GROOVE X 株式会社 ~ロボットの概念を覆した「LOVOT」知られざる誕生秘話~

GROOVE X 株式会社  代表取締役社長 林 要   (2020年12月取材)

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【ナレーター】
日進月歩を続けるテクノロジー。AIの台頭により生活の利便性は日々向上し、その技術力は新たなステージへと着実に歩みを進めている。

そんな中、人の心をサポートするという従来のロボットの定義を覆す家族型ロボットを開発し、存在感を際立たせている企業がある。GROOVE X株式会社だ。

「ロボティクスで、人間のちからを引き出す」をミッションに掲げ、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発・販売。最先端のテクノロジーを駆使し、遠方にいる家族の見守りや生き物のような個性や可愛さ、ふるまいを実現。高齢者施設や教育施設などでも採用され、人々の心を支える新たな存在として注目を集めている。

ロボットの新たな可能性を秘めた「LOVOT」と、創業者の軌跡に迫る。

【ナレーター】
エンジニアである父親の影響を受け、幼少期からものづくりに熱中していた林。何度も失敗を繰り返すという経験が、ものづくりの本質に近づけた要因のひとつだったと、振り返る。

【林】
うまくいかなくても当たり前だし、そこからがスタートみたいなところが出てくる面はあるとは思います。ですので、うまくいかないのが怖いというのは小さい頃は当然思っていました。

自分ができないという証明になってしまうので、何をやるにも失敗したくないわけですよ。何か新しいことをやるのはとても怖い。けれども徐々に経験を重ねていくに従って、うまくやれないことが見つかってそれをどうするのかが大事だと気づくようになっていく気はします。

【ナレーター】
大学卒業後、将来の選択肢が最も広がるということから大手自動車メーカーへ就職し、ドイツを拠点とするプロジェクトチームへと赴任。その中で得た最大の気づきとは。

【林】
日本人が特殊なのだなということでしたね。

伝わらないのが前提の中で、それでも仕事を進めていくために伝えていくわけですよね。そうなってくると、そのディスカッションの仕方もかなり激しいものになるんですが、そこに感情のもつれが発生しません。

なぜかというと、そもそも一生懸命議論しないと分かり合えないのだから、一生懸命議論するのは当然で。けれどもそれは仕事のトピックであって、それが終わったらケロッとしている。そういうフォーマットなんですよね。

でも日本人って少し話しただけで伝わってしまうので、こんな熱い議論になった後で感情が尾を引いてしまう。だからそうならないように熱い議論にならないようにする。結果的に伝わらないものがいっぱいあるというような文化の違いはあるなと思いました。

決して日本の常識がグローバルスタンダードだと思ってはいけないし、海外から学ぶところもたくさんあります。逆に日本の強みを生かす必要もあるなと感じましたね。

【ナレーター】
その後、違う領域で自身の力を試したいと思った林はプロジェクトマネジメントを行える部署へと異動。辛酸を嘗めながらも、多くの学びがあったという。

【林】
プロジェクトをマネジメントすることが、最も自分の苦手とする分野だということに気づき、最初の1、2年はかなり辛かったんですけれども、辛いって結構裏を返すと学ぶことが多いんです。

おそらく自分みたいなタイプが職人的な働き方をするというのはネイチャーなんですよね。そういうネイチャーと正反対のマネジメントをするというようなことを無理やり身につけたことによって、幅がだいぶ広がったと思います。

【ナレーター】
そして異動から5年後、林に転機が訪れる。

【林】
駆け出し5年目に過ぎないんですけれどもなんとなくエッセンスがわかったと。そういったタイミングで次に何をやりたいんだろうと思った時、丁度iPhoneが出た頃だったんです。

自動車のナビがなかなか進化しないのにiPhoneのナビはものすごい勢いで進化していくのを見て、これは新しいものづくりが来るなと思ったんですよね。

その時にたまたまソフトバンクアカデミアという、孫さん(孫正義氏)の後継者育成の私塾のようなものがあって、外部からそちらに行かせていただく第一期生になりました。

そこでお話を伺っているうちに『Pepper』というヒューマノイドロボットの開発にお誘いいただいて、そのプロジェクトに入ることになりました。

【ナレーター】
日本を代表する大手企業に10年以上勤めての転職。当時の心境と決断した理由について、こう振り返る。

【林】
とても怖かったですね。新卒で入った会社を14年間勤めて、14年間転職経験がない人が初めて転職をするって不合理な不安があるんだなと思いました。

ただ、このお話は面白そう、しかし詳細はよくわからない。その中でも常に思っていたのは、経験して後悔するのと経験しないで後悔するのだったら、経験して後悔したほうがいいなと。

やはりあの時やっておけばよかったなという後悔を引きずりながら生きるのは嫌なので。どちらかというと「やらかしてしまったな」で後悔をしたほうがいいんじゃなかろうかということで、転職した感じですかね。

【ナレーター】
転職後、ソフトバンク株式会社の当時社長だった孫正義氏の直轄のプロジェクトである、ヒューマノイドロボット『Pepper』のプロジェクトチームへ参画。日本有数の経営者と共に仕事をする中で、林の脳裏に浮かんだのが起業という選択肢だった。

【林】
ソフトバンクに転職した理由が、孫さんというすごい勢いで成長している人に少しでも近づきたいという思いがあって、その近くで働きたいと思ったんですよね。

しかし一緒に働いてみると、近づくどころかどんどん離されるのがわかって。こんな勢いでこの人は成長していくんだと。

なぜ自分が追いつけないのかなと。こんなに必死に働いているのになぜ追いつけないのかなと考えると、やはり孫さんの傘の下で働いているからなんだなって思ったんですよね。

それであれば自分もその傘の外に出てみないと分からないことはきっとあるだろうというので、2015年に出ました。

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社長プロフィール

President's profile
氏名 林 要
役職 代表取締役社長
生年月日 1973年9月10日
略歴 1998年 トヨタ自動車にてキャリアスタート。スーパーカー“LFA”等の空力(エアロダイナミクス)開発、Toyota Motorsports GmbH (ドイツ)にて F1の空力開発、製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメントなどに携わる
2011年 孫正義後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」外部第一期生
2012年 ソフトバンク 感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」の開発に携わる
2015年 GROOVE X 創業、代表取締役 就任
2018年 LOVEをはぐくむ家族型ロボット「LOVOT[らぼっと]」発表
2019年 世界最大級の家電見本市CES2019にてThe VERGEのBEST ROBOT受賞
COOL JAPAN AWARD 2019受賞
『LOVOT』出荷を開始
2020年 世界最大級の家電見本市CES2020にて、CES 2020 INNOVATION AWARD、 『Refinery29』のBEST OF CES、Ici TOU. TVの『The Favorite product of Planète Techno』受賞
調達累計額は133.1億円(2021年1月20日時点)
出身地 愛知県
座右の銘 最大の危機は、高きを目指して失敗することではなく低きを目指して達成することである。
愛読書 道徳のメカニズム
尊敬する人物 宮崎駿
著書 ゼロイチ(ダイヤモンド社)

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