【ナレーター】
再起した河野は2013年、TGALを創業。飲食店のコンサルティングを経て、2015年に高級ハンバーガー店をオープンした。
集客は順調だったが、利益の確保に苦戦し、改善を図るべく情報収集の末にたどり着いたのが、現在の事業の根幹であるデリバリーだった。
【河野】
いろいろと情報収集したところ、「デリバリーが伸びる」と書かれていた記事が目に留まったんです。
特に海外においては、外食産業のうち10%がデリバリーの市場規模であるという情報も目にしました。
「次にやるのはデリバリー事業だ」と思い、2016年度より自転車でのデリバリーを開始したんです。結果、想像以上の注文をいただき、驚きましたね。
当時、デリバリーは寿司とピザぐらいしかなかったので、バイクで走っていると、通りすがりの方から「これは何を配達しているの?」と言われるぐらい、物珍しかったんです。
そういった経緯があって、デリバリーの事業を始めました。
【ナレーター】
時流を読み、デリバリー事業を伸ばすことに成功した河野は、その後、バーチャルレストランシステム『AETA WORLD』のリリースなど、事業領域を拡大。
成長の持続を目指す中で、現在、河野が注力していることとは。
【河野】
我々は2016年度から「伸びる」と感じた市場に対して事業を邁進しています。
会社が大きくなると、従業員の責務も大きくなります。ポジションも部署も当然増えますし、今までやったことがない仕事がどんどん増えていきますよね。
従業員が成長できる環境をつくり続けることに、現在は注力しています。
【ナレーター】
TGALが目指す会社像と自社に合う人材について、次のように語る。
【河野】
“個”がパフォーマンスを発揮すれば、ある程度うまくいく会社だったんですけれども、今は“個”ではなくて“チーム”のフェーズになってきています。
今後はチームワークを重んじる風土をつくっていきたいですね。この風土の醸成に賛同し、連携を図れる方が当社にはとても合うと思います。
【ナレーター】
海外展開について、シンガポールに店舗を構える他、2022年5月にはアメリカ・ニューヨークへも進出。見据える展望とは。
【河野】
現時点で、世界の人口は約78億人。2050年には98億人になると言われています。2021年度時点で、日本の飲食店は約77万店舗(※)あるんですよ。
※厚生労働省『飲食店営業施設数の推移』より
世界の日本食レストランはというと、2021年9月時点で約15万9,000店舗(※)しかありません。
※農林水産省『海外における日本食レストランの数』より
約78億人いて、日本のレストランはたった約15万9,000店舗しかないんですよ。何が言いたいかというと、どちらが事業として大きくなる可能性があるか。
海外の人は日本食を食べたい意欲が高く、とても興味を持っています。そういったニーズに応えるために、まずは、当社が提供する『AETA WORLD』のサービスを国内でNo.1にする。
そして、中長期的にこの事業をスケールさせるために、海外向けの事業もやりたいと思っています。
196カ国に、我々がつくったプロダクトがローンチされて、世界各国でいつでも日本の豚カツやカレー、牛タンが食べられる。そういったことが当たり前になる世界にしたいと思っているんです。
新しい食の創造、それを実現させるための手段として、地域の「食」を世界にディストリビュート(流通)していきたいですね。
-大事にしている言葉-
【河野】
「過去は運命、未来は可能性」です。
当然、過去は変えられないもので、未来をどう捉えるかというと、可能性でしかないと思っているんです。
何も持っていない自分であっても、可能性さえ信じていれば、夢は叶うと思っています。それをやりきるためには「今」が大切。
「絶対にこの事業を成し遂げたい」という想い。それだけでいいと思っています。
英語では「grit」とよく言われていますが、何があっても諦めない、やり抜く。それを日々やり続けていれば、未来は開けるであろうということから、「過去は運命、未来は可能性」という言葉が好きですね。