ」「SUIT SELECT」など、全国400店舗以上を展開するスタンダード上場企業 株式会社コナカ 代表取締役社長CEO 湖中 謙介  (2023年10月取材)

インタビュー内容

―洋服販売を通じて得た大事なこと―

【湖中】

たまたま京都の宇治でレストランのお店を開設させていただいたのですが、そのお店、実は紳士服のお店と併設の店舗でありまして、その時に私の父から「お前は何屋の息子だと思っているのだ」と言われたので、わかっていないくらいの感じだったのですが、一応うちは洋服屋をやっているので、外食、レストランは本業じゃないと。私にとってはその時本業だったのかもしれませんが、1回その洋服の方の仕事もちゃんとやってみないかと言われて、断れなかったものですから、宇治のレストランの開設が終わった後に洋服のお店をオープンいたしましたので、そちらのお店の仕事も少しさせていただきました。これが非常に刺激のある楽しいお仕事だったものですから、洋服の仕事も悪くないなと思ってこの仕事に何十年ということで今続けさせていただいております。

私は最初、大阪のスミノードというお店に行かせていただいたのですけど、そこは商店街の中のお店でした。私が配属された時にはまだ研修とか教育というものが私どもの会社には不足している時期でして、お店に「行きます」ということで行って、店長に「今度ここに来ました湖中です。よろしくお願いします。何をしたらいいでしょうか」と聞いたら、「まずは売れ」と。「売れですか」と。たまたまそこのお店に私どもで一番販売金額をあげている実績のあるスタッフがおりまして、その人のことを少し遠巻きに見ていたら、「いらっしゃいませ」と、やはり言っているなと、これは一緒だなと。次に何を言っているかなと(見ていたら)、「お客様、何をお探しですか」とか、「サイズはおわかりですか」と。そうか、サイズがあるから聞かなきゃいけないなと。で、お客様のご要望でご予算とかまたは色柄とか、そういうのを聞かれて、そういうことをしたらいいのだなと思って、最初のお客様を接客してみたんです。

お客様が来ていただいて、色々説明をしなきゃいけないのでしょうけども、当たり前に何もわかっていませんから、「いいですよね」とか、「お似合いですよね」と、言っていたところ、お客さんの方が気を遣っていただいて、「あまりご存じない、始めたばかりですか?」と、聞かれたので、「実は初めてのお客様で、今日はありがとうございます」ということでお話したら、「じゃあ、あなたがこれを勧めてくれて、サイズも合っているから買っていきますよ」というふうに言われて、良かったと思いました。

お客様に恵まれるとはこういうことなのだなと思いました。そこから私は販売の楽しさというか、嬉しさというのでしょうか、そういうものも知りましたので、この洋服の販売に夢中になって、どこのお店に行っても私は販売に関してはお客様にも喜んでいただいて、私たち一緒にやる仲間にも喜んでいただけるような、そういう仕事ができるように一生懸命努力したつもりです。

―事業を強くするためにすべきこと―

【湖中】

一通り、色々なことをさせていただいたので、その時に候補にあがったのかもしれませんが、社長をやってみないかということで、前の社長から言われました。自分はそんなつもりは全くなかったものですから、お断りしますということで、言われたときにすぐに断りました。理由は、私はずっと営業の仕事をやってきていて、現場での仕事が好きですし、私が色々な現場の仕事をすることによって、会社に利益貢献もできるという自負もありましたので、そういうことを続けさせていただくのがいいと思いますと。

会社の全体をマネージメント、経営ということを考えると、その以外にもたくさん優秀な方がおられますので断ったのですが、2週間後くらいに先代の社長と私の父と2人に「食事をするから来なさい」と言われて、断るわけにもいかなくて社長をお引き受けすることになりました。お引き受けするからには、そのように言われたからする、というのも嫌ですから、やるのだったら自分たちがどういうものにこれからなっていきたいかというビジョンを持ちたいので、「こういう会社でこういうものがやっていけるようにしたいですけど、それでいいですか」と聞いたら、「それをやっていくのはあなたの仕事だ」と言われたので、「じゃあ、させていただきます」ということで、お引き受けさせていただきました。

