【ナレーター】
そして2013年、満を持してヘルスケアブランド『DOCTORAIR』を立ち上げ、後のヒット商品となる『3Dマッサージシート』の販売を開始。しかし当初は量販店の反応は芳しくなかったという。そこで井上が打った一手とは。
【井上】
最初は大手量販店に飛び込み営業をしました。ただ、新規ですから相手にされず、厳しかったですね。
そこで、各店舗の責任者に個別に交渉したところ、4~5店舗で取り扱ってくれるようになったんですよ。
そうしましたら、評判が良くて、逆に本部から「商品、無いですか」というように問い合わせが来ました。それで、全国販売となった訳です。
別の大手量販店からも問い合わせがあり、全国販売になってロングセラー商品になりました。
【ナレーター】
『3Dマッサージシート』以外にも数多くのヒット商品を生み出している、ドリームファクトリー。商品づくりにおいて、井上がこだわっていることとは。
【井上】
まず、ひどいアイデアを持ってこない限りは否定しない。24時間、アンテナを張っている。
どれだけいい商品があっても、やはり埋もれていく商品って、日本中、世界中でいくらでもあると思うんですよ。
いいものであればあるほど、それを知らしめなくては、体験してもらわなければならないと思うんです。
その中で、最初のうちは3500店舗の大手量販店とか雑貨店がショールームになっていました。
ただ、100万台以上の出荷台数を目指すとなると、やはり著名人を起用しなければ難しいと思いました。それが現在展開しているCMにつながった次第です。
【ナレーター】
今後実現したいことについて、井上は次のように語る。
【井上】
薬師如来さんという、大昔の漢方を司る仏様みたいなものがいます。
その仏様が言ったことは、「病に苦しんでいる人がいても、完全に健康にすることはできないかもしれない。死にかけている人を救うことはできないかもしれない。けれども、一瞬でも苦しみを和らげてあげることはできる。楽にすることはできる」。苦しみ抜いて楽を与えると。
肩こりもそうですよね。マッサージ店に行って、ぐっと揉んでくれると「あぁ、気持ち良い」とストレスがその一瞬でブワーッと取れるでしょう。
そういう「抜苦与楽」の気持ちで、東京だけではなく、世界中に広げていきたい。“世界中の人々をHAPPYに”という理念のとおり実現させたい。それは世界中に商品を広めることにもつながると思います。
当社は“マッサージ器屋”という意識は全然、ありません。
もしかしたら来年、健康にいい炊飯器をつくっているかもしれないし。やはりいい商品をうまくマーケティングできれば、海岸進出にも通じていくのではないかと思います。
―大事にしている言葉―
【井上】
「念い(おもい)は必ず実現する」。「おもい」という漢字は「念」と書きます。
思ったことが実現する回数が増えれば増えるほど、それが自信につながってくるんですよ。ただ、普通は3日経つと「そんなこと実現するのか」と疑って、忘れてしまうことが多いです。
でも、僕は本気で信じている。思ったことは実現すると。その実現する範囲がどこまでかという話ですよね。
今はIPO(上場)すると“念って”います。これは当社にしたらさらなる成長の第一歩で、そこから本番が始まると思っていますね。