【ナレーター】
全国約27万台の自販機網を活用し、国内飲料事業を軸としたさまざまなビジネスを展開するダイドーグループホールディングス。
缶コーヒーブランド「ダイドーブレンド」で高い知名度を誇り、ドリンク剤の受託製造を行う大同薬品工業や、フルーツゼリー市場で圧倒的なシェアを誇るたらみに加え、海外への飲料事業の展開など、その事業領域を拡大している。
2019年にはグループミッション2030「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」を策定し、飲料と紙おむつを併売する自販機の開発・導入や、自販機稼働時のCO2排出量を実質ゼロにする取り組みなど、提供価値の拡大に向け、挑戦を続けている。
躍動する経営者の軌跡と、ダイドーグループの変革と成長の裏側に迫る。
【ナレーター】
自社の強みは、「こころとからだに、おいしいものを。」というスローガンにあると高松は語る。
【高松】
「こころとからだにおいしいものを、お客様の身近な場所にお届けする」ことが、我々のビジネスモデルの根底にあります。その点が他の飲料メーカーさんとは少し立ち位置が違うと思っています。
我々は、自販機でメインとしては飲料を販売していますが、場所によっては飲料以外にもスナックや、子育て支援のための紙おむつなど、求められるものを積極的に提供しています。そこが他社さんとは違ったポイントになるかと思います。
【ナレーター】
3代目の高松は幼少期、家業を継ぐつもりはなかったという。大学卒業後、三洋電機に新卒で入社し、人事職に従事。しかし、入社3年目のある出来事が高松の運命を変えた。
【高松】
ダイドーの創業者である祖父が亡くなり、過去に創業者がどうやってこれまで事業を築き上げてきたかなど、歴史を示す資料や写真を見る機会がありました。その際に、すごく思いを持って築き上げてきた事業だったのだと改めて気がつきました。
そのときに父から、「もうそろそろダイドーに入って仕事を一緒にやらないか」という話をされたのです。ちょうど3年とキリもよく、三洋電機を退社してダイドーに入社したというわけです。
【ナレーター】
2004年4月、ダイドードリンコに入社した高松は、当時の印象について、次のように振り返る。
【高松】
一消費者としてしかダイドーのことを見ていなかったので、コマーシャルで流れる缶コーヒーや自販機などのイメージしかありませんでした。
しかし、入社して急に身近に感じるようになり、ダイドーのビジネスってこう成り立っているんだ、ということを初めて知りました。外から見たイメージと違って、意外と保守的な面があると思ったことが最初に抱いた違和感でした。
【ナレーター】
その後、常務取締役、副社長を歴任し、2014年4月、38歳で代表取締役社長に就任。会社は安定して成長していたが、高松は危機感を抱いていたという。
【高松】
社員たちは、この好況がずっと続くだろうと安心感を持っていましたが、実際には自販機市場の成長はその頃から鈍化していました。
コンビニなど、いろんな販路が増えていく中で、お客様が自販機から他のチャネルに移っていく兆しが出始めていたのです。
会社の中にいると気づかないこともあり、「このままで大丈夫だ」と感じてしまう人がいる一方で、「これから厳しくなっていく中でどうしていくのか」という冷静な見方もありましたが、その打ち手は見えない時期でした。
【ナレーター】
成長を続けるために変革が必要だと感じていた高松が、最初に取り組んだことは、「グループ理念」と「グループビジョン」の策定だった。その経緯について次のように語る。
【高松】
営業のやり方や組織、人材採用の仕方を変えていくなど、社長になるまでの10年間でいろいろ手がけました。
その中で少しずつ、「今後もっと成長していくためにはこうあるべきだ」といった考えをもつ社員たちが増えていったのです。、そういった思いを織り込んで、社長就任と同時につくったのが、現在のグループ理念、グループビジョンです。
【ナレーター】
グループ理念である「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」の実現のために策定された「グループミッション2030」。このミッションに込められた思いとは。
【高松】
いろいろな施策を通して従業員と直接対話をする機会をつくるうちに、彼らの発言が変わってきたと感じました。また、チャレンジを浸透させていくためにチャレンジアワードという制度を設けたところ、さらなる変化が見え始めました。
いろいろなアイデアを募集して、優秀なものを選抜して、実際に予算をつけてそれを実現するということを数年続けるうちに、徐々にアイデアの数も増え、中身もどんどん良くなってきたんです。
従業員が随分変わってきたなという手応えがあった中で、さらに2030年に向けてどうしていこうということを、従業員を巻き込んでワークショップをしたり、プレゼンテーションをしたりしました。
それらをブラッシュアップして、今掲げているグループミッション2030「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」に仕上げました。
経営者プロフィール
氏名 | 髙松 富也 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1976年6月26日 |
出身地 | 奈良県 |
座右の銘 | 継続は力なり |
愛読書 | 「道をひらく」松下 幸之助 著 |
尊敬する人物 | 松下幸之助 |
2001 年(平成13 年)4月 三洋電機(株) 入社
2004 年(平成16 年)4月 ダイドードリンコ(株) 入社
2008 年(平成20 年)3月 同社 営業本部副本部長 兼 販売会社統轄部長
2008 年(平成20 年)4月 同社 取締役 営業本部副本部長 兼 販売会社統轄部長
2009 年(平成21 年)4月 同社 常務取締役 営業本部副本部長 兼 販売会社統轄部長
2010 年(平成22 年)3月 同社 専務取締役 営業本部長 兼 人事総務本部長
2012 年(平成24 年)1月 同社 専務取締役 営業統括本部長 兼 マーケティング本部長 兼 人事総務本部長
2012 年(平成24 年)4月 同社 取締役副社長 営業統括本部長 兼 マーケティング本部長 兼 人事総務本部長
2013 年(平成24 年)4月 同社 取締役副社長
2014 年(平成26 年)4月 同社 代表取締役社長
2017 年(平成29 年)1月 ダイドーグループホールディングス(株)代表取締役社長ダイドードリンコ(株) 代表取締役社長
2021年(令和3年)4月 ダイドーグループホールディングス(株)代表取締役社長 ダイドードリンコ(株)取締役
会社概要
社名 | ダイドーグループホールディングス株式会社 |
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本社所在地 | 大阪府大阪市北区中之島二丁目2番7号 |
設立 | 1975 |
業種分類 | 食料品・飲料製造業 |
代表者名 |
髙松 富也
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従業員数 | 連結:4,122名(2023年1月20日現在) |
WEBサイト | https://www.dydo-ghd.co.jp/ |
事業概要 | 「こころとからだに、おいしいものを。」をグループスローガンとし、自販機を主力販路とするダイドードリンコを中核に、ドライゼリー市場でトップシェアを誇るたらみ、医薬メーカー・化粧品メーカーなどのドリンク剤の受託製造を担う大同薬品工業などにより構成された企業グループです。グループミッション2030「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」を掲げ、事業ポートフォリオの変革をめざしています。 |