【ナレーター】
コロナ・ショックの影響で、従来の形式から変化を余儀なくされたウェディング業界において、結婚を望む人々に寄り添うサービスを提供するタメニー株式会社。
婚活・カジュアルウェディング領域を中心に事業展開をしてきた同社は、2020年より、ウェディングフォトサービスや最少人数で行なうマイクロウェディングなど、新たな生活様式に適応したサービスを次々にリリース。
2021年3月にリリースしたオンラインでの完結が可能な婚活サービス「パートナーエージェント ONLINE」では、サービス開始から約3か月で成婚を記録するなど、婚活やウェディングの新たな在り方の確立に向け挑戦を続けている。
時代のニーズを満たす高品質なサービスを追求する経営者の事業にかける想いと、再起をかけた挑戦の全貌に迫る。
【ナレーター】
2020年に起きたコロナ・ショックは、Face to Faceが主体のウェディング業界に大打撃を与え、タメニーにおいても、2021年3月期は過去最大となる約21億円の営業損失を計上した。当時の心境について、佐藤はこう振り返る。
【佐藤】
今回のコロナ・ショックは予期せず突然起きて、収束も見えないなかで、多くの経営者にとってもそうですが、僕にとってもはじめてのことでした。
当時は、産業のディスプラウトが自分の会社に来るという経験も想像もしていませんでした。もちろん、選択のなかには当然入れていましたが、コロナがこれだけ流行って、結婚式のキャンセルが90%になって、結婚式の二次会という文化がほぼ消滅するのは、心情的にもなかなかやっぱり受け入れたくないものでした。
やはり社員のことを思うと、みんな自分たちのサービスが大好きで、もっともっと世の中の人に使ってほしいという思いを持っていて。
本当に赤字も債務超過もそうですけれども、なによりも、僕自身の経営判断や客観性が不足していたことと、社員が本当に大切にしていたサービスがこういう壊滅的な状態になってしまい、社員を思うと辛い気持ちになりますよね。
【ナレーター】
業績は落ち込んだものの、佐藤は新たな生活様式に適した新サービスを次々にリリースし、2022年3月期はコロナ禍前の水準へと回復する見込みだという。
【佐藤】
今僕たちは、料飲を提供しないNon-FBというサービスや、フォトウェディングの事業がとても伸びています。
本当にこの状況でも、世の中の流通量というのは変わりませんので、お客様が必要としているサービスをつくって提供していくことが大事で、僕たちが提供していたものに固執しすぎてしまったことが今回の反省でしょうか。
2020年8月ごろから、この状況下でどういうサービスが提供できるのか、ずっと動いていましたし、それがようやく今形になってきています。
【ナレーター】
タメニーをけん引する佐藤は、アルバイトに明け暮れる学生生活を送る。そのうちの1つが、当時従業員数4名で、広告事業を展開する現デジタルホールディングスのオプトだった。
仕事の中で得た学びについて次のように語る。
【佐藤】
たとえば社長の給料が30万円、取締役は25万円、僕ともう1人のバイトがそれぞれ20万円ずつ。家賃がいくらで固定費はいくらと、誰がどのぐらい稼いでいるのかも、4人しかいないので見える状況でした。
原価を引いた粗利だと、このぐらい稼がないと社長の給料が入らないとか、今月このぐらい稼がないと給料をもらったら申し訳ないなとか、自分がいくら稼げば潰れないのかわかりやすかったですね。
社会勉強という意味ではとてもいい勉強になったと思います。
【ナレーター】
その後、そのまま正社員としてオプトに入社し、営業職に従事。佐藤流の成果を出すための秘訣とは。
【佐藤】
僕はまず、自社のサービス・自分が売っているものを徹底的に好きになりなさいといいますね。
好きなものは人に広めたくなりますし、使ってもらいたくなるじゃないですか。逆にいうと、自分がよいと思っていないものを人にすすめることを会社の目標・ノルマだといわれても、僕なら原動力になりません。
逆に自社が扱う製品やサービスは100点ではありません。よって100点になるように社内でディスカッションして、ほかの会社よりも本当に自信を持ってお客様へすすめられるものは、そもそも営業の概念ではなく、もっと使ってほしい、もっと広まってほしいと思います。もはや普及活動ですね。
“おべっか営業“ではなくお客様に貢献しようとすれば、結果は出ると僕はとらえています。
【ナレーター】
その後、結婚相談所を運営する企業へと転職。なぜ佐藤は広告の営業職とは全く異なる業種を、転職先に選んだのか。
【佐藤】
僕は結婚相談所は使ったことがなければ、ホームページを見たこともなく、友人が活動しているわけでもありません。
当時は独身者の3%ほどしか使用していなかったため、ほとんど使っている人が周りにいないんですよね。それにも関わらず、なぜ高くて怪しくて営業がしつこいイメージがあるのか、とても面白いと思いました。
結婚相談所の情報は自分にほぼ入ってきませんが、売り上げに占める広告宣伝費が当時33%ほどだったので、売上マーケット規模は小さくても、広告の投下量が多いんですね。
よって僕たちは、結婚相談所を見たり調べたりする機会がなく、周りに活動している人がいなくても、広告の情報が入ってくるんですね。
僕たちが想起するイメージは、広告を見て高くて怪しくて営業がしつこいイメージが形成されていることに気づきました。これもまた面白い。
広告だけでこのようなイメージができる業界ってほかにあるかなと思うと、逆に広告やマーケティングを使えば変えられるんじゃないかと思いましたね。