俗にいう、キープコンセプトでやりますということで、今までの私たちの会社の良いところをもう一回見直すということが、私の最初の仕事でした。どこの会社にも(そうですが、)私どももおかげさまで上場させていただいておりますので、良いところがあると思います。悪いところを直すというのもとても良いことだと思うのですが、良いところを伸ばすというのが、私どもの会社を伸ばす一番早い方法だなということで、自分なりにお店、または本社の各部署、そういうところを点検させていただいて、自分たちの良いところをしっかりと見つめなおしました。そういう部分で同業他社さんや、業種業界を超えての戦いと今言われていますので、それに打ち勝つような方法を探すということをさせていただきました。

私どもは物販ですので、お客様の最後に手元に残るものは商品、お品物ですから、商品に特徴がないと勝っていけない。当然、その時私どもはリーディングカンパニーではございませんので、自分たちにしかないオンリーワンがないと、業界の中でも惹かれませんし、お客様に選んでいただくこともないということです。お客様に喜んでいただける、そういう商品を磨く力というのでしょうか、それが私たちの会社の中にはありました。1つは、生産直販、SPAのシステム。私どもはどちらかというと原材料の調達から、生地、組立、物流、販売。ここまでを一気通貫でやっている数少ない企業の1つだと思います。このシステムをさらに磨きをかけていくことによって、私どもだけの商品をつくることができるし、私どもだけが安定した生産背景を持ち続けることができるのではないだろうとかと。それが1つですね。

私どもの主力はインド、あとミャンマーになります。インドから日本に輸入しているスーツの数、輸入統計が出ていますが、その数のほとんどは私どもの輸入のスーツです。インドから国外へスーツを輸出するというパイオニアでもあります。中国での生産が早晩行き詰まるだろうということと、私どもだけの生産背景を持とうとすると、私どもだけがつくっている場所、私どもだけがやる場所、というそういう括りが必要でしたので、今の生産場所、生産背景になっています。ある一定のレベルで、安定してずっと商品を供給し続けるだけの原材料の調達が必要だと。それも高品質でトレーサビリティのあるもの。

要はここの誰がつくったというところまでは結構ですけど、この牧場でこういう品質のものを安定してつくっているというそういうストーリーが私たちにあるかないかが非常に重要でした。幸運にもそういう話に恵まれまして、ニュージーランドウールという、ウールの中でも全世界で産出されるだいたい3%弱だと思うのですが、希少価値のあるものを私ども、牧場の方と直接、オークション通さずに取引をさせていただく、ダイレクトディール、これをニュージーランド政府の助けもいただきながらすることができました。調達することができるようになりましたので、それを糸にして生地にしなければいけないということで、今、中国の方で私どもの糸と生地をずっと1年間つくりつづけております工場に投資をしまして、最新鋭のイタリアとドイツ製の紡績織布の機械を投入しまして、今の私どもの生地を安定的に1年間つくり続けております。まだ約100万メーターという量ですけども、今後はそれも増やしていきたいなと考えております。

―生き残りをかけた今後の戦略―

【湖中】

1番近頃では『REAL COLLECTION』ということで、佐藤可士和さん、私どものクリエイティブディレクターをお願いしておりますが、彼の監修のもとで今申し上げたニュージーランドウール原料をつかって、中国の私どもの特殊な機械を通じて、最高品質の生地をつくります。

それだけではストーリーにはなりません。スーツは色柄からお選びになられるお客様がほとんどですので、そちらの切り口からお客様にアプローチをしようということで、良い品質のもので、例えばネイビーと、スーツは紺に始まり紺に終わると言いますけども、そちらの中でバリエーションを持ってお客様にご提供できるような、そういう商品群をつくろうということで考えました。

この『REAL COLLECTION』、『REAL NAVY COLLECTION』ですね、これは良い商品でお客様にメリットを目で見ていただいて、触っていただいて、明らかに右と左だったらこっちを選んでいただける商品をつくったら、必ずお客様にご理解いただける。それが日本の市場だと私は思っておりましたので、その商品に一球入魂で、後は色々な協力をいただいて、コンクールや色々なそういうものもさせていただいて、その商品がリリースされてヒット商品になりました。

