インタビュー内容
【ナレーター】
フリュー株式会社は、日本のエンタテインメントを世界に発信するプライム上場企業だ。
国内トップシェアを誇るプリントシール機に関連する事業を擁するガールズトレンドビジネスと、キャラクターIPを活用したぬいぐるみなどのグッズ制作を主とした世界観ビジネスを柱とし、家庭用ゲーム機やパソコン、スマートフォンなどで遊べるコンシューマゲームの企画・開発・販売も手掛けている。
また、2025年6月にフリュー・ピクチャーズ株式会社を新設分割により設立し、様々なジャンルのアニメーション作品の企画・製作事業を展開。
近年では海外市場への進出など、さらなる成長に向けた挑戦を続けている。
フリューの持つ強みをどのように外部に伝えていくべきか、アイデアをもとに議論をしているようだ。
【榎本】
勝手に「かわいい検定制度」のようなものを社内でつくったらいいのではないか、という意見もありましたよね。きちんと「かわいい」を分かっていたら、ポイントが貯まるような制度です。
クリエイターの人はそういうのを見ますが、もっとエンジニアの人や開発といった人たちも、制度的に評価されるのなら頑張って興味を持とう、そういうことはあるかもしれませんね。
【ナレーター】
意見を述べた社員に対してこのように語ったのは、フリューの代表を務める、榎本雅仁社長である。
【榎本】
もともとフリューはプリントシール機の会社だと思われているので、なかなか「かわいい」をプロデュースできることまでは伝わっていません。どうやったら自分たちの強みが伝えられるのか、というブレストを今、していました。
【ナレーター】
プリントシール機やキャラクターグッズをはじめ、フリューが展開する商品・サービスは、共通して「かわいい」のプロデュース力で生み出されている。その力こそが、フリューが長年培ってきた強みだ。
今後は「プリのフリュー」を超え、「かわいいのフリュー」としての存在感を打ち出していきたいと、榎本は語る。
【榎本】
総合的に考えると、私たちは「かわいい」を創出・プロデュースするのが得意な会社ではないかと思っています。ガラケー時代にあった「デコメ」というサービスでも、実はシェアを伸ばしていき、かなり上位のシェアまで、おそらく2位ぐらいまで上がっていきました。
後発で入ったのですが、シェアを拡大していったのです。フリューそのもののDNAの中に、そうした「かわいいもの」「クリエイティブ」を生み出すというベースが、会社の強みとしてあると考えています。
【ナレーター】
榎本の原点は大学時代にある。科学的手法を用いて人の感性を分析し、サービスやものづくりに活用する感性工学を専攻。さまざまなテーマを考え、研究に明け暮れていたという。
【榎本】
当時、AIのはしりのような「遺伝的アルゴリズム」を用いたモンタージュ写真システムの研究をやっていました。
名前だけ聞くと堅いですが、やっていたことはエンタメのようなものでして。画面の中に3人の異なる顔の女性がいて、その中で自分にとって一番「かわいい」と思える子を選ぶと、少しずつ3人の顔が変わっていきます。
徐々に自分の好きな顔に近づいていき、最後は3人とも同じ顔になる、というものです。モーフィング(形が滑らかに変化するCG)の技術と遺伝的アルゴリズムを組み合わせたようなことを研究していました。
【ナレーター】
大学院では制御システムの研究に没頭し、その後、同システムを取り扱うオムロン株式会社の門を叩く。エンジニア職に従事するも、自身の目指すキャリアイメージとのギャップに苦悩する。しかし4年目を迎える2002年に、転機が訪れる。
【榎本】
プリントシール機の方に社内公募制度を利用して、合格したらすぐ異動するという制度があったのですが、それを使ってプリントシールの方に異動しました。
ソフト開発に移ったのですが、実際はソフト開発もやりつつ、アシスタントディレクターのような形で、当時のプリントシール機の企画をしている人の下で働くという、一言でいうと雑用係をひたすらやらされていました。
試作機を作るときも、本当にホームセンターで買ってきたようなもので作ったり、自分たちで手作りでライトをどこに設置するかを手伝ったり、最初はそういうことをしていました。
半年ぐらいしたら「新しい企画をやってくれ」という話が出てきたのですが、そもそもソフト開発ですし、企画はやったことがありませんでしたので、最初はすごく苦労しました。そこのリーダーと私ともう一人ハード担当の3人で、毎日どういう企画がいいのかをひたすら議論しましたね。
そのような中でだんだん企画のやり方などが身に付いてきて、その商品が市場でもヒットし、「企画って面白いな」という気づきがあったのが、本当に人生のターニングポイントです。
自分が立てた企画が市場に置かれた時に、ユーザーの方々が楽しそうにやってくれている姿を見て、面白いと思って、仕事を熱心にするようになったというのが最初ですね。
経営者プロフィール
| 氏名 | 榎本 雅仁 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役社長 |
| 生年月日 | 1974年2月20日 |
| 出身地 | 京都府 |
| 座右の銘 | 企画者は24時間企画のことを考え続けるべき (フリュー創業者:田坂吉朗氏) |
| 愛読書 | 人間喜劇(バルザック) |
| 尊敬する人物 | 古森重隆/稲盛和夫/ココ・シャネル/うずまきナルト |
オムロン株式会社、オムロンエンタテインメント株式会社、株式会社ゼロ・サムを経て、2009年にフリュー株式会社へ入社。
ピクトリンク事業部長や戦略本部長などを歴任し、2025年6月より代表取締役社長に就任。
会社概要
| 社名 | フリュー株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都渋谷区鶯谷町2-3 COMSビル2F |
| 設立 | 2007年 |
| 業種分類 | 機械器具製造業 |
| 代表者名 |
榎本 雅仁
|
| 従業員数 | 537名 ※2025年3月31日現在 |
| WEBサイト | https://www.furyu.jp/ |
| 事業概要 | 「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」の企業理念のもと、多様なエンタテインメント事業を展開する。主に、キャラクターIPをアミューズメント専用景品のぬいぐるみやホビーフィギュア、ゲーム、アニメ等に多角的に展開する「世界観ビジネス」と、創業事業であるプリントシール機及び関連サービスを軸として若年女性をメインターゲットとした「ガールズトレンドビジネス」が強み。それぞれのノウハウを活かし新たな事業へも挑戦している。2015年12月に東証一部へ株式を上場。2022年4月プライム市場に移行。 |