【ナレーター】
社会的意義のあることと、上場企業のグロース銘柄として相応しい成長を両立させることが重要と語る加藤。その実現に向け、描いている構想とは。
【加藤】
例えば今なら、ロシアのウクライナ攻撃で長引いたときにどうやっていくのかと。私は、父方がハンガリーに住んでいるので、そういった難民問題というのは他人事ではなくて。
「うちの工場の仕事が難民にとられるんだ」とか「彼らが盗みを働いたに違いない」などといった職業安定や情報セキュリティー、犯罪抑止ですね。そういったことは非常に大きなテーマです。
我々がやろうとしているのは、RPAだったり、アノテーションだったり、機械学習に関連する領域で彼らにお仕事を与えることができるはずだと考えております。
“Talent beyond boundaries”という考え方を持って、彼らに対して、我々が日本で取っている仕事の一部を助けてもらえるようなことができないかと。
これは社会的にとても良いことをしていますし、かつ非常に成長性がある課題の一つだと考えてはいます。
こういう考えを当社はたくさん持っていますので、どれが当たるかどうか、というのはまだわからないんですけれども、共通しているのは、社会的にとても良くて、かつちゃんと成長できるという。 そのふたつを両立しようと思っています。
【ナレーター】
2022年4月より、産学官7社で電力データを用いた高齢による虚弱状態を指す「フレイル」をAIで検知し、未然に重症化を防ぐプラットフォームの実証実験を開始するJDSC。この取り組みの真意とは。
【加藤】
電気は必ずありますし、ガスも通っています。
すると、この方は何時から何時まで外出されるようになっているなとか、外出がこの前から比べるとすごく減っている。 お食事の時間がとても不定期になってしまっている。
規則正しい生活が、この数年間で大きく崩れてしまっている。夜中に高頻度で目を覚まされていて、お手洗いに行くことで目覚めることが多くなってしまっている、
こういったことが分かることによって、「それであれば当社がサポートできます」といった会社とマッチングすることができると考えているんですね。
疾病状態ですとか、孤独だとか、高齢者が一人で在宅している時間、外出している時間、そういったものが機械で分かることで情報漏洩は大丈夫なのかとか、オレオレ詐欺に使われないかとか、非常に大きな問題があると思うんですけれども、それ以上に、これは安全保障の問題だと思っていて。
高齢者の方が要介護になってしまうと入院の率というのも跳ね上がりますし、医療費も跳ね上がります。
これは非常に人の命を守っていく上で、また社会保障費を下げていく上で大事なんだということを理解していただく必要があると思っていますので、しっかりとロビイングを続けていきますし、啓蒙活動も続けていこうと。
チャレンジは遠大なんですけれども、楽しくやっています。
【ナレーター】
加藤が見据える、今後の展望とは。
【加藤】
お客様が増えていくとデータが増えます。データが増えると、既存のお客様に対する製品性能が上がっていきますのでみんなうれしい、というのを一つひとつの製品でつくっていきますが、それだけでは我々満足していません。
“UPGRADE JAPAN”と言いたいので、今の中に入っていない産業、医療は、建設は、自動車、モビリティは、通信は……と、さまざまところに我々がもっと解決しなければいけない課題というのが多く眠っていると考えています。
既存の製品をもっともっといろいろな企業の方々が役に立っているように、製品を磨いていって成長させていくというのももちろんですし、ここになかったもの、新しくそれをつくっていこうという観点でも、多くの方にこういった挑戦をこの業界でしてみたいと言う方には入っていただきたい、門を叩いていただきたいと考えています。
―大事にしている価値観―
【加藤】
“Win-Winがちゃんとある”ということだと思っています。
人事のプリンシパルは“WILL” “CAN” “MUST”だという言い方をしていて。その人がしたいこと、「もうこれは絶対やりたい」と人生で考えていることは何か。
「ピアノがとても好きだけど、とても人に聴かせるものじゃありません」と言うと、“WILL”はあるけれども“CAN”がないということですよね。
「企業を買収して、分割して売り飛ばすことはできるし、儲かる。けれども、一生したいことではない」と思っている。これは“WILL”と“CAN”がズレている例です。
“WILL”と“CAN”があり、かつ“MUST”。これは社会的に、もしくは企業の全体の組織を運営していく上でなくてはならないもの。
この“WILL” “CAN” “MUST”がしっかりとオーバーラップするようにやっていきましょうということは、人事の非常に大事なプリンシプルとして、基礎的なものとして考えています。