どうしてもお値段が落ちてくるとお値段に合わせるために品質を落としていきますが、私は、それは逆だと思うのです。基本、私の考え方というのは、安くて良いものはできないと、今の世の中思っていますので、ある一定のコストをかけて良いものをお客様にどれだけパフォーマンス良く提供するかということが私たちのオンリーワンのご提供するポリシーだと考えております。そこの部分だけ取れば、私は同業の会社よりも優れているという自負があります。そこを自分たちは曲げないでしっかりやっていくということが、私たちの3年後、5年後に会社として前に進む力を持つという意味では正しい選択だなと思ったわけです。私たちは同業他社だけではなく、これからはインターネットを通じたインターネット通販、販売というところと戦わなければ、私どもの去年の数字以上の結果を出すことはできなくなってきました。

では、これにどう対応していったらいいのかということですが、合理的に私どものリアル店舗とネット上の売り上げ、これから先につくっていく売り上げを融合していくということが必要だなと考えます。ということで、今回、『DIFFERENCE』というオーダーの業態を立ち上げました。これは1回目のご来店でお客様にテーラーフィッターが採寸をさせていただいて、その情報、お客様のサイズ、特徴とかそういうものも含めてデータとしてお入れさせていただいて、お客様はもう今ほとんどスマートフォンをお持ちでいらっしゃいますので、スマートフォンでお客様が自分のスーツやシャツや、ネクタイやベルトやそういうものをオーダーできるようなシステム。ここが一番ですが、今まではお店で買わないECというのはお店の売り上げになりませんでしたが、これからは私どもの『DIFFERENCE』では、その販売をした人に紐づきますので、販売をさせていただいたお客様がアプリを通じてお買い物をされたら、その人の売り上げにするようにしています。

つまり、良い接客をしてインターネットアプリを通じてお買い物をしていただくことを丁寧に、また買っていただけるように一生懸命説明をさせていただいた人が、寝ている人に売り上げがあがるという、そういう仕組みをつくらせていただきました。近い将来3割くらいがアプリを通じて、お客様とご連絡をいただきながらご利用いただいても結構ですし、お客様がお店に来られてアプリで買い物をしていただいても結構ですが、そういう融合型で、今までインターネット通販などで買われていたお客様も私どものお店と結びついていただくというような図式をつくらせていただきました。当たり前のベースの部分は、市場や私たちのお店の情報の分析ですよね。

それが正しくできるかできないかということは勝負所だと思っております。特に私ども紳士服業界は縮んでいる業界と、残念ながら言われていまして、毎年毎年少しずつでも小さくなっているのは事実だと思います。でもその中の割合は変わってきていまして、今まで本当に小さかったオーダーの割合が徐々に大きくなってきています。とすると、私たちが今扱っている既存の既製服と言われているレディメイドの部分は売り上げが小さくなっていく。このオーダーの部分をやっていかないと、私どもはどんなに頑張っても売り上げが伸びないと。

このオーダーの『DIFFERENCE』をオープンするまでに10年間くらい、その前の元ネタ業態で試行錯誤、出店もしてやめて、またこんなことしてみてあんなことやってみてと、色々とやってきて、そのデータを全部集めて、佐藤可士和さんと私たちのプロジェクトチームで、もちろん私も入らせていただいて、これからお客様に求められる、そして今後、5年10年この業界の中でリーディングをとれるような、そういうものをつくれるかどうかという可能性を論じたときに、必ずつくれる可能性があると。じゃあ、ここに、投資をしようと。投資した部分に対して回収の早い業態。それをつくっていけば私どもの中でまだ伸ばすことができるなと。幸いにしてオーダーというのは在庫を持ちませんから、私どもの既存の既製服を置いている150坪500平方メートルのお店が基準ですよというところから比べるとぐっと小さくできます。

今一番小さなお店で8坪のお店があります。8坪のお店で年間1坪あたりの売上高が1000万円です。要は小さな売り場で成立する、そういう業態をつくって、小さいから投資も小さい。だからある程度結果が出たら回収も早い。そうするとまた新たな投資ができる。そういう枠組みと、先ほどから言っております全体の売り上げの割合の中で私たちが必然的にやっていかないといけないこと。それをやりながらその部門では私どもが業界で発言力を、プレゼンスを高めていけるようなそういうことをして、最終的にはインターネット通販と実店舗の融合をしていく。オムニチャネルとか色々と格好いい言葉はありますが、結論は、お店が潤わなければインターネットを通じた部分のビジネスは成功しないと私たちは思っていますので、それをこれからやっていきたいということで、この『DIFFERENCE』は進めています。

―強い会社づくりと海外展開―

【湖中】

私どもはグループで経営をしておりますので、色々な事業のポートフォリオの適正化ということで、この物販以外の仕事というのも私どものグループの中に取り込んでいきたい。また、割合を増やしていきたいと考えています。今後、1つ有望なところとして、子どもさん、特に小学校5年生から英語教育が義務化されるということで、小さいお子さんに向けての英語教育というものを今回、私どものグループで始めさせていただきました。これもやる気スイッチさんグループの『キッズデュオ インターナショナル』という、約500名近いお子さん、年少々さん、年少さん、年中さん、年長さんの4年次ですかね、お預かりさせていただいて、最初から英語漬けみたいな形で色々なことを学んでいただくということで、ネイティブの方とバイリンガルの日本人の講師を組み合わせまして、みなさんには非常にご期待頂いております。これも4月1日に1つ目の学校を開校させていただきます。

これは東京の大田区の池上というところにオープンいたしますが、おかげ様で募集定員を超える応募を頂きまして選考させていただいた結果、この春皆さんに開校されるという形になります。可能性のあるものを、私どものグループの中に色々な形で取り組んでいくことが大切かなと。ですから、そういうところで学ばれた方々に関しては私どもの会社グループというところに馴染みを持っていただけるでしょうし、そういうことも1つあると思います。やはり子どもさんを預けられるということになりますので、そこが安心できる会社、経営母体であるかどうかということも親御さんにとっては非常に重要なことであると。

私どもコナカがさせていただいているということを説明会でお話させていただきますと、上場もしているし、よく見る会社なのでということでご安心もいただけます。逆に言うと、コナカという名前にも親しみを持っていただけますので、あらゆる意味で私どもにとっては意味のあることかなと考えております。海外につきましては、私ども今後10年以上先を見た少し先の話になると思いますが、今、色々なことを試す時期だと考えています。それは私どもが今、『SUIT SELECT』というブランドを全国に展開して、今約200店舗になりました。

これはブランドを立ち上げるときから、佐藤可士和さんと私の間では、海外でも展開できるそういうデザインでいきましょうということでつくりました。今回、私どもはタイ、あとシンガポールの方でお店の展開を試験的に行ってみました。おかげさまでタイの方は非常に支持をいただきまして、日本から来たスーツのブランドということで、大変ご好評いただいております。タイの方が色々なパーティー、セレモニー需要というのがすごくあります。

日本ではタキシードスーツを1日に1着売るなんて、そういうお店はほとんどございません。でも、タイのお店は1日に1着以上、多いお店は2着。年間で700着とかですね、タキシードだけで売るお店がありまして、そういう需要が非常にあるということです。逆にシンガポールではそういう需要があまりない。ということで、国柄ということよりも、その時の状況によって色々なことを私たちは学ばせていただいたという感じです。1つは今まで基幹ブランドでやっておりました『紳士服のコナカ』。この部分をいかにして今後私どもが基幹事業たるものにし続けられるかということだと思います。要は、先ほどから言っております新しい事業、新しい業態、これにはお客様も注目していただけますし、色々な形で追い風も吹いていると思いますが、郊外でのお店というのは、やはり車を運転されない方が増えたり、そもそも免許を取らない方が増えたりということで、お店に行くまでの途中の部分がすっぽり抜けてしまうということで、なかなかお客様の客数を確保するということが難しくなってきていますので。

今後先、私どもの10年20年を背負って立ってもらえるようなものに、ブランドリニューアルしていく必要があると思っています。これをしっかりやることが1つだと思っています。また、私どもは、先ほども申し上げましたが、業界でリーディングカンパニーではありませんが、そのカテゴリーカテゴリーで、私どもが主張を強くできるような、そういう強い業態をつくっていくことが大切です。『SUIT SELECT』などは若年齢層の方に向けたターミナル型の店舗としては、私は今そのカテゴリーで1番になっていると思いますが、それがやはりとても大切だなと思っております。その量的なものも含めてブランドから発信する色々な情報量ということも含めて、お客様に価値のある、逆にお役に立てるようなそういうブランドをつくっていくことが大切です。

―人材育成のこだわりと視聴者へのメッセージ―

【湖中】

私どもの会社の仕事は、人がやるものですから、当然、前にベルトコンベヤーで何かがきて、プチっと買ってという、こんな感じの機械作業ではありませんので、人がどれだけ本気になって積極参加型で一緒に頑張れるかだと思っております。働いて楽しいとか、やり甲斐があるとか、夢や目標が持てるとか、そういう組織や仕事、そして、1人1人の思いになってくれたらなと思って、管理本部長の時にそういう人事制度などもつくらせていただいた覚えがあります。今の会社のシステムというのは、基本的に店長以上の管理職というのは立候補制になっています。

また会社として海外の事業を始めるとか新しい事業をすると言う時には、全部立候補で自分がやりたいという人を募ります。それが私どもの積極参加型の経営というか、その人の成長を促進し、またその人の夢や目標を実現させてあげられることではないかなということを思っておりますので、今でもそうですし、これからもそこはこだわってやっていきたい、人にまつわる部分については、私どもの会社、私は特に重視をしているつもりです。特に私どもの会社で重視しているのは、個性を活かすということです。ですから、私は常々店長にも社員、主任の方々にも申し上げるのは、同じ型にはまった人を私たちの会社は期待しているのではないですと。その人その人が持っている個性をお客様が「いいね」と言っていただける、そういう人を私どもは1人でも多く仲間にしたいんだと。だから、その人が持ってらっしゃるパーソナリティをどうぞ存分に発揮してくださいと。あなたの良いところは何ですかと。それを見せていただくのが、お客様にもいいし、仲間にもいいし。だからそれを積極的にアピールもしてほしいし、使ってくださいということで話をしています。

―視聴者へのメッセージ―

【湖中】

私どもの会社、コナカにつきましては、他の会社様にない魅力というものがあります。私どもの会社はSPAシステムを活用した、自分たちだけの生産背景によるお客様に最高品質、これは今、安くて良いものはなかなかつくれませんけども、適切な価格、コストをかけさせていただいてお客様にメリットのある、最高のパフォーマンスを演じられるようなそういう商品をつくっていく。それを皆さんには、最大の武器として、お店でお客様に満足していただけるような、そういうお買い物をしていただき、私どものブランド、『コナカ』、『SUIT SELECT』、『DIFFERENCE』、そういうものを広めていく、そういうことをこれから特に力を入れてやっていきたいと考えております。

みなさん、若い方に関しましては無限の可能性をお持ちですが、私たちコナカも無限の可能性を信じて、色々な新しいものに挑戦したいと思います。そういう挑戦に賛同して、私も、またみんなで我は、という方は、私どもの会社は店長以上が立候補制度になっておりますので、どんどん手を挙げていただいて自分の力を試していただく、そういうチャンスを掴んでいただけたらなとこのように思っております。

【ナレーター】
『コナカ・フタタ』『SUIT SELECT(スーツセレクト)』『DIFFERENCE(ディファレンス)』などの店舗を運営し、紳士服を中心に企画・製造・販売を手掛ける「株式会社コナカ」。

1952年の創業以来、一貫してビジネスウェアを追究し、現在、全国に400店舗以上展開し、紳士服のリーディングカンパニーとしての地位を確立した。

近年では、デジタル化の推進やオーダースーツ事業の強化など、市場の需要動向の変化を捉えた経営戦略に積極的に取り組んでいる。

縮小傾向にあるビジネスウェア市場において、生き残りをかけた経営者の挑戦に迫る。

【ナレーター】
自社の強みについて、湖中は独自の商品開発体制を挙げる。

【湖中】
私たちは物販・小売業です。お客様にお届けする品物や商品をつくりつつ、企画・販売後のフィードバックを生産に回していくシステムを社内で確立しています。

そのため、ポートフォリオの変更が自分たち主導でできるという強みがあります。

世の中に押されて、状況がどんどん変わっていくのは当たり前なのかもしれません。私たちの業界は今、シュリンクしている状態です。一歩先に行かないと、勝ち残っていくこと、生き残っていくことは難しい。

当社は、紳士服を扱う大手の中では方向性が異なっている会社かもしれません。ですが、企画部門も社内で持つことで、当社にしかない商品をつくることが可能になり、一般的に並んでいる商品とは少し違うものをつくり込み、お客様に提案していくことができます。

それがコナカの生産背景にありますので、その流れをつくろうとしています。

最終的にお客様の手元に残るのは、お品物です。「コナカがつくり上げるものが一番良い」とお客様に感じていただける仕組みにしていくことが一番だと思います。

【ナレーター】
湖中の経営者としての原点は課長時代にある。当初は家業を継ぐつもりはなく、飲食店に勤めていたが、父の誘いを受け、1982年に入社。海外出張時に乗った飛行機内でのある出会いが、後の経営者人生に大きな影響を与えたと振り返る。

【湖中】
たまたま隣り合わせた席の人が話好きで、当社と業界が類似した仕事をしている方でした。「いろいろ教えてもらえると助かるな」と感じ、飛行機を降りてからも交流させてもらう機会を設けていたんです。

その後、彼は勤めていた会社を辞めて、個人でメーカーを創業したのですが、出資をしてくれていた企業が倒産してしまって。急なことだったので、資金繰りや社員を養っていくことも厳しい状況になりました。

私も、何か手伝ってあげられないかと考え、行動し、一緒に乗り越えたことで友情も固まりましたが、会社の経営は決して素晴らしいことばかりではありません。

素晴らしくないことを淡々とやることが大切で、最も難しいことだと学んだできごとになりました。経営において、最も大切なのは血液、つまりお金です。それを身に染みて感じました。

【ナレーター】
全国に店舗を増やしながら、常務、専務取締役を経て、2005年に代表へ就任。今でも鮮明に覚えている当時のエピソードについて、次のように語る。

【湖中】
前任の社長に「社長をやらないか」と言われたとき、自分としては現場の仕事で会社に貢献することの方が、より大きな利益をもたらせるのではないかという自負がありました。

すぐに「お断りします」と返答しましたが、あるとき社長から「食事でもしないか」と。出かけると私の父も同席していて、「どうなんだ」と挟み撃ちにあいました。

そこで私は「社長になると、どんなことをさせていただけますか」と逆に聞いたんです。自分の理想に向かって舵を切れるのか、切れないのか。それは、すごく大きなことでした。

自分の中でも考えはいろいろありましたが、2人から「あなたの考えを社員に示し、その方針で了解が得られれば、突き進んでみたらどうか」と言ってもらって。それならば「ぜひ、挑戦してみたいと思います」と伝え、社長に就任させていただくことになりました。

【ナレーター】
当時のビジネスウェア業界は、専門店でオーダースーツを仕立てる高級志向から、品質の良い既製スーツを安価で手軽に買えるカジュアル志向へと移り変わる過渡期だった。

その中で、湖中が打った一手とは。

【湖中】
それまで弊社郊外に、お金をかけてたくさんの在庫を置ける大きな店舗をつくっていました。

ですがその頃は、お客様が通勤途中に立ち寄れる駅前や駅ビルなど、もっと手軽に買い物できる場所にお店をつくるスタイルに変化していた時期でした。

そういう過渡期を迎え、お客様のニーズに合う新たな出店先にふさわしい商品をつくりたいと考えました。

それは、私たちがこれからやっていくべき課題であると捉えていますし、私自身もそういうお店を展開したい。その希望もあって、話が進みました。

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経営者プロフィール

氏名 湖中 謙介
役職 代表取締役社長CEO
生年月日 1960年10月16日
出身地 大阪府
略歴
1982年に入社。商品本部長、管理本部長などを歴任し、2005年に代表取締役社長に就任。

会社概要

社名 株式会社コナカ
本社所在地 神奈川県横浜市戸塚区品濃町517-2
設立 1973
業種分類 小売業
代表者名 湖中 謙介
従業員数 2216名
WEBサイト https://www.konaka.co.jp/
事業概要 ビジネスウェア及びその関連洋品の販売
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